2024年1月19日金曜日

2024年1月・能登 〜内科医の5日間の活動記録③〜

1月某日 (活動3日目)

 

朝  前日から頭痛があったが、カロナールで凌いでいた

朝はさらに強い頭痛でカロナール、ロキソニンで対応した

正直、体調は最悪であった


一番最悪なのは、自分が感染して離脱してしまうことである

それだけは避けたいという思いでやってきた


そんな中、朝方に他県からきている行政の方が救護所を訪れた


深夜から寒気や倦怠感、吐き気、節々の痛みがあるとのことであった

インフルエンザとコロナ検査は陰性であったが、まだ発症してまもないためとも考えられた


とりあえず業務は中断し休むようにお伝えした

休む場所や今後の対応をどうすれば良いか、行政の上司の方からも意見を求められた


とりあえず、午前中に再度検査を行うように指示し、

感染が確定した段階で対応しようということにした



これはまずいと思った


なぜなら、行政の方は医療は素人であり、そんな方達に感染者の搬送

荷物の持ち運びのお手伝いをさせていたからである


この時点では誰が何をするかは明確に決まっていなかったが、

お手伝いの行政の方やボランティアで手の空いている方にお願いしていた


お手伝いの行政の方が感染してしまっては、

「今後感染者と接触することは避けろ」という命令が下りてもおかしくない


あたり前である


自分が感染者になることで避難所にとっては迷惑しかかけないためである

それは自分も同じ思いであった


微かな火が大火事になる前に対応しないといけないと思った


その日のうちに行政の方たちには感染対策についての疑問や

現状どのように対応しているかなどを調査した


感染防御についてもレクチャーを行うことをお伝えし、

I先生からガウンや手袋の着脱についてもお伝えしてもらった


行政の方の休んでいるところにも足を運び、感染が広がらない環境であることを確認した


 

9時 朝ミーティング(司会・書記:自分)

 

医療 昨夜からインフル1人、コロナ2人、胃腸炎が1人ずつが感染フロアに入った


食事が取れない50代女性に初めて点滴を行った

トンボ針を使って、自分たちが寝ていたベッドで休んでもらった


救護所内にコロナ患者さんがいるという感染対策上は非常識ではあるが、それ以外に方法はなかった

点滴が終わった後は感染フロアへお連れした

 

もちろん点滴棒はないため、ハンガーやS字フックを使った


解除基準はDr判断でOKということを確認した

→解除基準が曖昧であり、統一しないと問題になると感じた

 

感染フロアの感染者さんについて

問題点:衛生環境不良、介護度が高い人へのケア

11度回診しながら、薬を提供することに決めた

 介護度が高い人をピックアップして集中的にケアをすることにした

 入院の検討も必要な事例もあった


 

感染対策について

問題点:スタッフが感染疑い(コロナ、インフル不明)

→感染対策の徹底、行政の方と感染対策について相談する機会を設けることにした

 新しく入ってくる方にも随時お伝えする

 

できれば各階に隔離部屋をもうけることができないか検討(移動が大変なため)


その他、避難所の食事、衛生、人員などについて話し合った

中長期的な避難所の方針についても確認した


 

本日のTo do 

・避難者に今後の方針についてお話し、引き続きマッピングを行う

・避難所運営に関わっている方の休憩スペースの確認 

・感染フロアのラウンド

・物資補充ラウンド →形になってきた、説明文を作る

・説明文・希望調査票を作る →これから

・避難所アセスメント


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午前中  首相が現地に来た

    そのために1Fは物々しい雰囲気になった

    

    いつもはごったがえしている廊下がシーンとなり、両脇にSPがおり、

    報道陣が押しかけていた

    

   自分は横目にそのまま感染フロアへと向かった


   この日はモバイルファーマシーのような感じで、必要そうな薬をカバンに入れて、

   回診時にすぐに渡せるようにした


   回診バックを作ったが、薬が足りなかったり、必要なものが足りず改良が必要であったが、

   前日よりは遥かに効率が良かった

   

   感染された方には極力触れないようにし、触れる場合はアルコール消毒を徹底し、

   バックの中や薬が汚染されないように心がけた


   薬を処方した際はノートに名前と薬の数を書き込み、後でカルテに記載できるようにした






 

15時半 行政の方とボランテティアの方とハドルミーティング

    業務状況の確認と今後の構想についてお伝えした

 

 

16時 行政の方と感染フロアに元々いたボランティアの方とハドル


   びっくりした

   感染フロアには感染者しかいないと思い込んでいた

   

   なぜ誰もいないのに、感染フロアが居住スペースで成り立っているか疑問であったが、

   このボランテイアの方がいたからであると初めて気がついた

   

   引き継ぎの時にこの情報はなかった

   

   この方は一人で感染フロアの環境を整備されていた


   そのため、今後は行政や我々がどうしようとしているかを丁寧にお伝えし、

   協力してくださることになった

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17時 夕方のミーティング(朝は9時、夕方は17時からミーティング)

 


各部署から本日の報告をしてもらった

 

同時に問題点も見えてきたため、明日の課題となった



 

この日の夜はチームで確保しているホテルで休ませてもらうことになった

久しぶりに休めた


支援者の健康管理や休息は支援を続ける上で重要なことである


良い活動はしっかりした休息から生まれる



頑張りすぎずに、休むときは休まないといけない

休むことも仕事であると言い聞かせたが、やはり避難所の方に申し訳ない気持ちになった


(3日目 活動終了)


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