2018年5月16日水曜日

Asthma plus syndrome

咳喘息の市民権が得られ、吸入の薬が頻用されるようになり、

喘息で治療する人は以前よりも多くなった印象です

吸入で上手くいく人が多いですが、

まれに治療に反応がなかったり、

頑固で発作を繰り返す人がいます

そんな時は本当に吸入出来ているのか、

コンプライアンスはどうかという事をチェックします

空になっても気がつかない人もいますし、

しっかり吸えていない人もいます

エピペンと一緒で、手技が必要な治療は、

適切に行わなければ意味がありません

確かめるには、自分の目の前で実践してもらうことしかないです

自分で見ている時間がなければ、薬剤師の人に確認をお願いしましょう


吸入の問題ではなければ、喘息ではない可能性や

他の疾患の合併を考えます

有名なのは、声帯機能不全ですが、

両方持っている人もいるので、注意が必要です


喘息ミミックとして、もう一つ忘れてはならないのが、

結核です

喉頭や気管支結核は排菌量が多いので、拡散のリスクが高く、

見逃しは重大です

排菌量が多いので、検査で引っかかりやすいということもあるので、

長引く咳や喘鳴の人には、一度は抗酸菌のチェックをしておいたほうが無難です



喘息ミミックでなく、ただ喘息が治りきっていない人の場合、

考えるのは、asthma plus syndromeです


ただ頑固な喘息という可能性もありますが、

背景に何かあるかもしれません

その時はこの人にステロイドを使って悪いことが起こるか

という視点で考えます

糞線虫はステロイドの使用で、播種を起こす事が知られています

お年寄りはいつどこで、糞線虫にかかっているかもはやわからない事があるので、

一度は鑑別にあげても良いかと思います

特に戦争で中国や東南アジアに行った事がある人は、

若い時に感染し、高齢になって発症することもあるので、

そういう病歴をとります

戦争糞線虫症と呼ばれることもあるようです












2018年5月14日月曜日

腸閉塞とイレウス

腸閉塞とイレウスは用語を使い分けることになって、

数年ですが、なかなか慣れませんね

意識的に使い分けないといけないですね

腸閉塞のCTの見方です

まずはSMAをチェックします

そして次に上部消化管を追います

次に下部消化管を追います

上と下のどちらかで詰まっていると、診断は容易なので、

まずは小腸以外で詰まっているかを確認します

そしてヘルニアを探します

特に鼠径や大腿、閉鎖孔ヘルニアを見逃すと、

恥ずかしいので、しっかり探します

ヘルニアあったらラッキーくらいで、見に行きます

なかったら残念です


内ヘルニアは見慣れないと難しいですし、実際よく分かりません

が、特徴的な所見は知っておく必要があります

袋に包まれた塊のような腸管を探します

ヘルニアでもなければ、どこで腸が閉塞しているかを探します


力技で口側から追っていっても良いですが、

狭窄近くには、幾つかサインが知られています

それをまず探して、その近くに狭窄がある!と信じて、探したほうが

効率が良いです


当たり前ですが、パンパンに腫れた腸管の先に狭窄があることが多いです


あとは小腸の中に便のように、

液体と泡沫状のものが入り混じっているsmall Bowel feces signというものがあります

これも近くに狭窄があるよ

という目印になります





やばい所見も知っておいたほうが良いです

特にbeak signが2箇所あれば、closed loopになってしまっていて、

保存的には治療は難しい可能性が高いです


上記は腸管の血流に関しては触れていないので、

血流の評価も別に必要です

間欠性跛行

間欠性跛行はよくある訴えです

まずは神経性か、血管性かを見極めるところから開始です

病歴である程度のあたりをつけて、腰椎のMRIに進むか、

ABI検査に進むかを検討します

血管性らしければ、ABIを行い、さらに血管を広げる処置が必要そうならば、

アンギオや造影CTを行います





血管性の時に幾つか注意点があります


動脈硬化性のリスクが多少あっても、

急速に進行する時

左右差が顕著な時

若年者

症状の変動がある時

内科的な治療を行っても反応しない時

冠動脈起始部や鎖骨下動脈、頸動脈も狭窄がある時

これらは動脈硬化以外で血流が悪くなっているのではないか

と考える必要があります

特に高安動脈炎や巨細胞性動脈炎は放っておくと、

動脈硬化の成れの果てみたいになることがあります

教科書的な不明熱で来ない症例もあります

不明炎症反応高値の事もあるので、

疑ったら、CRPとESRを早めにとりましょう



神経性でもない

血管性でもなさそうだ

でも病歴は明らかに間欠性跛行

というとっても困った症例に出会ったことがあります

整形から相談された症例でしたが、

神経性ではないから、精査よろしく

ということでした

色々精査してみると、結論はアミロイドーシスでした

ほとんど報告例はありませんが、

そういうこともあるのだなあと思いました

間欠性跛行は奥が深い

2018年5月3日木曜日

精神科通院中の人が入院したら

精神科に通院している人が内科、外科疾患で入院することはよくあります

Over doseや麻痺性イレウス、低ナトリウム血症などなど

その場合、内服ができるかどうかが一つポイントになります

内服が可能で精神的に不安定でなければ、これまで通りの薬をdoすると思います

ポリファーマシーけしからんと

かっこつけて、最初からあまり情報もないのに、

バシバシ中止すると、大抵痛い目にあいます


ポリファーマシーになっているのには、理由があるはず

という気持ちでまずは情報を集めます

患者からも聞きますし、精神科の主治医からも聞きます

ですが情報を集めてもやはり、精神科の薬を減らすのは勇気がいります

明らかに精神科の薬で害が出ている事が明白でない限り、

精神科からの薬を減らすのは慎重になった方が良いと思われます

例えば、スルピリドによるパーキンソニズムやリチウム中毒など


それ以外の場合で減らすなら、院内に精神科Drがいれば、

相談してからが望ましいでしょう



ではどの薬は絶対に必要で、

どの薬は必要でなさそうかは、どうやって判断すれば良いのでしょうか

それは精神科疾患が何であるかを

まずは確認することから開始しなければなりません

これは他の内科疾患と違って、患者に聞いてもわからない事が多いです

患者に病名が知らされていない場合も多々ありますし、

うつと本人は思っているが、

実は統合失調症だったり、

双極性障害だったりすることは多々あります

患者から聞き出した精神科疾患はあくまで、カッコ書きである事を覚えておきましょう

そのまま信じたらダメです


では、手っ取り早く精神科疾患を推定するにはどうしたらよいかですが、

それはお薬手帳に聞きましょう


内科の併存症を知る際にもとても有用です

本人の記憶より、記録の方が早く情報が手に入ります

しかし、薬から疾患を推定する方法はもちろん、落とし穴もあります


デパケン飲んでるからてんかんがあるかと思ったら、

片頭痛の予防だったとか

双極性障害のためだったとか

です


早とちりしてしまう事があるので、

当たり前ですが、お薬手帳以外からも情報は集めましょう