2019年6月6日木曜日

気管カニューレ

意識障害が遷延し、ICUで長期挿管管理となったため、

気管切開をした人がいました

その後、一般床にいき徐々にレベルが改善したため、

人工呼吸器を離脱することができ、

さらに嚥下機能も復活したため、

徐々にカニューレを変えていく必要がありました


このように患者さんの状態がかわれば、

気管カニューレも同じ状態ではいけません

患者さんの状態にあわせて、適切なカニューレの状態にする必要があります



人工呼吸器も離脱できて、

気切後、2-4週間くらいたって落ち着いたところで、、、


まずは、日中にカフを抜くことからはじめてみます

カフを抜いたら、途端にむせこんだり、

吸引回数が多くなったら、

まだ誤嚥のリスクが高いので、

やめておいたほうがよいでしょう


吸引回数も多くならなければ、一日中カフを抜いておきます

その方が嚥下機能は格段にあがります


カフがなくても大丈夫であれば、

側穴が付いているいわゆるスピーチカニューレに変えてみます

その際に、少しでも不安があれば、

ファイバーで気管や喉頭を観察して、

狭窄や肉芽がないかを確認してからのほうが安全です


スピーチカニューレでも問題なければ、

発声用バルブに蓋をして、普通に呼吸ができれば、

抜去することもできるでしょう

もしくはとっておきたければ、レティナにします


抜去して、気切孔が残る人もいます

残ってしまった人は耳鼻科Drに相談しましょう

手術が必要になる人もいます




知っているようで知らない気管カニューレの名称です

なかでもカフはかなり大事です


カフ圧が30cmH2Oを超える気管粘膜の血流が低下し、

50を超えると血流が完全に途絶するようです(PMID 6423162)


そのため、カフ圧は30を超えてはいけないことになっており、

20以上30未満が目安です


カフ径は、気管の内径よりも大きい大容量低圧カフというものが主流です


なぜかというと、気管は人それぞれで、形が異なるからです

C型が48%、U型が27%、D型が12%という報告もあります(PMID:6554255)

どんな形でもしっかり内腔を閉鎖できるようにならなければ、

意味がないので、気管の内径よりも大きいものが主流となっているのです


ただし、カフが膨らんでいても、上からの垂れ込みは完全には防げません


なのでカフをつけていても、上から下に流れて、痰となったり、

末梢の気管から分泌物は生まれるので、

カフをつけても、もちろん、吸引は必要です






気管カニューレの種類

MERA、Medtronic、高研の製品が使用されることが多いのではないでしょうか

それぞれの会社に特徴がありますが、

レティナは高研だけです


サイドチューブの吸引は最初はあったほうがよいでしょう

あとは、単管か複管か

カフがあるか、ないか

側穴があるか、ないか

といったことを決めていきます


患者さんの状態にあわせて、カニューレの種類を変えないと、

患者さんは苦痛ですので、適切なタイミングをみはからって、

変更していきます


ポイントは


痰詰まりのしやすさ

意識レベル

嚥下機能(誤嚥のリスク)

発声が可能かどうか

です



交換のタイミングは絶対のエビデンスはありませんが、

2週間ごとの交換がお勧めされています

もちろん、閉塞しかかっていたり、汚れやすい人はそれよりも早く交換が必要です




気管カニューレの選択のまとめ

・患者さんの状態にあわせて、適切なカニューレを選択する

・初めて経験する人は、よく知っている人に聞きましょう




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