2019年7月16日火曜日

カリウム

電解質のまとめです

教育回診で、電解質のまとめをしていただいたので、

これを機にまとめました


電解質の三角形

各電解質を考える時に、

頭の中で三角形を描きます

消化管・リザーバー・腎臓で、

真ん中に血液があります



私達は電解質異常を語る時に、

血液をとってしか判断できません

なので、血液をみても体の中の電解質の全てを理解できるわけではないことを

まずは理解する必要があります


各電解質で、リザーバーが異なります


また腎臓の尿細管でどこで調整されるかも知っておくとよいです




カリウム

カリウムのリザーバーは、細胞内です

特に筋肉に多く含まれますので、

カリウムの異常は筋の症状につながります




カリウムの流れ

一日、40-100meq/日摂取し、結局、取った分と同じくらいが排泄されます


消化管から10meq排泄され、腎臓から90meq排泄されます


消化管から吸収されたカリウムは血液中に漂いますが、

すぐに細胞内に押し込まれます


そのため、バナナを数本食べたくらいで、

私たちは高カリウム血症になったりはしません


インスリンが細胞内にカリウムを押し込む役割なことは、

とても理にかなっていますよね


細胞内への移動は、早いことがメリットです

しかし、ずっとため込むわけにもいかないので、

一時的なストックです


実際は、腎臓から捨てられますが、

細胞内へのシフトに比べれば、時間がかかります





カリウムの流れ(詳細)

細胞内へのシフトは、ポンプを介して行われます


細胞内への取り込みがUPする要因としては、

インスリン、βカテコラミン、アルカローシスがあげられます


一方、ポンプの数が増える病態があり、

それが、甲状腺機能亢進症といわれいます

普段からポンプが大量にある時に、

上記の刺激(暴飲暴食)が加わると、

たくさんあるポンプが一気に回り、

細胞内へカリウムが急激にシフトします


それによって、低カリウム血症の周期性四肢麻痺がおこります


カリウムで症状がでるかどうかは、

細胞外と細胞内の濃度勾配も重要です


慢性的に低カリウムになっている人は脱力はそこまで目立ちませんが、

周期性四肢麻痺の時の低カリウムでの症状は激しいです


それは、細胞内へのシフトによって、

濃度勾配が大きくなってしまうからです



そして細胞内シフトで起こった低カリウム血症の場合、

補充が過剰になってしまうことがよくあります


体内のカリウムの分布の異常であって、

量の異常ではないので、細胞内からまたカリウムが返ってくるためです



次に腎臓からのカリウムの調整をみていきます

集合管でのみ、カリウムの調整が行われます


集合管でカリウムの分泌を亢進させる要因は

①アルドステロン

②ナトリウム利尿

③尿中の陰性荷電イオンの増加

④細胞内外のカリウム濃度

⑤集合管でのH+分泌低下

⑥低マグネシウム血症




特に低マグネシウム血症の場合、

カリウムを入れても入れても出て行ってしまうので、


低カリウム血症と聞いたら、

脊髄反射的にマグネシウムをチェックしましょう




低カリウム血症

急性の場合は細胞内シフトが多く、

慢性の場合、消化管からの吸収不良か腎性かが問題になります


消化管からの吸収不良は、下痢や体重減少があるかどうか、

といった病歴である程度、鑑別できます


腎臓からの排泄が亢進しているかどうかは、

尿をみればわかります


TTKGはもはや使えないということになっています


畜尿しているのは、時間がかかり、

早々に補正したいので、スポット尿でみることが多いです



低カリウム血症の治療

点滴からは濃度や速度の制約があります

なので、点滴の方が重要そうにみえますが、


内服の方が迅速にカリウム上昇させることができ、

なおかつ、安全なので、

お勧めは、どかっと、内服です


腸管が使えない、今まさに低カリウムの症状が出ている時

などは点滴でも併用します



カリウム
・リザーバーは細胞内
→筋肉に多い



・カリウムが低くなる時は、
 細胞内シフトと腎臓からの排泄がある
→細胞内シフトは量の問題ではなく、分布の問題
 腎排泄の場合、脊髄反射でマグネシウム測定する



・低カリウム血症の治療は内服がよい

参考文献:hospitalist Vol.2 No.1 2014

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