不明熱 基本編です
不明熱を定義したのは、ピータゾロフ先生で、
持続時間を3週間以上続く発熱としたそうです
その理由は、
自然に改善するウイルス疾患を除外したかったためのようです
38.3度にしたのは、習慣性高体温の人を含めないようにしたためです
時代は進み、HIVが登場したり、入院期間を短縮させる傾向がでてきたため、
不明熱の分類が変わりました
古典的な不明熱、院内不明熱、好中球減少性不明熱、HIV関連不明熱
の4つにわけられるようになりました
しかし、
現代の超高齢化社会では、「focus不明熱」というものがあります
例えば、がんのターミナルの人で、
寝たきりで、コミュニケーションがとれない場合、
尿も汚く、肺も誤嚥を繰り返し、肺炎像が消えず
褥瘡もあり、腫瘍もあり、
といった場合、
いったいどこがfocusが分からないことはしばしばです
そして、抗生剤を投与すると、熱は下がってしまい
結局、自分が何の熱と戦っていたのか、分からない・・・
そういう状況が、現代では増えており、「現代版不明熱」ではないかと
思っています
そういった状況が染みついているせいか、
熱=感染症=抗生剤が効く
という構図となり、
発熱に対して、
とりあえず、抗生剤いっとく?
的な感じのマネージメントがよくみられますが、
「何に対して」が抜けている場合の抗生剤は、
いつでもきっていいと思います
ピータゾロフ先生のように、不明熱を楽しむ領域になんて、
とてもとても無理です
不明熱は苦手で、苦い思い出しかありません
一番、最初にみた不明熱の人は、若い女性で、
結局、エルドハイムチェスターでした
よくよく、思い返すと、よく膝を痛がっていました
でも膝関節の炎症ではなかったので、流してしまっていましたが、
シンチすると、両膝の上の大腿骨に強い集積を認めました
これまでの不明熱の人を思い返すと、
CMV、白血病、GCA、IVL、肝脾原発リンパ腫、リンパ腫からの血球貪食症候群
などありました
どの不明熱も診断する作業はとても大変でした
患者さんも家族も、主治医もだんだん憔悴してしまうのが、
不明熱診療の特徴です
なので、不明熱診療は、家族や本人にこまめに面談を行い、
自分たちが考えている内容をすべて提示して、
この計画で進んでいくということを、
伝えなければなりません
でないと、容易に医療不信に陥ります
なので不明熱診療は、
臨床推論とともに、家族ケアも大事です
あ、あと自分も疲弊しないよう、
自分へのケアも忘れずに
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