2017年11月23日木曜日

性行為感染症

性行為感染症(STI)はカンファレンスではよく議論になりますが、

実臨床で毎回疑えている人は少ないのではないでしょうか

気が付いた時にはすでに遅いこともあるのが、

性行為感染症の怖いところです

診断の遅れが、感染の拡大につながります


HIV患者さんは生涯に4-5人に感染を拡大するといわれています

なので、一人のHIV患者さんを見つけたということは、

感染したかもしれない5人を救ったことになりますので、

とてもインパクトの多い疾患です

経済的にも社会的に本人にとってもHIVは非常にインパクトがあります


HIVは悪性腫瘍よりも難しい診療が求められます

それは医学的側面はもちろんですが、

それよりも告知やフォローが、

HIVの場合は非常にsensitveになります


HIV患者さんは誰にも相談できないのが、つらいと言われています

癌であれば、友人、家族、恋人に相談することもできますし、

同情されることも多いです

ですが、HIVの場合は、

社会的に理解が進んでいるとは決して言えない疾患であり、

差別的な目で見られてしまうことが多く、

誰にも相談できず、職場にも言えず、

一人で思い悩んでしまう人が多く、

非常にうつ病の合併も多いと言われています

唯一の相談相手が、医師であるという人も多いようです


梅毒は性行為感染症の王様的な存在でしたが、

HIVは感染症の王様的な存在です

HIV患者さんは最初から、感染症科の先生のところにはいきません

ある日、普通の内科医のところに来ます

STIを疑うポイント

外来をしている内科医は、STIに対して、

常にアンテナを張っていなければなりません


ひっかけるポイントは

病歴、既往歴、渡航歴、仕事、身体所見が挙げられます



どこかでひっかかったら、

STI関連の問診を仕切り直します

聞き方は

①まずは性行為関連の病歴を聴取する理由や前置きをします

・発熱(関節炎、皮疹などなんでもOK)があるということは、体の中に細菌やウイルスが感染している可能性があります
そういった病原菌は体の外から中へ入ってくることが多く、
入ってくる場所も限られてきます。
口や鼻、尿から入ってくることが多いですが、性行為などでも体に入ることがあります
なのでお聞きしますが・・・・

・原因がよくわからない発熱(関節炎、皮疹などなんでもOK)の方、
皆さまにお聞きしているのですが・・・

・咽頭痛を起こしたり、リンパ節を腫れさせる病原体として、
EBV、CMV、HIV、コクサッキー、エコー、HSV、マイコプラズマなどが考えられます。
お話しからはどの病原体かを絞るのは困難なため、検査を行わせていただければと思います。ただし、測定できるウイルスが限られており、
EBVやCMVやHIVはすぐに検査で調べることができますので、
調べさせていただいてもよいでしょうか



②実際聞くことは5P

Partners:パートナー
相手の性別、人数(直近1年間)、パートナーが自分以外のパートナーがいるか

Practices:行為の詳細
oral、anal sex、コンドームの使用

Prevention of Pregnancy:妊娠の予防の有無
ピル服用、リング、殺精子剤

Protection from STI:
性行為感染症から身を守るために何かしているか
コンドームの使用

Past history of STI:STIの既往
過去の既往はあるか、パートナーにSTIの既往があるか




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