2025年8月9日土曜日

デンマーク旅行と越境学習 〜Hyggeとは?〜

今回は医学とは少し離れた話です


皆さんは旅行に行く前のルーティンはありますか?

旅行先で必ず行うことはありますか?


・あえて何も予定せずにいく

・新たな発見、出会い、経験を求める

・現地の食材を使った料理を食べる

・アクティビティーや自然を楽しむ

・こだわりの宿に泊まる

・日頃の疲れを癒す


色々あると思いますが、旅行前のルーティンとして自分がやっていることがあります


それは、


旅行先の土地や国の成り立ち(歴史)

他国との関わり(地政学)

価値観(宗教)


をインプットしてからその地に降り立つようにしています


もちろん、日常に疲れて余裕がない時はしません 

同じ場所に2度訪れることがあったり、心と時間に余裕があるとき限定です


上記はスポーツでいうとルールみたいなものです


ルールを知らずにサッカーの試合をみてもよく分かりませんが、

何となくは盛り上がれます


ただルールを知っていると、面白さが何倍にもなりますよね


と言うわけで、今回はこれらの本を読んでから訪れました




地理

そもそも、デンマークってどこだっけ?


北欧です


ドイツの上に石川県みたいな半島(ユトランド半島)が突き出ており、
その周辺の大小の島で形成されています

大きさは九州くらいで小さな国で、
人口は600万人で兵庫県や千葉県と同じくらいです


お隣のスウェーデンとは非常に近く、電車で国境こえることができます


歴史

昔から隣国との争いは絶えず、800-1000年代はバイキングの時代で戦っていました


バイキングの衰退後は、キリスト教が北欧にも到来し、
それぞれの国で国家が形成されていきました

コペンハーゲンには、立派な教会がいくつもあります


↑ フレデリック教会(別名 大理石教会)


↑  フレデリック教会の中




     ↑  救世主教会(螺旋の尖塔が特徴的で、螺旋階段を登れます)


地政学

デンマークとスウェーデンの間にはいくつかの海峡があります

バルト海に入るためには、必ず通らなければなりません


1429年 デンマーク王エーリク7世によって
    海峡を通過する外国籍の船舶に対して通行税が設けられました

この税金収入はデンマークの王室財政を潤しましたが、
スウェーデンなどの近隣諸国との関係悪化の一因ともなりました


象徴的なのが、世界遺産にも登録されているクロンボー城です


クロンボーはKronborgと綴り、
「Kron(王冠)」と「Borg(城)」という意味です

 
なのでクロンボーだけで、本来は城の意味も含んでいます


通行税をしっかりとるために、海峡を通る船を睨んでいるお城です
抜き取った通行税を使って城を強化して、ここまで大きくなりました



↑  船から見たクロンボーのミニチュア



↑  クロンボーから海峡を睨む大砲

海の向こうにはスウェーデンが見える




↑ クロンボーの全体像

王冠の城というだけありますね



↑  遠くからのクロンボー 美しい




↑  クロンボーの中



↑  シェークスピアのハムレットのモデルの城としても有名です



クロンボーはコペンハーゲンから電車で1時間弱の場所にありますが、
訪れる価値はありました


コペンハーゲンにもたくさんのお城があります

日本のお城と違ってめっちゃ豪華で格好いいです



↑  クリスチャンボー

今では国会議事堂、首相官邸、デンマーク最高裁判所、
政府機関や司法機関が入っています


なので普通に車がたくさん停まっています

日本の城だったら考えられないですね 




↑  ローゼンボー




↑  アマリエンボー



それにしても、コペンハーゲンの中にこれだけのお城があり、
「多すぎでしょ!」とツッコミたくなります 笑

歩いてこれらの城を見れる距離にあります

一日で回れます



どうしてこれだけ城が密集しているのか疑問でした


コペンハーゲンの友人に聞いてみると、
昔は下水が機能しておらず、しばらく住んでいると、
城の中が不衛生になり、引越ししたくなるそうです


本当かどうかは分かりませんが、
何とまあ、現実的な理由なのでしょう・・・



日本の城は戦いが有利になるように立地や造りが考えられていますが、
デンマークの城は、王様の住居という意味合いが強く、
あまり戦いを想定していないように見えます



クロンボーだけは、戦いを想定して増築されており、
形が特徴的でしたね


デンマークの自然


↑  ローゼンボーの王の庭


↑  コペンハーゲンの街並み

コペンハーゲンはこのように家が密集しているので、
火災があるとコペンハーゲンが何度も燃えたそうです


コペンハーゲンは人工的に埋め立てで港を作ってきました


ですが、あえて全て埋め立てずに、間にこのように湖を残して、
橋と繋ぎ、火災による被害を防いでいたそうです




↑  コペンハーゲンは自転車専用道があります

何も知らない観光客がそこに入って自転車とぶつかることが
コペンハーゲンのあるあるです


朝方は自転車レース並みに自転車が多くてびっくりします





↑  ニューハウン(カラフルな街並み)

