2017年8月1日火曜日

頭痛持ちの人のいつもと違う頭痛

頭痛持ちの人はかなりたくさんいます

ですが多くの人が病院受診せず、
市販の痛み止めで対応している人がほとんどだと思います

そのため、救急を受診している時点で普段とは違う頭痛と考えて対応する方が無難です

もともとの頭痛と何が違うかを明確にすることがまずは大事です

特にonset を一番気にかけます

突然発症、雷鳴様頭痛であれば、しのごの言わずに、
CTへ行きましょう

SAHや脳出血でなければ、ゆっくり問診してもokです

なのでここで困りがちなのは、CTで所見がなかった時です

考え方としてはまずは、
①もともとの頭痛が何であるかを診断します
②次にSAHを強く疑ってルンバールするか、緊張でMRIを撮るかどうか
③そして入院させるかどうか

思考回路はこんな感じです

もちろん、鎮痛は同時並行で行います


①もともとの頭痛が何であるか

頭痛持ちの人の多くは緊張性ですが、
診断されていない片頭痛の人も大勢います

片頭痛がもともとの頭痛であるか否かで、対応が変わってきますので、

まずは片頭痛らしい頭痛持ちの人かを問診します

有名なPoundに当てはめたり、乗り物酔いしやすい、人混みが嫌い、片頭痛の家族歴、
心雑音を指摘されたことがあるか

といったことを聞いて、片頭痛かどうかを確認します

もともとの頭痛が片頭痛らしければ、目の前の患者さんに対して、
片頭痛の発作として対応するのはリーズナブルかと思います

やはり片頭痛の発作でも非常に強い時は、病院受診する人はいます

しかしここで注意があります

新たな頭痛の前に誘引がある場合です

例えば、

  • 排尿
  • 排便
  • 性行為
  • 運動
  • 入浴
  • ストレス
  • 笑い
などです
こういった時は、RCVSの可能性があります

RCVSの典型例は

もともと片頭痛持っている人が、いつもの片頭痛を起こし、
数時間して、何かの誘引の後から(経験では排尿が一番多い印象)
突然、激しい頭痛に見舞われ、
痛すぎて、泣き叫んでいる人です

酷い頭痛発作は数時間で治るので、救急で色々やっていたら、
改善してきた様に見えます

でもそのAtackはその後も何度か続きます

例えば排尿するたびに頭痛発作に見舞われて、
尿道カテーテルを留置する人もいます

RCVSはピットフォールだらけの疾患です

  • 片頭痛だと誤診しやすい  :  症状がそっくり。だけど明らかに片頭痛よりも痛がる
  • 片頭痛だと思って、イミグラン使ってしまうと、悪化したり、RCVSを誘発することがある
  • 初回のMRIでは必ずしも攣縮を捉えられない  : 末梢から攣縮して、徐々にwilis動脈輪に近づいてくるため
  • 必ずしもreversibleではなく、脳出血や脳梗塞を1週間後くらいに合併することもあり、後遺症が残ることもある
  • SAHだったけど、動脈瘤がなかった。特に皮質下の場合はRCVSの可能性がある
といった感じで、見逃しが多く、重篤な合併症を生む可能性もあり、

後医は名医パターンになりやすい疾患で、カンファレンスで好まれます

なので最初から疑ってかかる必要があります

いつ疑うかというと、もともと片頭痛持ちの人のいつもと違う突然の頭痛です

そういう人を見たら、イミグランは使わないようにしましょう

出来ればプリンペランやNSAIDsで様子を見たいところです

明らかに片頭痛っぽければ、使うのに躊躇は入りませんが、
心の奥では、トリプタン製剤はRCVSの誘引になりうると考えておくことが大事です




あとはMRIを緊急で撮るかどうかですが、
これは色々と問題があります

まずは撮れる施設は限られていること

そして、

疑う疾患によっては撮り方も異なり、
さらには自分の読影力で読めるかどうかも問いかけなければなりません

例えばMRVやSWIをを読んで静脈洞血栓を診断できるのであろうか
解離を狙って、BPASを追加してもらうか

といった具合です

個人的には雷鳴様頭痛患者全員に静脈洞血栓症を疑い、
MRIを撮るのはやり過ぎだと思います

やはり病歴で、
ピル服用していたり、
ベーチェット病やAPSが背景にありそうであったり、
何かしら凝固の問題をちらつかせる病歴がなければ、
単独の頭痛だけでは取らなくてもよいかと思います


解離は難しいですよね
でも実際解離をすぐに診断したら、予後がよくなるかと言われると、
それはよくわかないので、
翌日でもよいかと思います

あとはしっかり診察すればわかる疾患があるので、
それは見落とさないようにしましょう

特に頭痛診療において、目は非常に多くのヒントをくれます

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