2021年10月27日水曜日

臨床をメタファーで表現してみる

 最近、学生さんが実習で回ってくれています


非常に優秀な学生さんで、熱心に話を聞いてくれてますので、

こちらもついつい色々教えたくなります


もちろん、知識としてはまだまだ足りませんが、

おおまな全体像や本質を掴んでもらえれば良いと思っています


そこで自分はメタファーで臨床を表現するように心がけています


メタファーは、言語においては、物事のある側面をより具体的なイメージを喚起する言葉で

置き換え簡潔に表現する機能をもつ

わざわざ比喩であることを示す語や形式を用いている直喩よりも、洗練されたものと見なされている

                                    wikipediaより



人に知識を伝える時、色々な伝え方がありますが、皆様はどうやって伝えていますか?


職人:見て学べ、俺の背中をみろ


長嶋茂雄監督的な人:うまく言語化できず、抽象的な表現になる


普通の人:言語化して伝える


メタファー好きな人:メタファーにして伝える


絵が上手い人:映像や図にして伝える



メタファーや絵にすることができれば、患者さんへの説明の時にも便利です


ということで、最近メタファーにした臨床の事象を紹介します


「骨折はドミノ倒しと同じ」


高齢者(のドミノ)はそもそも若者に比べて倒れやすいです

筋力がない、目が見えにくい、平衡感覚が悪くなっている、

薬の影響、段差がある、骨粗鬆症・・・などのたくさんのドミノがあり、

最後のドミノが「骨折」です


なので骨折した上流を遡ることがそのまま治療になります

決してその直前の骨粗鬆症の治療をして、おしまいではありません


もっと上流のどこかのドミノを止めなければ、またそのドミノは倒れます



「副腎不全はパズル系疾患」


一つ一つの症状は特異的ではありませんが、

全てが合わさると一つの病気として浮き上がってくる疾患群をさします


吐き気、食欲低下、倦怠感、関節痛、抑うつ気分・・・


一つ一つを掘り下げても疾患にはたどり着かず、

俯瞰して患者さんをみることができないと診断できない疾患群です


副腎不全以外には、TAFROやPOEMS,IVLなどがあります


「ポリファーマシーはジェンガだ」

ポリファーマシーは薬が積み重なったまさにギリギリのバランスで保っているジェンガのようです

ある意味芸術・・・


安易に抜くとそのジェンガが破綻する可能性があります


・エビデンス的には必要のないDAPTを1剤にしたら脳梗塞を発症

・ストップにも入っているアーテンを中止したら、ひどいパーキンソニズム

・なんで入っているかよくわからないPPIを切ったら、出血性潰瘍


良かれと思ったことで、結果が悪くなると辛いですね・・・

自分も何度も失敗してきました

正義感の強い研修医の先生に特に伝えたいメタファーですね



「病気になるということは、

本にコーヒーをこぼされたような感覚」


ある日、健康診断で糖尿病と診断された人がいました


それは医者側からすれば、日常茶飯事ですが、

患者さんにとっては衝撃の日です


まさに、読んでいた本にコーヒーをこぼされたような感じです



「せん妄は火が燃えている状態」


火のメタファーは何にでも使えます

喘息、てんかん、パニック障害、片頭痛、リウマチなど

慢性疾患で急にフレアしたり発作がある疾患には使えます


患者さんに説明するときの定番ですね













みなさんもやってみてください


自分のボスはスポーツメタファーばっかりでした

特にオフサイドとかゾーンディフェンスとかが多かったですね (笑)

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