2021年2月25日木曜日

鎌状赤血球症 〜3つ目のACS〜

みなさんにとってのACSとはなんですか?


循環器内科医にとっては、急性冠動脈症候群(Acute coronary syndrome)です

ICUの医師にとっては、もう一つあります
腹部コンパートメント症候群です


そして、3つ目のACSは・・・




数年前の症例です
一部、修正・加筆を加えてあります



見た目は黒人のお子さんでした

学校の先生はこの子の病気などはよくわかっていないようでした

前日に東京から当地まで、スキー合宿にバスできていました



病歴はこれだけです

本人からはほとんど取れませんでした


教科書的な心不全の時のピンク色の泡沫状の痰が何度も出てきました

第一印象は、「これはやばすぎる・・・」です


原因よりもまずはバイタル
ということで、すぐにNPPVつけました

すると、意外にも酸素化は改善してくれました



酸素化が改善したので、改めて病歴と診察をとりました

crackleがしっかり聞こえるので、肺炎か心不全か?

なぜこの年で心不全に???


何やら、たくさん病気を持っていそうでしたが、
本人から聞いても、よく分かりませんでした・・・


とりあえず、「猿も聴診器」してみました

UCGでは、massive PEという印象はありませんでしたが、
ECGではS1Q3T3がありました

なんだこの病態は・・・・
肺塞栓かと思ったが、肺は真っ白だ・・・

肺塞栓からの肺胞出血か・・??





造影CTに行こうかと思いましたが、とりあえず・・・

①かかりつけの前医に問い合わせ
②両親に現状説明
③近隣の子供病院への転院搬送準備

を行いました



!!!!!!!!!!!!!


それならば、スキーという寒冷刺激が誘因で発症しているというのも納得がいく







































オリンピックがもし開かれるのであれば、海外の方がたくさん来る可能性があります

選手だけでなく、観客も来るとなると、
中には鎌状赤血球症の方もおられるかもしれません

そんな方が寒い日本でACSを発症したら、主訴は呼吸苦・発熱で救急外来を受診されます

もちろん、コロナ疑いで対応されることになりますが、
コロナが否定された後は、鎌状赤血球症のACSを疑ってください

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