先日は3ヶ月間あちこち痛くて、寝返りも打てなくて、
手もこわばってしまって動かしにくいという70歳代の人が来ました
そうかと思えば、1日前からあちこち痛くて、動けなくなって、
車椅子で入ってきた70歳代の人も来ました
1人目はPMRかな?という感じの分布の痛み方で、
PMRの時の痛みで有名な、帰ってきたウルトラマンの場所の痛みでした
血液検査でも炎症反応上昇しており、PMRっぽかったです
2人目はウイルス血症の時のような、節々の痛みという感じで、
よくよく皮膚をみると赤い小丘疹がパラパラと出ており、
孫が手足口病に最近なったとのことでした
手足口病による痛みかな?という感じで、対処療法としました
どちらの人もあちこち痛くて、動けないくらいという感じでした
まず、こういう人をみて思うのは、
身体中が痛いって言うけどさあ、結局どこよ!?です
ということで、あちこち痛い人が来た時の考え方です
大事なのは、まず痛みの分布を理解して、解剖を突き止めることです
そこで大事な解剖は滑液包です
滑液包は学生時代あまり勉強した記憶はありませんし、
いったい、どこにあるのかもよくわかりませんでした
でも実は大事な解剖で、関節がある周囲に、滑液包がたくさんあります
滑液包炎を起こす疾患は山ほどありますが、
有名なのが、PMRです
なので高齢者があちこち痛いと言いだしたら、
まずはPMRじゃないかという目で診察することが大事です
PMRはこれがあったら、PMRと確定できるものはありません
どれだけ臨床像がPMRに見えても、除外の方がはるかに大事です
治療の反対側にある疾患はなんだ?という目線で、
診療に取り組むと地雷を踏まなくて済みます
tPAの時の大動脈解離のときのように
PMRの時はやっぱり感染症です
骨メタ見逃してもそこまで、ダメージは大きくないですが、
硬膜外膿瘍を見逃して、四肢麻痺になってしまったとかでは、
ダメージが大きすぎます
神経支配に沿っていたり、痛みがチクチク痛いような時は、
神経で説明がつくかを考えます
神経支配でもよく分からなくても、
パーキンソン病は痛みを訴える人がいます
あとは、small fiber neuropathy が最近はhotな所です
ただし確定するには生検が必要なので、
臨床的に疑って対処療法しているということが多いです
神経でも説明がつかなければ、薬剤や中毒、うつ病を疑います
薬はDPP4阻害剤が有名になってきました
中毒では、シガテラ中毒はドライアイスセンセーションといって、水に触れると、
ドライアイスに触れた時のように痛みを感じてしまう特徴的な所見があります
シガテラ中毒は南国の魚を食べて発症しますが、シガテラ毒による神経毒で
半年以上続く人もいます
余談ですが、
本当に今年の手足口病は大流行してますね
大人がかかるとインフルエンザ並の強い頭痛と筋痛が出る人もいれば、
咳が強く出る人もいれば、皮疹がない人もいたりと、
手足口病の原因ウイルスのプレゼンテーションの幅の広さに驚きました
もう、ボルムホルム病とか、手足口病とか、名前つけないでほしいです
ただのコクサッキーやエンテロ感染なので、
インフルエンザみたいに、
コクサッキー病とかでいい気がします
手足口病なんて特に、固定概念を植え付けてしまいそうなネーミングです
皮疹は手足口より、膝、肘、お尻に目立つ事も多いですし、
皮疹ない人もたくさんいます
なぜ、そんな事を言い出したかというと、自分もやられたからです
多分
お盆はリスク
ということがよくわかりました
冬のインフルエンザはお正月に家族中が集まって流行がひろがります
夏のコクサッキーはお盆で、家族が集まりひろまります
家族が集まると、孫から孫へ
そして大人やおじいちゃん、おばあちゃんに病気が流行します
今年は手足口病がお盆で集まった家族の中で大流行を起こしました
そしてある大人は咳が強く、
ある大人は咽頭痛が強く、
ある大人は頭痛、高熱、筋肉痛が強く、動けないくらいになり、
ある大人は全く無症状
といった具合に人それぞれでプレゼンテーションが異なるのだと
身をもって体験出来て、非常に勉強になりました
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