2017年8月13日日曜日

腹水まとめ

ある時

誤嚥性肺炎と心不全が合併した高齢男性が、入院となりました
入院時のCTにて、なぜかそこそこの腹水貯留があります

心不全がある人の腹水だから、どうせ心不全のせいだろうと、
タカをくくって原因検索を怠ってしまいました

抗生剤と利尿薬で誤嚥性肺炎も心不全も軽快しました

腹水は抜かずに一旦は帰りましたが、

またすぐに発熱で戻ってきました

その時は腹水もあって、発熱していたので、
緊急で腹腔穿刺が行われました

SAAGは0.9でした

SBPではありませんでしたが、細胞診にてクラス5が出ました


という流れはたまに経験することです

そもそも心不全はあまり腹水の原因としてはメジャーではありません

腹水は胸水と異なり、LDHとタンパクがイマイチ使えないので、

もっぱらSAAGで分類します

ただし、門脈圧が亢進しているか、そうでないかということまでしか分かりません

でも上記のように、刺して見ると、すぐに診断がつく事もありますので、

やっぱり、水が溜まっていたら、刺してみないとわからないですね


でも、

研修医が勝手に腹水抜いていて、

上級医に何で刺したんだ?

と言われて、

「そこに水があるからです」

とか言うような研修医はちょっとやだなあ


アセスメントと予測した上で、検査は出すようにしたいものです


でも腹水を抜いたら、思いもよらない結果に出会うこともあります

ある特徴的な腹水は検査を待たず、抜いた瞬間に診断がつくものがあります


以前経験した症例では、

リウマチでずっとフォローしていた患者さんが急にお腹が痛いと言って、
救急にきました

CTでは腹痛の原因が不明でしたが、腹水が中等度溜まっていました

SBPを疑いますよね

しかし、エコー上は大量に溜まっているのに、

うまく引けなくて、どうしてだろうと、陰圧をずっとかけていると

グニュグニュっとゼリーが引けてきました

本当にコンビニで売っているゼリーと変わりない見た目です


疑っていなかったので、びっくりはしましたが、

冷静に考えれば、病理を待たずに一発診断出来ます

腹膜偽粘液腫の腹腔内への破裂です


その後、ゼリー状のものを技師さんに持っていったら、

「ほらー先生、ヘパリン入りのでやんないと固まっちゃうんだってばー
 これじゃ検査できないよー」

と怒られます

そもそもゼリーだったんですと

釈明する羽目になります






結論としては、

そこに刺せるだけの水が溜まっているのであれば、

させない理由がなければ、刺せ!

ということでしょうか


ただし刺し方に注意しないといけない症例もあります

垂直に刺すと低アルブミン血症で癌性腹膜炎でパンパンの人とかは、
刺した所から漏れ出てきてしまう事もあります


やっぱり、

しっかりアセスメントしてから、刺しましょう
刺し方もアセスメントしてらですね

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