観光客がすごくて「ウオーリーを探せ」みたいになっています 笑


〜ハウンというのは、〜港という意味です


なのでニューハウンは「新しい港」です




コペンハーゲンの観光地といえば、
世界3大がっかり名所の一つ、人魚姫の像です



↑  本当に小さかったです 笑

でもそれ以上に観光客の多さに圧倒されました


「がっかり」ではなく、「びっくり」しました




↑   人魚姫を見るために集まっている人々

自分もその一人ではありますが 笑



文化

デンマークにはたくさんの美術館があります

中でも世界一美しいと称されるルイジアナ美術館は圧巻でした





↑  アルベルト・ジャコメッティの歩く人



↑  丸い大きな石の展示は、コペンでもよく見ました



↑  みなさんは何に見えますか?



↑  地図上で点と点を結んで作られるアート




↑  庭からは海が見えます 


美術館に行くと、自分の常識的な感覚が180度変わるような感じがして、
脳が洗濯された感じになります




↑  これは90度?



↑  うーん・・・


これが芸術か・・・

分からない・・・



分からないけど見続けます

やっぱり分からないけど、考え続けることはできます




この作品を作ろうと思ったきっかけは何なんだろう?

最初からこの完成形を意識して作ったのか?

それとも、思いつくまま作ったらこうなったのか?

なぜこれで、完成と言えるのか?

何の意味を込めて作ったのか?

それとも意味はないのか?

なぜこの色なのか?



といった感じで、
作品と対話をしながら各作品をみていくと、
いつまで時間があっても足りません


しかも、その答えがないのが、またいいですね





↑  アートといえば、この本が有名で面白いですね

とても読みやすいです



コペンハーゲンにも美術館はたくさんあります

デザインミュージアム、建築センター、国立美術館、
ニューカールスベア美術館・・・


↑  建築センター



↑  デザインミュージアム


↑  よく見ると、針金の人がいます



デンマークといえば、デザインや建築が有名ですね




↑  コペンハーゲン大学の医学部(Panum)


↑  Panumの展望台は無料で開放されています

コペンハーゲンの街並みを一望できて、穴場スポットです




↑  隣にあるコペンハーゲン大学附属病院
デンマーク王立病院でもあります




個人的に旅行先でのおすすめスポットがあります



それは、図書館です


図書館は無料で入れることが多く、
その地域の特色や文化も垣間見ることができます


何より、涼しいですし、トイレも綺麗です 笑






↑  デンマーク王立図書館(ブラック・ダイヤモンド)


デンマークには、本を大切にする文化があります
マッチ売りの少女やアンデルセンの童話などのたくさんの名作があります


本は国の宝であり、宝石と言われることから、
宝石をしまった宝石箱、「ブラック・ダイヤモンド」と呼ばれます



↑  広い勉強スペースで、地元の人と一緒に勉強しました



↑  新館と旧館を繋ぐ廊下




↑  旧館


図書館巡りが好きで、他の図書館も行きました




↑  コペンハーゲン中央図書館

こちらは小さいですが、
庶民的で子どもエリアが充実して落ち着きます

町の図書館という感じです



そして、コペンハーゲンに行ったら、ぜひ行ってほしい図書館があります



それは

Human library です


ヒューマンライブラリーって聞いたことありますか?



こちらの図書館では、文字通り「人」が「本」として貸し出されます

本の役を担う人に、その人の経験や属性などに応じて
「ホームレス」「視聴覚障害者」「ADHD+自閉症」「イスラム教徒」
といったタイトルが付きます


読者の役を担う人はそれを見て、自分が話をしたい相手を選び、
30分間、その人と会話をすることができます



ある日の本のタイトルは、以下のようなラインナップでした




↑  これらの「本」=「人」を借りることができ、
外のソファで会話を通じて理解を深めていきます



デンマークでは、デンマーク語がメインではありますが、
ほとんどの人が英語を話すことができます

小学生でも普通に英語をペラペラと話せます





本役になる人は、社会的に偏見や差別を受けやすい人々が多いです

精神疾患のある人、ギャング、麻薬中毒者、アルコール依存、
ホームレス、イスラム教の人、ユダヤ教の人など・・・




彼らのようなマイノリティの人のイメージは、どのようなものでしょうか?

