2020年11月7日土曜日

内分泌疾患はじめの一歩

 内分泌疾患は疑うのも難しければ、診断するのも難しいです


①想起するのが難しい

症状が非特異的(倦怠感、痛み、食思不振、起立性低血圧、ボーッとする)なことが多く、

逆に他の臓器を疑う症状(動悸、浮腫、関節痛など)もあったりします

また精神疾患を思わせる不定愁訴や本当に精神疾患を合併していることもあります


想起しないことには、診断できませんので、

内分泌疾患を疑うアンテナは常に立てておかねばなりません


一方で、なんでもかんでも疑いすぎて検査しすぎるのも問題ですので、

診断するメリットと

検査にかかる時間・費用・医療資源・患者さんへの負担・侵襲を見極める必要があります


②内分泌疾患にはスペクトラムがある

組織にのみ異常がある非活動性(silent disease)

症状としてはみられない潜在性(subclinical disease)

病態が完成した明らかな状態(overt disease)

命の危険がある状態(crisis)


スペクトラムがある疾患で、どこで発見されるかは人それぞれです


病態が完成していれば、疑うこともできますが、

一度精査を行って大丈夫だったからといって、

今後も大丈夫というわけではありません


時間が経過すれば、問題(データや症状)が顕在化することがありますので、

時間と根気が必要です



③確定診断が難しい

内分泌疾患は機能的な問題ですので負荷をかけないと、本当に異常があるかどうかはわかりません


スクリーニングも簡単にできるわけではありません

安静臥位や薬の影響などスクリーニングの際にも注意することがあります


さらに診断を確定するには、負荷試験が必要ですが、

そのためには、労力や時間、知識が必要になります

もちろん、スクリーニングを行って、怪しければ専門医に紹介するのがベストですが、

近隣にはないことが多く、患者さんに負担がかかってしまうことがほとんどです



このように診断するハードルが高いのが、内分泌疾患の特徴です



まとめると内分泌疾患を診断するために必要なのは、たった一つです

内分泌疾患を診断するという気概です


気概がなければ内分泌疾患は確定診断できません

気概というのは、困難に屈しない強い意思です






内分泌疾患の考え方

内分泌疾患は正直苦手でした

その理由がわかりました
内分泌疾患の考え方の原則を理解できていなかったからです


例えば、感染症の原則、電解質の原則、てんかんの原則といったように、
考え方の原則がわかれば、それに沿って考えていくことができます







逆に原則がわかれば、得意になることができます

内分泌疾患の考え方の7原則

①まずは疑う:症状や既往歴、身体所見や見た目、血液検査や画像
②スクリーニング検査:閾値低く行う
③負荷試験:入院が必要になることが多い
④他の内分泌疾患や合併症のチェック:MENではないか、APSではないか
⑤画像検査:超音波検査、造影CT、MRI、シンチ
⑥サンプリング検査:専門施設で
⑦治療:手術 or  薬物治療



まとめ
・内分泌疾患を診断するには気概が必要
→想起するのが難しく、診断するのが難しい

・内分泌疾患の考え方の7原則でそれぞれの疾患を理解する
→①疑う、②スクリーニング、③負荷試験、
 ④他の内分泌疾患や合併症のチェック
 ⑤画像検査、⑥サンプリング、⑦治療


参考文献:総合内科で診る内分泌疾患
→岡山大学の総合内科の先生方がかかれた本です
 実践的な本で、参考文献もしっかり記載されています

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