2018年3月25日日曜日

好酸球増多

好酸球やアレルギーってよく出来た機序ですよね

人間が生きていく上で、痒みとか、必要ある?

って思ってしまいますが、

寄生虫や異物が体に侵入した時は、

いわゆる細胞性免疫や自然免疫は小さすぎて、分が悪いです

その為、物理的に痒みを出して、自分でボリボリ引っ掻いて、

体から排除したり、

血管内から水を出して、洗い流したりする事で、

体から排除しようとします

そう考えると、好酸球が分布する体の組織は、

体の外との交通がある所に多いというのは、納得できます


好酸球は採血で多いかどうか判断しますが、

所詮、血液中の好酸球は組織に比べれば、100分の1程度です

なので、血液検査だけでは、好酸球による臓器障害かどうかは判断してはいけません

好酸球絡みの臓器障害を証明するには、生検が必要です

好酸球は原因はなんであれ、高くなりすぎると、

臓器障害を引き起こします

心筋障害が来る事もあるので、

好酸球が高い人を見たら、まずは原因よりも、

心臓大丈夫?

と思いを馳せましょう


しかし好酸球の絶対数に比例して起こるわけではないので、注意が必要です

理由はさっきと同じで、調べられるのは血液中の好酸球の絶対数であって、

組織がどうなっているかはわからないからです



好酸球増多をみたら、まずは何かに反応しているのではないか?

と考えます

特に薬やサプリメントは徹底的に探ります

そして、薬っぽくなければ、寄生虫感染を探します

寄生虫は単細胞のものでは好酸球はあがりませんが、

多細胞のもの(蠕虫)は上がりやすいです

しかし、局所でとどまると、上がらないこともあるようです

寄生虫は数年後に出てくることもあったり、

海外で感染することもあるので、

気を付けて問診するようにしましょう

何かに反応している感じでなければ、HESを疑います





HESの中でもいろいろあるので、

遺伝子検査や骨髄検査でも原因がつかめなければ、

特発性、つまり原因不明のHESになります



救急での好酸球の使い方は、

敗血症やショックの時に副腎不全を鑑別にあげることができることです


感染が原因で今にも死にそうな場合、好酸球は0%が当たり前ですが、

ショックなのに、1%とか2%とか、

完全に抑制されていなければ、

それは副腎不全かもしれない

という鑑別が浮かびます

副腎不全も放っておけば、亡くなる病気なので、

なるべく、早期に発見して治療につなげたい疾患です


ショックの時に、一瞬、副腎不全に思いをはせて、好酸球をみて、

まあ、大丈夫だよね

というルーチンを

体にしみこませておくことが大事です

もちろん、好酸球上昇しない副腎不全もあるので、これだけで除外してはいけません


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