そのイメージや人間像はどのように形成されたものでしょうか?


直接話して形成されたものではなく、
マスコミや映画、SNSで得た情報から形成されたものではないでしょうか


ヒューマンライブラリーでは、
第三者によって作られたイメージが壊されます


実際に話してみると、自分の中のイメージとのギャップに驚きます



基本的には何でも聞いてOKというスタンスであり、
失礼かもしれないという質問や聞きにくい質問も何でもしていいよ!
と言ってくれます


なので、「実際のところどうなんだろう?」という所が聞けます




マルチハンディキャップの人との会話の中で、
「何の病気を持っているのですか?」という質問をしました


そうすると、


「病気は何もないよ。

ただ遺伝的な障害があって、不自由はあるけどそれが自分だから」



ハッとしました



いつの間にか、医者目線で「病気」というレッテルの中で
彼を見ようとしていた自分に気がつきました


彼は病気の中で生きていませんでした


「自分」の中に不自由さはあるかもしれないけれど、
確固たる「自分」として生きていることに気がつきました



彼は手足の運動機能や視力、嚥下、消化管に障害をかかえており、
CVから栄養を入れています



ですが、普通の小学校に通い、音楽の高校にもいき、
ギャップイヤーでは、コーヒーを淹れる技術を学びました


そして、キラキラした表情で、
夢は世界中を旅すること、そして自分の家族を作ることと教えてくれました


目が見えない代わりに、味覚や聴覚が繊細に感じられ、
コーヒーやワインの味がよくわかり、バリスタやソムリエの仕事もできる


人生に大事なのはユーモアと音楽


 今は自分のハンディキャップをユーモアで表せるように
書き留めているんだ・・・と




デンマークに来て一番の衝撃を受けたのが、ヒューマンライブラリーでした



↑  ヒューマンライブラリーは今や世界中で開催されていますが、
デンマークが発祥です



ヒューマンライブラリーのスタッフは、ボランティアです

アメリカでも新たにヒューマンライブラリーを立ち上げるために、
勉強のためにアメリカから来ていたスタッフの人もいました


とても新鮮な経験であり、日本でも広まるといいなあと感じています



さて、もう一つ、コペンハーゲンで「多様性」を感じられる場所があります


それが、自治区「自由都市・クリスチャニア」です





クリスチャンハウン駅から数分の場所に、クリスチャニアはあります

約34ヘクタールという広大なとちに850人が住んでいる自治区です


1968年に「若者の蜂起」ヒッピームーブメントを背景に、
1971年にジャーナリストのヤコブ・ルズヴィンセンらが、
移転により放置状態にあった旧海軍施設を不法占拠したことが始まりです


そこから若者が大挙して集まりました

その当時の政府は新政府の組閣中であり、対応が遅れたそうです


3年間の社会実験として始まったクリスチャニアは、
その後、存続の危機に何度も直面するものの、
そのままヒッピーの一つの町として、現在まで続いています



「ヒッピーの野外博物館」とも言われるように、
どきつい色のグラフィクアートや手書きの文字の看板、陽気な音楽、
舗装されていない砂利道、刺青や注射痕のある人々・・・


