2017年9月4日月曜日

慢性咳嗽

咳って辛いですよね

いずれ止まるだろうと思いつつも、一向に止まらないし、

だんだん、胸骨の剣状突起や脇腹周囲が痛くなったりしてきます

何より咳はエネルギーを使うので、咳ダイエットを考えちゃう人もいるくらいです


原因として、多いのは感冒後咳嗽ですが、

この中に相当数、急性副鼻腔炎によるpostnasal dripが隠れており、

under diagnosisされていると思われます

副鼻腔炎は結構辛いです


痛いのがメインというより、何だかぼーっとして頭が働きません

そして、咳をするとさらに悪化して、頭に響いてきます


初期の急性副鼻腔炎はウイルス性が多く、

二峰性の経過で悪化してきた時は細菌性を疑います

しかし、細菌性であっても自然軽快することもあり、

さらにはアレルギー性や血管炎による事もあり、

抗生剤の適応は見極めが必要になります


一応、重症を見極めるスコアリングがあり、中等症から重症なら抗生剤いってよし

という事にはなっています


ただ、湿性咳嗽は小児ならスコアの一角を成していますが、

成人だと入っていないので、どうなのかなあと思います

個人的には咳が酷い急性副鼻腔炎の人には、試してみても良いかなと思っています

ただし、急性副鼻腔炎の定義が4週間なので、

正確には慢性咳嗽の範疇には入らないので、

感冒後咳嗽と診断しそうになったら考える

という思考でよいかと思います


本当に慢性咳嗽になってしまうような、post nasal dripは

副鼻腔気管支症候群の可能性があます

こちらは少量マクロライドが効きますが、

CAMがキードラックであるNTMの除外が必要です



慢性咳嗽の時の考え方は、

重篤な疾患を見逃さないようにする事と喘息を見逃さない事です

重篤な疾患には命に関わる問題、つまり肺がんや結核、間質性肺炎が挙げられます

そして感染性という観点も必要で、

やはりここでも結核が出てきます

特に喉頭や気管支に主座がある結核は感染力が高く、

喘息として治療されてしまうケースが多いので、

常に結核は疑います

疑い続けて、痰の培養を出し続けます


喉頭や気管支結核は幸い排菌量が多いので、

痰の検査で捕まる事が多いです


しかし肺結核は痰が出ない人がいたり、

培養が陰性になる事もあり、

なかなか潔白が証明されないのが肺結核の特徴です


どんな検査をしても結核ではないと言い切れないのが辛い所で、

陰性証明は陽性証明よりも難しいのです


結核っぽくはないとまでは言えるので、


除外しきれない時は、他の診断を詰める事で、

結核らしさを下げる作戦にでます



しかし、慢性咳嗽はどうしても特異的な検査があまりない分野なので、

病歴に頼らざるを得ません


使っている布団の種類とか、

築何年の家に住んでいるとか、

本人でさえ、知らないかもしれない事まで聴取します

そしてある程度あたりをつけて、診断的治療を試していく

という流れになる事が多いです



咳が長引くほど、感染の可能性は下がります

よくあるのは、喘息とGERDです

GERDは慢性咳嗽が続くと、腹圧が高まり、

途中から合併する事もあります

なので、慢性咳嗽の原因は一つとは限りません

両方治療しないと良くならない事もあります


喘息は良くある疾患であり、治療も出来るので、

見落とさないようにしましょう


病歴のポイントは日内変動や季節での変動、

他のアレルギー素因があるかどうかなどです


百日咳もたまにあります

特徴的な病歴は、吐くほどの咳とスタッカートレプリーゼです


特徴的な吸い込み音をモノマネでやってあげて、

それですそれ!

となれば、グッと疑いが強まります

なるべく早めに治療してあげると、

流行ももししたら食い止める事ができるかもしれないので、

早期診断早期治療が理想ですが、

それが非常に難しい疾患の一つです


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