2018年9月4日火曜日

後頭神経痛のpit fall


後頭神経痛はpit fallが多い病態です

後頭神経の近くには血管が走っています

そのため、後頭動脈の血管炎で同部位が痛い場合、

まるで後頭神経痛のようなプレゼンテーションできます

もちろん、麻酔も効いてしまいます

しかし、血管炎に麻酔を打っても治らないので、

炎症反応が持続したり、PMR症状で気が付かれることもあります


教訓1:
後頭神経痛をみたら、巨細胞性動脈炎を一度は思い浮かべる


後頭神経痛のひどい人は、前頭部や目の周りを痛がる人がいます

それは頭頂部を介して、三叉神経第一の神経と手をつないでしまっているからです

逆もしかりです

教訓2:
三叉神経第一領域にまで波及することがある



最後は症例で・・・

生来健康な60歳代の女性 主訴:右後頭部の痛み

ある日から急に、右後頭部痛が出現

痛みの性状は突き刺すような痛み

10秒ごとにある

数日の経過で悪化し、日常生活できないくらい痛い

頭皮には皮疹はみられず


テグレトールを使ったら、痛みは軽減

しかしテグレトールを内服後より、右目の内側に一か所、

膿疱ができ、破裂して痂皮形成した皮疹ができた

本人は薬疹だと思っていた

テグレトール内服後よりふらつき著明で、

転んでしまい右目をぶつけた

右目はパンパンにはれてしまい、痛みもある

テグレトール中止すると、ふらつきは改善

しかし、後頭神経痛はひどく、眠れないほど

この後頭神経痛の原因は?




テグレトール中止し、経過みたら、

なんと右の顔面に皮疹が出現してきた


そうです

帯状疱疹でした

でも、顔面???

頭皮にはあいかわらず皮疹はない

いわゆるZoster sine herpate?

三叉神経と後頭神経にまたがり、播種なのか???

とりあえず、アシクロビル点滴して、後頭神経痛は軽快し消失



この病態をどう説明すればよいでしょうか?

答えは、CTRでした





Zoster sineherpateは、皮疹のない帯状疱疹ですが、

実際に診断するのは、非常に難しく、

自信をもって診断したことは一度もありませんでしたが、

今回のcaseは後頭神経痛は、Zoster sine herpateだったのであろうなあと思います


教訓3:
後頭神経痛の原因に帯状疱疹がある
頭皮ばかりみてもだめ
顔面に皮疹がでることもある





後頭神経痛

後頭神経痛はとても多いです


片頭痛や緊張性頭痛に比べると、

まだまだ知名度が低く、

知らない先生も多いです

国家試験に出ないからでしょうか・・・

でも実臨床ではよく出会いますし、実はとても奥が深いのです

○○神経痛はカルバマゼピンがよく治療薬として使われます

なので、○○神経痛のイメージは

「末梢神経のてんかん発作」です

脳と一緒で、器質的な原因でなることもあれば、

原因がない場合もあります

なので、○○神経痛を見た場合のアプローチは、

その神経の走行を完全に思い描くことです

そして、その周辺にある構造物に思いを馳せます

神経にちょっかい出しているような構造物がないかを一つ一つチェックしていきます

そして、周辺構造物の問題でなければ、神経自体の損傷を考えます






大後頭神経痛の走行はC2がスタートです

そして、C2の後根からの枝が大後頭神経です

その途中で筋肉を色々貫通していったり、貫通しなかったりします

なので、頭が痛い病気ですが、

頭の中に原因があるわけではなく、

頸椎に病気があることがありますので、

検索するなら、頸椎病変です


まれに痛みの下の骨に、骨転移があることもありますので、

絶対ではありませんが・・・





外来ではとりあえず、

ピンポイントで痛みのある部位に局所麻酔を打つことが多いです

が、となりに動脈が走っているので注意しましょう

超音波で同定してからと書いてあることもありますが、

なかなか神経を同定するのは、慣れが必要で難しいです

まずは、動脈を同定することからスタートした方がよいです




特発性、原因不明というのは、

多くは筋肉によってentrapmentされているのでしょう

つまり、ACNESと一緒の病態です