2020年11月26日木曜日

家庭医目線 〜基本のき〜

Disease oriented modelからDisease illness modelへ


研修医の先生の所信表明では、毎年、
「病気ではなく、人として患者さんをみれるようになりたいです」
という表明があります

それはつまり、患者さんに起こっている事柄をdiseaseとしてではなく、
illnessとして捉えるということかなと思っています


diseaseは客観的な異常と捉えられ、生物医学的な問題であり、
illnessは患者さんの解釈に基づく主観的な思いです


diseaseというのは疾患で、illnessとは病いと訳されます


例えるならhouse(住居)とhome(家庭)のような関係です
houseは冷たい感じがしますよね
homeはあったかい感じです

deiseaseとillnessはそういった温度差があります



illnessなんだけど、diseaseではないとされがちな疾患もあります

身体表現性疾患や慢性疲労症候群といった疾患は、
客観的な異常が出てこないので、疾患として認識されにくいですが、
本人はとても困っています


逆に、illnessではないんだけど、diseaseにされがちな疾患もあります

糖尿病や脂質異常症、高血圧、認知症などは、
客観的な異常がありますが、患者さん本人は困っていないので、
病いを患っているという認識はないことが多いです

ある時、医者にかかって、急に病気扱いされます
そこからillnessが始まります


このように目の前の患者さんの問題が、
diseaseとillnessのどちらなのかを見極めていくことが重要で、
プライマリケア医は、diseaseとillnessの両方にアプローチすることが必要です


そのために、BPSモデルがあります


BPSモデルは、
Disease oriented modelからDisease illness modelへ変換するための基本的な考え方です



患者さんの背景(context)を知ることも重要です
自分は環境と呼んでいましたが、家庭医学的には背景(コンテクスト)と呼びます

PCCMの考え方で出てきます


患者さんの背景を理解するための手法がダイアローグ(対話)です

ROSやTo do listのように穴埋め的に聞いていくものではありません



家庭医の目線は鳥の目と魚の目を持つことだと思っています
虫の目は専門家の目線です

そのためのツールに名前が付いている感じで、
それぞれの理論はとても似通っています


症例に応じて、アプローチの方法は多少違いますが、
基本はBPSモデルでまずは考えるくせを身に付けましょう




まとめ
・BPSモデル(Bio,psycho,social)で患者さんを考える癖をつける
→disease orientedな対応をしていないか?

・患者さんの背景(コンテクスト)を知る
→そのためには対話(ダイアローグ)が必要

・家庭医目線は、鳥の目・魚の目
→focusを自由自在に操り、時間を行ったり来たりする


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