2024年1月19日金曜日

2024年1月・能登 〜内科医の5日間の活動記録④〜

 1月某日 (活動4日目)

朝ミーティング 

 

医療:新規に感染された方はいない

   感染者はかなり減ってきた

   食べられない方がおり、点滴で対応


行政:瓦礫撤去は自衛隊に要請

   循環方のウオータどこにおく?

 

その他、もろもろ議論

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4日目になり、新しく来たメンバーと合流

ナース2名、ロジ1名、薬剤師1名、医師1名


新しく来た人たちにこれまでに得た情報の提供と引き継ぎを行った

 

感染フロアの環境整備が進み、自分の構想通りに進んでいった

しかし、その構想を十分伝えるためにプレゼンの資料も準備した

行政の方に担ってほしい業務もピックアップし、感染対策についてQ and Aを作成した 

感染フロアで生活される方のために生活のしおりも作った



感染フロアのラウンドも慣れてきて、回診バックも充実した

感染された方々とのコミュニケーションも良好で、トラブルになる事例は皆無であった


ラウンド時に不安や症状について細かく聞くことが安心につながっていると思った

みなさん、話していると次第に目がうるうるしてきて、涙を流しそうになっている姿が印象的であった

それくらい追い詰められた状態にいるのだと改めて感じた


だが、自分は医者としての立場で患者さんと接してしまっていた

普段よりも丁寧に話を聞いたり、接していたつもりだが、

あくまで医師-患者関係の中でのコミュニケーションであった気がする


家が壊れ途方に暮れており、今後の見通しが立たず、

感染で咳や熱、痛みで追い討ちをかけられ、

毎日を生きることで精一杯な被災者さんにかける言葉がなかった


PFA(心理的応急処置)を学んではいた(というより知ってはいたくらい)が、

何もできなかった


心がけたことは、すれ違った全ての人には挨拶を(当たり前だが)

行政の方やボランティアの方には労いを

笑顔を作れていたか自信はないが、なるべく元気に振る舞おうと思っていた


これは上司からの申し送りがなければできなかった

極限まで疲れた状態で元気に明るく、人と接することはかなり意識していないとできないと感じた


そのためにはしっかり休息をとり、自分が元気でいないといけない

今更ながら睡眠や休息をとるのが自分は下手だった


 

 

本日は昨日から決めていた方を入院させることとした

要介護2で夫も高齢で、食事が数日取れていない高齢女性


夫が隣にいるが、お二人とも高齢で今までは何とか自宅で生活できていたようだ

こちらにきていつの間にか、寝たきりの状態になってしまっていた


元々はなんとか動けていたようだが、数日地べたで寝ていれば

起き上がれなくなるのは当たり前である


すでに段ボールベッドは導入されていたが、

手すりがなく、段ボールベッドでの介護は非常に難しかった


だが、段ボールベッドのおかげで車椅子への移乗はやりやすくなった

段ボールベッドの重要性を知った


食事や飲水を介助する人はおらず、トイレにもいけない状態であった


オムツは断固拒否されたので、自分と看護師さんで車椅子に乗せて

トイレまで連れて行ったが、とてつもなく大変であった


数時間ごとに飲水の介助のため部屋に立ち寄り、

一人で体を支えつつ、飲水を促していたが、マンパワーが足りず、

これでは他の仕事ができないと感じた


SpO2 も悪化してきており、crackleも聴取し、

下腿浮腫も見られたため、誤嚥性肺炎からの心不全増悪疑いで入院を検討していただくこととした


119に電話し、救急搬送となった


救急隊が到着した




エレベーターは使えず、6人がかりで担架で階段をおり搬送できた

担架で人を運ぶのがこんなに重いとは思わなかった


担架で人を運ぶ場合は、最低4人は必要で6人いた方が安心であることを知った


各フロアに隔離部屋を作った方が良いと提案したが、全ての部屋は埋まっており、

隔離部屋を作るとしてもインフルエンザ、コロナ、腸炎の部屋が3つ必要であり

現実的には難しかった



感染の隔離解除については、統一するために紙に書いてわたした


どこの部屋にいってもらうかも、紙に記載するようにした

そういった説明用紙も作成した



17時 夕方ミーティング

 

医療:患者さんは半減された印象、診療時間を短縮していきたい 

   一人では生活できない高齢者

   →市の福祉課に問い合わせてくれた

    障害者福祉施設へ行けるようだ

    早ければDMATが明日くる

    それまでは看護師さんがケアを

 

環境:ペットどうするか、ペット避難所をどうするか

   ペットO Kの二次避難所を探しているが、なかなか見つからない

   早めに二次避難所へ

   救急搬送された人の私物をどうするか

 

上水: 一回に何トン入るのか、最大何トンの水を運べるか 

    4トン車で来ており、3回給水している

     トイレ使っていない状況で今は7t使っている

 

Q1日に何トンの水を入れられるのか? 


下水 洗濯機は使えない、排水ができないから

 

行政    二次避難所に誘導しているが、増えない

    他の避難所の人がまた来るかもしれない

    避難所をどうするかは市が決めること

 

二次避難所のアナウンスを行政からしてもらう

→朝、夕で

二次避難所の選定は県が行なっている

 

コミュニケーション 噂の方を信じる、ホームページは見ない

          回覧板は感染の観点から今はしていない

 

 

以上、夕方ミーティング

 


夜の救護所の対応を行い、コロナの方2名、感冒の子供2名の診療を行った 

明日は最終日であり、運転が控えているため早く寝たかった


0時  救護所をトントンとノックあり対応

2時  就寝

 

(4日目活動終了)


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