2018年6月24日日曜日

高齢者が食べられなくなったら

食べられなくなった高齢者が救急や外来にくる事は日常茶飯事です

なぜなら、高齢者には、何が起きても食べられなくなるからです

特にフレイルの高齢者は老年症候群として、食思不振に陥るので、原因は何でもありです

脱水でも、熱中症でも、腎盂腎炎でも、肺炎でも、心不全でも、低ナトリウムでも

主訴は食べられない、です


そうなった時にやる事は、原因探しと低栄養、脱水の治療です




問題はどうして食べなくなったかを

今ではなく、食べなくなった時に振り返って聴取する事です


そして、実際いつから食べられなくなったかを、量で確認します

寿命ともとれるスパンで、ゆっくりゆっくり食べられなくなって来た人もいれば、

ここ数日で急激に食べられなくなった人もいれば、

だんだんとは減っていたが、ここ数日でまたガクッときた、みたいなパターンもあります





どのパターンかで、対応が異なります

Chronicなパターンで徐々に進行してきた場合は、何もしないという選択肢もあります

ただし、家族とよく話し合う必要があります

家族の心情や医者としての心情では何かしてあげたいという思いから、

点滴はつながる人が多いです

点滴でつないだ命の時間で、家族と今後の話し合いをして、

看取りへと準備していきます

そのプロセスをACPと言います


なので、acuteな問題がなく、

食べられなくなった事が、自然な経過であると判断すれば、

ACPをいかに進めていくかが、重要です



Acute  な場合はどうでしょうか


この場合は急な問題のせいで食べられなくなった可能性が高いので、

何か疾患があって、治せる可能性があります

そのため、しっかり検査をして、原因を探ります

同時に、

食べられなくなってしまった結果として起きている問題に対しての対応が必要です

ビタミンB1の投与は忘れてはいけません


また多くの人が脱水や腎前性腎不全、電解質異常を抱えているので、

そちらに対しはすぐに対応します


いきなり栄養をあげると、refeeding syndromeになるので、

少しずカロリーを上げていきます

急性の原因の多くは、感染症や腫瘍といったトラブルなので、

診察や検査で原因は判明する事が多いです



たいていはacute on chronicなため、一番難しいです

誤嚥性肺炎がフレイルの進んだ人に、トドメを刺しにきます

誤嚥性肺炎を治すだけでよいのかは、よく考えなくてはなりません


ACPをしつつ、どこまで検査や治療していくかは、

Case by caseです





原因を探す事になれば、まずは救急疾患の除外です

何も引っかからなければ、ゆっくり探しましょう


ステップとしては、まずは薬剤の見直しからです

薬剤を止めるだけで、食べられるようになれば、

そんなハッピーな事はありません


お金もかからず、副作用もなく、侵襲的な検査もいらず、

問題解決です




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