2020年9月19日土曜日

クリプトコッカス 

 クリプトコッカスは忘れた頃にやってきます

知っているようで知らないクリプトコッカス感染症はとても面白いです


1、クリプトコッカスはどこにいる?

ハト=クリプトコッカスの図式になることが多いですが、

鳩のフンで増殖しやすいので、フンが溜まっていそうな場所がリスクです

木のくぼみや公園、神社が危ない環境です

ハトが密集していると、クリプトコッカスをうつしあっているようで、

3密のハトは危険です


ちなみにハト以外の鳥の消化管にもいます

鳥は体温が高く、消化管にクリプトコッカスは存在できても、

増殖できず、クリプトコッカス症を発症することは稀です


2、クリプトコッカスはどこから侵入する?

吸入して肺に入ります

そして播種すると全身に飛び散ります

ヒトヒト感染はありません

そこはニューモシスチスと違うところです


3、免疫不全者の病気でしょ?

免疫正常者でも肺病変を作ることはあります

ただ自然治癒することも多いです

結節影で見つかり、抗原も陰性のことが多く、

癌と区別がつかず、手術になることもあります


免疫正常者でも時に播種して、髄膜炎を起こします

もちろん、免疫不全者の方がよりリスクは高いです


4、抗原調べればいいんでしょ?

肺病変だけの場合、陰性になることが多いです

むしろ、肺病変だけで、抗原が陽性の場合、

播種性しまっている可能性を考慮します

なぜなら、播種していても無症状のことも多いからです


特に中枢神経への感染が懸念されます

マクロファージに乗ってBBBを通過します

トロイの木馬セオリーです


5、βdグルカンはあがんないんですよね?

上がらないことで有名ですが、たまに上がります

上がらない理由は厚い莢膜があったり、

クリプトコッカスの細胞壁のβDグルカンが検査で測定している1、3ではなく、

1、6だからと言われていますが、時折上がることもあります


6、治療は?

病変部位やHIV合併のある無しで治療が若干異なります

アムホテリシンBやフルシトリン、アゾール系の抗真菌薬に感受性があります

キャンディ系は効きません


髄膜炎の場合、抗真菌薬としては珍しく併用療法が推奨されています

ガイドラインを参考に治療しましょう

髄膜炎の場合、抗癌剤みたいな感じで、かなり長期の治療が必要になりますので、

エンピリックに治療するには、ハードルが高いです


髄膜炎の場合、圧がとても高くなることで有名です

初圧が25以上は予後不良です

ドレナージするかの如く、20未満になるように

繰り返し腰椎穿刺を行います


7、gattiiがやばいんでしょ?

熱帯地域のユーカリにたくさんいるのが、gattiiです

日本でもまれに症例報告がありますが、最初から考える必要はないです


Gattiiは免疫正常者でも発症しやすく、病原性が強いです

培養でgattiiだったら症例報告した方がいいです







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