クリプトコッカスは落とし穴がいっぱいです
まず、典型的な鳩の暴露とかはないことも多いです
免疫が正常な人にも起こりえます
播種したら、全身の臓器がターゲットになりますが、
中枢に親和性が高いです
自分が初めてクリプトコッカスを診断した時のプレゼンテーションは、
リウマチを患っている高齢男性の再発を繰り返す脳梗塞でした
自分が担当する前に、抗血小板が入った状態で、
半年で三回脳梗塞を起こしていました
そんな時は、感染性心内膜炎やトルーソー症候群、凝固異常、
粘液腫、中枢神経原発血管炎が鑑別にあがります
病歴をとると、脳梗塞が起こる前から軽い頭痛が出てきたとの事でした
髄膜炎と聞くと、頭痛が強いという印象があり、
ROSで聞いてみたらようやく出てきた、
程度の頭痛だと鑑別にあがりにくいのではないでしょうか
慢性髄膜炎の場合は、頭痛の強さはそれほど重要ではありません
頭痛があり、脳梗塞を繰り返している、免疫抑制状態にある、
炎症がある、ということから、
結核やクリプトコッカスの慢性髄膜炎を疑って、ルンバールをしましたが、
墨汁染色では菌は見えませんでした
抗酸菌染色も陰性で、ADAはちょいあがりでした
結核??
結核の髄膜炎はpoint of no return があると言われているので、
早めに治療すべきと言われます
ですが、副作用も多いし、
何ヶ月もの治療になるので、
確定していないと、腰がひけることもあります
クリプトコッカスは墨汁染色は感度は低いので、
再度、別日に髄液検査をすると、
今度は墨汁染色でしっかりクリプトコッカスが確認できました
後日帰ってきた血清のクリプトコッカス抗原も陽性でした
クリプトコッカスの髄膜炎では血管炎を起こして、
脳梗塞を起こします
クリプトコッカスの髄膜炎の治療は割愛します
治療はネットで調べたり、誰かに聞けば解決できますが、
目の前の患者の診断は、ネットではまだしてくれません
クリプトコッカスを含めた播種性真菌感染症は、
色んな病気のミミッカーになります
個人的には結核を思い浮かべたら、
必ず、真菌もセットで考えるようにしています
真菌もいろいろあるので、
鑑別にあげる時は、「カビ」って言うな!
とはよく言われることですので、
カビの代表のクリプトコッカスをまずしっかり抑えましょう
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