2017年7月25日火曜日

多発性嚢胞腎が原因で透析中の患者の発熱

多発性嚢胞腎は非常に多彩な合併症を起こします

脳動脈瘤や高血圧は有名ですが、
弁膜症や憩室炎、嚢胞感染、尿路結石を起こすことがあります

なので、多発性嚢胞腎の人が発熱できた場合、感染を起こしやすそうな部位があるので、
そこから詰めていくことはリーズナブルかと思われます

また、透析をしている人の発熱というのも、一つのキーワードであり、
見るべきポイントがあります

太い針で何度も刺されるので、
シャント部の蜂窩織炎やそこからの血流感染をまず疑います

他にはASOになっている人も多いので、足は絶対にチェックしましょう

尿が少しでも溜まっている人であれば、膀胱からほとんど出てこない可能性もあり、
必ず尿培養や尿検査はしておいたほうがよいでしょう

例外は完全な無尿の患者さんです

あとは透析室はかなりの閉鎖空間であり、インフルエンザ時期になると透析室で
大流行するというのは、よくある話です

また透析患者さんは細胞性免疫が落ちているので、
結核のリスクでもあり、原因不明の咳嗽や微熱を見たら、
一度は疑った方がよいでしょう


結局、focus不明で嚢胞感染が否定出来ないとなった時が一番厄介です

なので、多発性嚢胞腎患者さんが発熱したら、

どこかに感染のfocusあってくれ!

と祈りながら、診察し、

どこにもなければ、やっぱりここかなという感じで、
嚢胞刺すかどうかの議論に落ち込んでいくことが多いです


嚢胞の感染があるかは非常に難問であり、
USもCTも感度が低く、MRIやPETを使い診断する事もありますが、
PETまでは現実的ではないので、
やってもMRIくらいでしょうか


実臨床では、嚢胞感染あるかもしれないけど、
抗生剤いってたら解熱してきたから、まあ今回は刺さなくてもよさそうだね

みたいな経過がよくあるパターンです

ただ抗生剤使っても治療経過が良くなければ、
やはりドレナージが必要なので、
MRIとってあたりをつけてから刺すかは、泌尿器科と相談が必要でしょう


嚢胞腎への感染は、

抗生剤の移行率の問題や画像検査の問題、

ドレナージのタイミングなど

議論すべき所がいっぱいあります

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