2017年8月4日金曜日

誤嚥性肺炎を通じて見る人の人生

誤嚥性肺炎は内科医なら誰しもが経験します

そして誰が治療しても大抵は治ります

なので、流れ作業のようになりがちで、パスがある病院まであります


今回はその誤嚥性肺炎を患った人とどう向き合うかを考えてみました

高齢者の誤嚥性肺炎は、子供の風邪並みにメジャーな疾患です

何度も繰り返す人がいます

その時に注意しなければならないのは、本当に誤嚥性肺炎だったのかどうかです

安易に誤嚥性肺炎と診断していないか?

ということを過去のカルテや画像から検討します

画像の分布からは誤嚥性肺炎とは言えないが、抗生剤で軽快した

後日、実は結核だった。何てことはたまにあります

結核に効く抗生剤はクラビットだけではありません

結核は他の抗生剤も中途半端に効く時があります。

もしくは自然軽快することもあります

なので抗生剤が効いたからといって、誤嚥性肺炎だったなどとは言えません

結核は高齢者はみんな持っているものという認識で構えておいたほうが無難です


なので誤嚥性肺炎を繰り返している人は注意が必要です

経過も大事です

例えば誤嚥性肺炎疑いで、入院させたが、
毎回入院するとすぐに良くなるというプレゼンテーションは二つ可能性があります

一つは、過敏性肺臓炎です

そしてもう一つは誤嚥性肺臓炎です

誤嚥性肺炎と誤嚥性肺臓炎は病態が異なります

肺臓炎は以前はメンデルソンとも言いましたが、

基本はケミカルな炎症であり、抗生剤は必要ありません

そして治りも早いです

誤嚥性肺臓炎を繰り返しているのであれば、胃酸が容易に逆流している可能性があり、

胃カメラを勧めたほうが良いかもしれません

過敏性肺臓炎は鳥が原因の事が多いので、鳥に関する暴露を細かく聴取します


以上のことを考慮してもこれは誤嚥性肺炎以外ありえないということであれば、

次のように考えます




急性期、まずは感染症の知識が必要です

そして栄養学の知識も必要です


治療計画が立ったら、次は神経と嚥下の知識が必要です
VFやVEが必要になり、
STさんとのコラボの時間です


そして治療がある程度すすめば、
今度は家庭医療学や緩和ケアの知識が必要になります

以上のように誤嚥性肺炎を真剣に考えると、
受け持った担当医によって、
だいぶ予後やQOLが変わる疾患であるということがわかります

誤嚥性肺炎は誰が見ても同じ疾患ではありません



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