2017年8月10日木曜日

アルコール飲んだ後の痺れ

そりゃアルコールずっと飲んでたら痺れるだろ

という感じにはなってしまうのですが、

今回はそこまで多飲歴がなくて、

という状況を考えます

例えば、前日にいっぱい飲んで、翌日には二日酔いになったけど、
なんだかずっと手がしびれているみたいなプレゼンテーションです

ここで一番落としてはいけない疾患があります

それは頚椎骨折に伴う頸髄症です



周期性四肢麻痺を疑って、甲状腺とカリウムを調べるのは、
国試の賜物でしょう

でも頸をケアしている医師はあまりいません

その目で診察してみる事が大事です


急性アルコール中毒で意識障害で搬送された症例も同じです

みなさん、硬膜下血腫や外傷性くも膜下出血は簡単に思いつきますが、
頚椎の事を忘れがちです

ここに来るまでに、階段から落ちているかもしれません

酩酊状態では病歴も言えませんし、

覚えてもいません

アルコールのせいで、痛みも鈍感です

体に泥が付いていたり、鎖骨より上に擦り傷みたいなのがあったら、
より強く疑いましょう




アルコールは色々な問題を引き起こします
性感染症が芋づる式で、色々調べるのと同じく、
アルコール関連も芋づる式で色々調べた方が良いです




ここでは神経の疾患を省いていますが、
アルコールは末梢神経も中枢神経も障害します
末梢神経神経では、ビタミン欠乏が問題になったり、
アルコールそのものの神経障害であったり、
Small fiber neuropathyであったり、
プレゼンテーションは様々ですが、
とても痛がる人が多い印象です


糖尿病と高齢者とアルコール飲みの人が痺れを訴えてきたら、
原因はよくわからない事が多いです


しかしそうはいっても神経伝道速度検査をすると、
思ってもみなかった結果は帰ってくる事がありますので、
原因が不明であれば、神経伝道速度検査をする価値はあるかと思います





痺れの考え方は、まず痺れが何を意味するのかを確認します

脱力のことを意味している可能性もあります

本当に痺れであれば、
感覚神経の順路で当てはまるかどうかを考えます

そして感覚神経以外の原因で痺れを来す疾患を考えます
(厳密には恐らく感覚神経も障害されていると思いますが、
便宜上こう分けた方が分かりやすいので)

痺れは本当に厄介です

嫌いな症状の一つですが、
だからこそ診察する医師によって、診断に差がつきます


最近、リリカへの風当たりが強くなってきています
安易にリリカ出しておけば、原因はなんでもいいやと
ならないようにしましょう

時代は

痺れに

メチコバール

から

リリカ

に変わっただけで、

診断能力は全く上がっていないように感じます

痺れのこつは上手に腱反射の異常を捉えることにあると思います

理由は頻度の多い頚椎症性頸髄症や神経根症を身体所見である程度、
あたりをつけられるからです

腱反射ほど診察に差が出る所見はないと思っています

ちょっとした左右差やinverted reflexは一見、正常に見えてしまいます

神経内科の先生と一緒に診察するのが上達のコツです

0 件のコメント:

コメントを投稿