何も知らない人が立ち入ったら、
ただの治安の悪い怖い場所でしかありません



↑   写真を撮っては行けない場所もありますので、
            このように写真OKマークが付いています



↑  このようなハンドメイドのオブジェがいたるところにあります
それが一見、不気味なものが多かったです



↑  クリスチャニアに入ってまもない場所
観光客で賑わっています



↑  ほとんどの建物が工事中みたいな感じです



↑  なんでバイクが吊るされてるのか・・・


ここではマリファナが売買されており、
警察と売人のイタチごっこが繰り返されています

なので、地元の人からはいい顔はされていないようです



マリファナはデンマークでは違法なので、
クリスチャニアで使っても、もちろん違法です


クリスチャニアに入ると、たくさんの露天やカフェがありますが、
お土産屋でマリファナ柄の靴下が売っていて、笑ってしまいました


こんなん、買えるか 

絶対、空港で捕まるわ 笑



このような背景があって怖いイメージがあり、
日本のガイドブックでは、ほとんど紹介されません


ですが、実際の住民は麻薬をやりたいわけではなく、
設立当初から経済至上主義の現代社会を否定し、
反物質主義でリサイクル・エコロジー・自給自足を重じています

そして、個人を尊重し、寛容で愛情のある社会を目指しています



クリスチャニアのもう一つの魅力は、
カオスな表の顔の奥に広がる豊かな自然です


コペンハーゲンの街中とは思えないような木々の散歩道があります

ただ、観光客も減り人気はなく、静かな木々の間の散歩道を歩いていると・・・

突然、廃材を利用した手作りの家が点在しており、
普通に人が住んでいてギョッとします



うーん・・・やっぱりちょっと怖い・・・

と思ってしまいました


社会

クリスチャニアは、ある意味「自由」の象徴です

個人の自由や多様性、他者への寛容を尊重するデンマーク社会だからこそ、
成り立つ場所だと思います


デンマークは小さな国で、少ない人口ではありますが、
「だからこそ!」の社会構造があります



小さな国ではありますが、世界的に有名な企業がたくさんあります

GLP1の開発・販売を行うノボ・ノルディスク
みんな一度は遊んだことがあるレゴ
食器のロイヤルコペンハーゲン
海運事業で世界一の売り上げのマースク
ビールのカールスバーグ

