2017年8月10日木曜日

壊死性筋膜炎の対応

壊死性筋膜炎は感染症エマージェンシーの一つですが、

髄膜炎や敗血症性ショック、TSSとかと異なり、

実は地味なスタートの事が多いです


ここがまず壊死性筋膜炎の誤解です

皮膚所見が華々しくて、バイタルが悪くて、死にそうな人ばかりではありません


例えば、

55才 男性 主訴 足の痛み

足が数日前から、発赤して痛みがあるので、救急受診

皮膚所見は軽度の蜂窩織炎レベルの発赤が手のひらサイズで脛骨部にある

しかしやたら痛がると痛がる

いまいち血圧がいつもより低め

まあ、痛みで歩けないっていってるし、蜂窩織炎で入院!

血培は蜂窩織炎の時はあまり生えないって聞いた事があるから、培養はなしで!

セファゾリン入れちゃって、数日で帰そう

なんていう感じでスタートになり、

でも、翌日もやっぱり、収縮期血圧が100いかない

よく見ると、発赤がどんどん広がっている?ような気がする

しかも、やっぱりやたらと痛がる

でも紫色になったり、水疱ができたり、握雪感があるわけではない

抗生剤は入っているのに、何も良くならない


うーん

おかしい。
どうしよう。。。

バンコ足した方がいいのか。


うーん。

こんなことなら、培養とっておけばよかった。。。



と、こんな風に悩んではいけません。

蜂窩織炎も下肢の挙上や安静が保てなければ、もちろん、
抗生剤を入れても改善が乏しいことはあります

しかし、考えるべきことは抗生剤の見直しではありません

診断の見直しです

ここで蜂窩織炎ではなく、壊死性筋膜炎を想起できるかです

早期に診断したければ、蜂窩織炎患者全員を

壊死性筋膜炎かも

という視点で見るトレーニングをしなければ、早期の診断はできません


早期に診断出来れば、ドレナージの範囲が狭くて済むかもしれません

足を切り落とさなくて良いかもしれません

死ななくてよかった人かもしれません


後期のコテコテの壊死性筋膜炎が典型だとは思わないで下さい

早期の壊死性筋膜炎は意外に所見は地味なんです


でもバイタルは嘘つきません

迷ったら、バイタルに聞きましょう





壊死性筋膜炎を見事に思いついたら、
次にやることは整形外科もしくは形成外科、
もしくは皮膚科、もしくは泌尿器科を呼ぶことです

部位に寄って、病院によって、
壊死性筋膜炎を診断してくれるDrは違うので、
ローカルルールの確認が必要です


画像やら、血液検査を当てにしてはいけません

百聞は一見にしかずなので、
慣れている人に筋膜を直接見てもらい、
ディスカッションすることが大事です

なので出来れば壊死性筋膜炎を診断したことがある先生に
お願いした方が良いかと思われます




外科の先生を呼んでおいて、何も用意していないのは無礼な話です

なので、
自分の場合は切開してくれると決まっているのであれば、
病室に物を準備しておきます




アピールする所は三つです
バイタルが悪いこと
マーキングを超えて、どんどん進行していること
エコーで筋膜上部に液体貯留が目立つこと

自分はエコーが好きなので、エコーもしておきます

診断にはどちらでもいいと思いますが、

切開してくれる先生によっては、
開ける部位の確認や筋膜上部の液体貯留が
一番多い所を狙って切開するので、あると便利かと思います

忙しい中、試験切開していただくので、
おもてなしが重要だと思っています


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