ワレンベルグ、その後②
緊急編です
夜間に当直で、
「患者さんが急に苦しがっています。」と看護師さんから連絡です
見に行くと、ぜえーぜえー言っています。
明らかに聴診器が無くても聞こえるほどのstridorです
幸い、SpO2は96%です
本人は苦しいと言っています
さて、何を考えるかです。
ワレンベルグで入院し、2週間目の方
症状はしゃっくりが持続し、色々な薬を試している最中です
誤嚥性肺炎も合併し、抗生剤治療5日目で、酸素化は問題ないようです
嚥下障害があり、胃管挿入中
考え方は、直ぐに処置した方が良いかどうか、をまずは考えます
原因は何であれ、stridorは窒息の危険があるので、
緊急で気道確保が必要かを考慮します
物と人を集めます
気道確保の準備は当たり前として、今回は原因を考えてみます
今回の場合で多いのは、痰が声帯に付着していることです
ワレンベルグでは、半側の声帯麻痺が起きている事が多く、
上手く咳が出せないので、痰がなかなか取れません
なので、対応は頑張って咳をしてもらったり、吸引を試してみます
出来ればすぐにファイバーで覗ければ尚良いですが、
喉頭鏡を少し使って見えれば、それでもいいです
なので、原因不明のstridorを見たら、まずは動かない声帯にくっついた痰を考えます
稀な原因として、nasogastrictube syndrome(NGT)というものがあります
胃管を入れておいた人に、原因がよくわからないが、
両側の声帯麻痺をきたす疾患です
あまり認識されていない気がしますが、
両側声帯麻痺は、エマージェンシーです
半側であれば、多くは甲状腺手術や脳梗塞、大動脈瘤、肺がんのリンパ節転移です
なのでもともと声がかすれている人は、言われていないかもしれませんが、
片側の声帯麻痺があるかもしれません
そういった人は、反対側が麻痺を起こすと、急に窒息します
窒息というと、何か異物や腫瘍があるのかな?と
画像を撮りたくなりますが、画像で何もなければ、
両側声帯麻痺を疑いましょう
その鑑別として、NGTというものがあることを知っておきましょう
対応はまずは胃管を抜去して、早急に気道確保、
または呼吸状態に猶予があれば、
ファイバーや内視鏡で両側声帯麻痺を確認することが重要です
ワレンベルグの人が苦しがって、ヒューヒュー言っていたら、思い出してください
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