2019年3月2日土曜日

不明熱 基本編

不明熱 基本編です

不明熱を定義したのは、ピータゾロフ先生で、

持続時間を3週間以上続く発熱としたそうです

その理由は、

自然に改善するウイルス疾患を除外したかったためのようです

38.3度にしたのは、習慣性高体温の人を含めないようにしたためです



時代は進み、HIVが登場したり、入院期間を短縮させる傾向がでてきたため、

不明熱の分類が変わりました

古典的な不明熱、院内不明熱、好中球減少性不明熱、HIV関連不明熱

の4つにわけられるようになりました


しかし、

現代の超高齢化社会では、「focus不明熱」というものがあります

例えば、がんのターミナルの人で、

寝たきりで、コミュニケーションがとれない場合、

尿も汚く、肺も誤嚥を繰り返し、肺炎像が消えず

褥瘡もあり、腫瘍もあり、

といった場合、

いったいどこがfocusが分からないことはしばしばです


そして、抗生剤を投与すると、熱は下がってしまい

結局、自分が何の熱と戦っていたのか、分からない・・・



そういう状況が、現代では増えており、「現代版不明熱」ではないかと

思っています


そういった状況が染みついているせいか、

熱=感染症=抗生剤が効く

という構図となり、


発熱に対して、

とりあえず、抗生剤いっとく?

的な感じのマネージメントがよくみられますが、

「何に対して」が抜けている場合の抗生剤は、

いつでもきっていいと思います



ピータゾロフ先生のように、不明熱を楽しむ領域になんて、

とてもとても無理です

不明熱は苦手で、苦い思い出しかありません


一番、最初にみた不明熱の人は、若い女性で、

結局、エルドハイムチェスターでした


よくよく、思い返すと、よく膝を痛がっていました

でも膝関節の炎症ではなかったので、流してしまっていましたが、

シンチすると、両膝の上の大腿骨に強い集積を認めました


これまでの不明熱の人を思い返すと、

CMV、白血病、GCA、IVL、肝脾原発リンパ腫、リンパ腫からの血球貪食症候群

などありました


どの不明熱も診断する作業はとても大変でした

患者さんも家族も、主治医もだんだん憔悴してしまうのが、

不明熱診療の特徴です


なので、不明熱診療は、家族や本人にこまめに面談を行い、

自分たちが考えている内容をすべて提示して、

この計画で進んでいくということを、

伝えなければなりません

でないと、容易に医療不信に陥ります


なので不明熱診療は、

臨床推論とともに、家族ケアも大事です

あ、あと自分も疲弊しないよう、

自分へのケアも忘れずに




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