2022年5月21日土曜日

NEJM 〜最終診断は身近なあの疾患!〜

今回のNEJM のケースレコードも勉強になりました

鑑別は膨大に上がるのでいろんなことを考えなければいけないのですが、
灯台下暗し的な感じがありますね


鑑別をあげるいい練習になりました


この疾患も除外の上に成り立つということがよくわかりました








膠原病の人が何か具合が悪くなった時は3つ考えます

①その膠原病の増悪:血管炎の肺胞出血
②膠原病の治療による影響:MTXやPSLなど
③その他:他の感染症



この時点では見逃せない疾患は気管支結核であり、
ありそうな疾患としては誤嚥性肺炎となりました

誤嚥している背景が何かが気になりますね

拡張している食道を見たら、アカラシア、偽性アカラシア、食道癌、強皮症を考えます



肺炎の治療が日本と全然違うのでびっくりしますね 笑

普通はグラム染色して、抗生剤を選びますが、
グラム染色しないとこうなるのですね・・・

やはりグラム染色の重要性を認識します


そして気軽にキノロン系は使って欲しくないですね 笑

これは上級医の怒りを買いますね


理由は、LVFXで結核がpartialに治療されてしまうからです


結核の否定ができていない状況で安易にLVFXを投与することは、
禁忌レベルだと思ってもいいと思います



治療して退院して、またすぐに肺炎になっています

この経過は3つですね


①過敏性肺臓炎
②partialに治療された結核
③誤嚥性肺炎が再燃






CTでtree in budの結核を示唆する所見がありました

言わんこっちゃない・・・という感じですね


結核を考えた時のクラスターとしては、
NTM、真菌、サルコイドーシス、腫瘍、誤嚥、リウマチによる慢性気管支炎ですね





BALの結果はかなり大事ですね
分画も大事ですが、微生物検査も重要になります


カンジダが生えてはいますが、
カンジダ肺炎は激レアさんです

痰から生えてもコンタミのことが多いので、
安易にカンジダ肺炎と診断してはいけません



今更ではありますが、今回の症例はコロナ時代ではなさそうですね




好中球優位であることは、細菌性肺炎、真菌性肺炎、誤嚥性肺炎、膠原病肺、気管支炎を示唆します




嚥下障害がたまにあったようです
嚥下障害からの誤嚥性肺炎説が一番有力な気がします




喘鳴が毎回ありますね

喘息として治療されても改善していません



そんな時に考えることがあります


喘鳴をみた時の3ステップです

もちろん、stridorではないことを確認してからです



RPはあってもよいかもしれませんね

MDS背景の人はPNっぽい所見を呈することがあります

RPもMDSの人に合併してくることがあるので、
もしかしたらトリソミー8とかあるかもしれません

マルクを検討するのはありですね

RPかどうかは、気管軟骨の肥厚や炎症をみたり、
耳介や鼻、目、心臓をチェックすることが重要です






ここでグラム染色がようやく出てきました 笑


好中球が多数いて、porimicrobial paternだったようです

つまり、我々が一番よくみるグラム染色のパターンですね


診断はズバリ誤嚥性肺炎でしょう

今後は誤嚥性肺炎の原因精査が必要になります

嚥下障害



ということで・・・・


結節性多発動脈炎で免疫抑制剤使用中の方の慢性、再発性の肺炎の症例でした

膠原病の増悪や結核、途中で出てきたカンジダ、MTXによる薬剤性、

経過からの過敏性肺臓炎などは丁寧に除外されていく過程がみれてよかったです


commonな疾患のuncommonなプレゼンテーションでした

誤嚥性肺炎もこういうパターンで来ることを再認識しました


ですが、色々ツッコみたくなるプラクティスもありましたね

・グラム染色しなさすぎ → 当初からしていれば、ここまでこじれなかったのでは?

・LVFX入れすぎ → 結核の診断をわかりにくくしている

・検査に踏み回されすぎ → βDグルカンやガラクトマンナンに振り回されていました 


自分達の日常のプラクティスはMGHにも負けてないなと思いました 笑


まとめ

・膠原病の基礎疾患がある人の症状増悪の考え方

→①膠原病増悪、②治療関連、③その他


・再発する肺炎の考え方

→①過敏性肺臓炎、②partial treatmentの結核、③誤嚥性肺炎


・誤嚥性肺炎の原因

→①嚥下機能低下、②意識レベル低下(咳反射低下)、③GERD

  まずは薬を疑うことから始める:今回はオピオイド

0 件のコメント:

コメントを投稿