専「まだ、面談が慣れませんね。僕の課題です。」
T「そうだね、この前教えた3つのシナリオについて、毎回考えることが大事だね。
救急ではワーストシナリオを考えるトレーニングはうけるから、
ワーストシナリオについては考える力が育っていると思う。
そして、上級医や看護師さんから、急変時の対応どうするんですか?
って聞かれるから、亡くなるかもしれないというワーストシナリオも伝えることが多い。
そして、急変時DNARをとらないといけない、っていう
変なプレッシャーを感じている人もいると思うんだよね。
どうしても医者は(特にできる医者ほど)ディフェンシブになりやすい。
副作用や合併症について事細かく説明して、悪いことばかり説明しすぎると、
それは、聞いている方には伝わるんだ。
この医者は、ディフェンシブになっているって。
悪いことが起きた時の保険をかけようとしているって。
そうなると、信頼関係は結べない。」
専「確かに。この前も誤嚥性肺炎を繰り返している人がいて、
結果的には、食べられたので退院しました。
でも自分は絶対食べられないと思ったので、食べられないことを家族には伝えていました。
正直、自分は口から食べることは諦めていました。
ある日、食べられないのは致し方ないけど、
外出して気分を変えようということになりました。
そうすると、外出先で家族が本人に食事をとらせていて、
結果的に食べられました。
そこから、意外に食べられるね、ということになり、
結果的に口から食事とれて退院になりました。
今思えば、ワーストシナリオしか伝えていなかったのだと思います。」
T「そうだね、医者はこれまでの経験があったり、
患者さんから一歩引いた目線で、予後や経過について考えることができるから、
冷静に今後の予測ができるんだよね。
でもそれはそうかもしれないけど、
家族の気持ちに寄り添うことも大事なんだ。
ワーストシナリオばかり伝えていると、医者が治す気がないように思われたり、
家族にとって、ただのハードルや障壁に思われてしまうことがある。
今回のケースは、医者がハードルになってしまって、
それを家族が乗り越えたような感じの構図だね。」
専「確かに、そんな感じになっていました。」
T「ハードルじゃなくて二人三脚のような感じで、同じ方向を向けるのが理想だね。
そのためには、やっぱりベストシナリオを忘れてはいけない。
そして、
考えるだけじゃなくて、
そうなって欲しいことをしっかり言葉で伝えることが大事。
気持ちはあっても伝えわらなければ、意味がないからね。
また歩いて帰れるように、努力していきます。とか、
できることは、全力でやらせていただきます。とか、
できる限りのことはさせていただきます。とか。
そういう、ベストシナリオに向けての宣誓が信頼関係を結ぶためには大事だと思うんだよね。
そこが抜けてしまっている人が多い気がする。」
専「なるほど。」
T「だって、俺らいつも全力で患者さんのこと考えているでしょ。
そこに嘘はないんだから、しっかり伝えないとね。
そうやって、自分で言うことで、自分への誓いにもなる。主治医宣誓だね。」
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