などなど

デンマークの人口は兵庫県と同じくらいなのにすごいですね・・・


↑  ロイヤルコペンハーゲン本社にて

日本人から見たらゾッとしますが、
デンマークでは地震がないのでこのようなお皿の置き方が目立ちます 笑




デンマークは人口が少ないため、男女関係なく働いてもらわないと困るため、
女性の社会進出が日本よりも進んでいます


平日の公園に行くと、子どもの世話をしているのは男の人の方が目立ちます


そして、LGBQTへの理解も進んでおり、
レインボーフラッグを掲げている場所も目立ちます


トイレは男女兼用の場所も多いです

男性用のトイレがなく、最初は本当にここでいいのか、
ソワソワしてしまいます


↑  フィンランドの空港のトイレ


ジェンダーや結婚についても柔軟な考え方で、
離婚率は50%と高く、バツ1が普通です


そして、離婚しても仲の良い夫婦も多く、
お互いの元妻・元夫とお互いの連れ子と共に、
誰かの誕生日をお祝いするパーティーもよくあります



離婚した場合、お互いの子どもは1週間ずつ、
お互いの家を行き来して育てられる家庭もあります


親権はどちらかのものではなく、共同親権という考え方です


女性が男性に経済的に依存しがちな日本とは異なり、
女性も経済的に自立しており、社会的なサポートも整っているからこそ、
離婚もしやすく、いい関係のまま続くようです



↑  そういった実際の北欧の人々の暮らしが描かれたエッセイです



離婚しやすいのと同様に、転職もしやすいのがデンマークです


仕事を辞めた人も転職しやすいように、
次の仕事のためのスキルをサポートする体制が整っています


そのため、自分にあった仕事を探すチャンスに恵まれており、
平均転職回数は生涯で7回とされています


確かに・・・2年ぶりにあった人は、違う仕事をしていました


デンマークでは、「食べるために」働くのではなく、
「自分の成長のために」働いています


なので、成長できない職場であると感じられた場合、
簡単に辞めていきます


各職種には労働組合があり、労働組合の力が日本よりも強く、
職場環境の改善が常になされています


フレックスタイムを導入している企業や職種も多く、
週に〇〇時間働けば、あとはフリーみたいな働き方もよくあります


夏休みは大人も3週間と長く、
子どもはもちろん、宿題なんてありません

宿題をやるよりも、もっと大事なことがあると考えているからです




デンマークでは転職は新しいことに挑戦する
ポジティブな行動と捉えられます

日本のように何か問題があって辞めたのか?という、
ネガティブなイメージはありません


デンマークの労働市場は、高い柔軟性(フレキシビリティ)と
手厚い社会保障(セキュリティ)を組み合わせた
「フレキシキュリティ」という政策が特徴的です


これにより、企業は従業員を解雇しやすい一方で、
失業者は手厚い失業給付や再就職支援を受けることができます


自分にあった職業を探しやすく、
解雇されても、他の就職を探すのが容易

そうなると、チャレンジしやすいですし、
人材の適材適所もスムーズです


シンプルにいいシステムだと思いました


そして、それを促進しているのが、デジタル化です



デジタル化


デンマークの電車、地下鉄、バスは、アプリをダウンロードして、
エリアを選択すれば、限られた時間、乗り放題です


観光客にとっては超便利なシステムです



↑  DOT というアプリがとても使いやすかったです



切符を発券して改札に通して・・・
あー!切符どこかいってしまったー

なんてことはありません


アプリで買って改札もなく、いきなり電車に乗れます



↑  駅には誰もいません 笑
  
人員削減です



↑ 自転車を乗せる専用車両があったり、


↑ 静かにしなければいけない専用車両があります


アプリ以外にもチャージできるSuicaみたいなカードもあります



露天のお店では、
「現金のみ!カードお断り!」ではなく、
「現金お断り!」のお店もあるほどです



町の駐車場もデジタル化が進んでいます

ゲートもなく、いきなり駐車場に停められますが、
監視カメラでチェックされていて、アプリでどこに停めるかを購入します


公共機関からの郵便物の配達もなく、デジタルポストでの受け取りです

なんと、今年で郵便配達(手紙)は廃止され、
ポストも撤去されるようです


ここまでのデジタル化は、高齢化が進んだ日本では厳しいですね
スマホを扱えないと、生活が厳しい現状があります



このようにデンマークは時代とともに変化を恐れず、
柔軟に対応してきた結果、今があります


いいか、悪いかは置いておいて、
変化できること自体がすごいことだと思います



「現状維持は衰退と同じ」

という言葉を思い出さずにはいられませんでした



Hyggeについて


さて、最後に紹介するのは、「Hygge」です


日本語にしにくい言葉ですが、あえて日本語訳すると、
「居心地がいい時間を仲間と過ごすこと」でしょうか


デンマークの家庭に置いてありがちなアイテムがいくつかあります


↑  トランポリンもよく見るアイテム


もう一つが屋外の暖炉です



↑  暖炉の暖かな火とパチパチという音が心地いい



↑  マシュマロをその辺の枝に突き刺して、焼いて食べるのが普通


このように火を囲ってお酒やジュースを飲みながら、
焼きマシュマロやアイスを食べたり、
団欒したり、歌を歌って過ごします


その場所では、誰もが心地よいと感じており、
リラックスできる空間になっています


飲み会のように、めっちゃ楽しい!面白い!という
ドーパミンが出るタイプの幸福ではなく、

セロトニンが出るタイプのゆったりとした時間が流れ、
幸せを感じることができる空間です


言葉として知っていたHyggeではありましたが、
実際にこういった時間を過ごした帰り際に、

「This is  hygge!」と言われて、腑に落ちました





↑  他の家庭の屋外の焚き火台


Hyggeがキャンドルや暖炉などの暖かいものと結びつきやすいのは、
天候が悪く暗い冬が1年の長い時期を占めるデンマークにとって、
「暖かさ」が概念的に「居心地が良い状態」と結びつきやすいからです



Hyggeという語はデンマークに特有な文化的・社会的背景があります
この言葉を知れば、デンマーク人が何を大事にしているかがよく分かります


デンマーク人言語学者のレヴィンセンによれば、
Hyggeは人々が意図的に作り出せる状態ではなく、
実現は常に可能なものではないそうです


Hyggeは「なんらかの空間や場所」に「自分と他者を含む複数の人々」が集い、
「何か楽しくて良いこと」を共有している状態とされます

ただし「人々は多くのことは行わない」とされ、
「あまりに多くのことをやらないと行けない状態になってしまうと、
hygge は消えてしまう」とされています


さらにHyggeがある状態は、
「その場にいる人々が一人として排除されておらず、
一つのグループになっている」状態だとされます


なので、大規模な集まりはHyggeには向きません

同僚、友人、隣人、家族といった自身の交友関係のグループ単位が
hyggeの実現には重要です


お互いをよく知らない人の集まりの場合は、
居心地の悪さを感じやすくなってしまい、
hyggeに至ることが難しくなります



デンマーク人がHyggeを大切にする理由は、
Hyggeがこのような偶然性や儚さを兼ね備えているからです



このように言葉でhyggeを説明するのは、非常に難しいのですが、
一度、Hyggeを経験すれば、一発で腹落ちします


これがHyggeかと






↑  夜21時

日の出かと思うくらいの明るさです



↑ 夜22時
 
鳥がチュンチュン鳴いています


まとめ

・医学以外の勉強も人生にとっては大事
→越境学習のススメ

・デンマークの社会・文化から学んだこと
→変化を恐れない、多様性の尊重、
 マイノリティの理解

・Hyggeという言葉の意味
→実際に経験することでしか、
 腹落ちできないこともある

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デンマーク旅行と越境学習 〜Hyggeとは?〜

今回は医学とは少し離れた話です 皆さんは旅行に行く前のルーティンはありますか? 旅行先で必ず行うことはありますか? ・あえて何も予定せずにいく ・新たな発見、出会い、経験を求める ・現地の食材を使った料理を食べる ・アクティビティーや自然を楽しむ ・こだわりの宿に泊まる ・日頃の...

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