BPSDの考え方は、BPSDで考える
Bio:生物学的要因
Psycho:心理的な要因
Social:社会的な要因
Drug:薬
Bio:生物学的要因
生物学的な要因としては、
①認知症の型(アルツハイマー、脳血管性、DLB、FTLD)や
②病期(初期、中期、末期)を考えます
認知症の型によって、障害される脳の部位が異なるので、
出やすいBPSDがあります
認知症の初期のうちは、感情障害(うつ、アパシー)が出やすく
進行してくると、易怒性や興奮が出現してきます
末期には、あらゆるBPSDが出現してくるといわれています
脳内物質の増減によっても、出現する症状に傾向があります
アセチルコリン、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン
これらの増減によって、引き起こされる症状に対しては、
それに対応した薬を使うと改善が見込めるかもしれません
また認知症以外の疾患によっても、
BPSDが悪化することもあるので、
他の疾患にも目を向けることは重要です
Psycho:心理的な要因
認知症になると、
出来ていたことができないことを実感したり(喪失体験)
指摘されたりすることで、
自尊心が傷つくことが多いです
その苦しみやもやもやがBPSDになって、出てきます
また病前の性格も影響していると言われています
他罰的な性格の人の場合、
財布の例では、人を責めるBPSDになるでしょうし、
自罰的な性格の人の場合、
自分を責めてしまい、うつ傾向になるかもしれません
同じ事象が起きても、人によっては、
易怒性がUPし興奮し、
ある人は、落ち込んでしまう理由は、
まだ解明できていないようですが、
病前性格は一つの要因にはなっていると思います
なので、家族に元々どういった性格の人だったかを聞いておきましょう
Social:社会的な要因
人は社会の中で生きています
そのため、社会との関係性が壊れてくることも
BPSDを引き起こす要因です
車を運転して、趣味で生け花にいっていた人が、
車の免許を返却したため、生け花にいけなくなってしまって、
ふさぎこんでしまうようになったりすることもあります
元々、楽しくやっていた趣味や習い事は、なるべく継続したほうがよいでしょう
BPSDは火みたいなものです
せん妄も同じです
火事は起きてから消すのでは、遅い時もあります
何より、予防が一番大事です
起きてしまったら、ぼや、くらいで済ませるため、
早めの対応が必要です
BPSDの対応
大事なのは、非薬物療法です
薬物療法よりも効果があります
BPSDの対応では、薬物療法に頼りすぎなのが、現状でしょう
医者は困ったことを解決させる手段として、
薬を処方します
なぜなら、薬の処方は医者しかできないからです
そして、家族や看護師さんも薬を求めてきます
需要と供給が合致してしまいます
どうして、薬以外の方法で対応しないのでしょうか
それは、すでに試しているという理由であったり、
時間がないという理由でしょう
しかし、
BPSDに対するケアは時間はかかりません
ただ、ちょっとした姿勢・態度の変化でいいのです
本当にケアをする全員ができているでしょうか
大事なのは、
これまでの人生に目を向け、
「その人らしさ」を取り戻すことです
パーソン・センタードケアと呼ばれる手法で、
ユマニチュードも似たような感じです
認知症の○○さん
として、扱っている限り、
BPSDもせん妄もおさまりません
元々、○○を頑張っていた□□さん
として、
男性には、リスペクトの姿勢を示したり、
女性には、ラブの姿勢をみせることが、
よいのではないかと思います
そして、一番知っておいていただきたいのは、
上級医の態度や姿勢は、
研修医や専攻医、看護師がマネします
よくも悪くもです
BPSDまとめ
・BPSDが起こった場合、BPSD(生物的要因、心理的要因、社会的要因、薬)を考える
・BPSDのそれぞれの対応策を考える
・非薬物療法が本当に全部実践できているかを常に考える
参考文献:BRAIN and NERVE 70(9):993-1003,2018
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