誤嚥性肺炎だから嫌気カバーで、、、
とはよく言われることですが、嫌気性の何を?を理解する必要があります
嫌気と一言で言っても、通性のことですか、偏性のことですか、
横隔膜より上の嫌気ですか、下ですか、
ペプトストレプトですか、フゾバクテリウムですか、
といったように、やはり、感染症は固有名詞を意識することが重要かと思われます
カビっていうな、嫌気っていうな。ですね。
主に粘膜と皮膚にいます
生まれた時は、消化管内は無菌ですが、だんだん環境や母親から菌をもらって、
腸内細菌叢を作り上げます
消化管内の菌の代表はバクテロイデス属です
大腸菌ではありません
桁が一桁、二桁違うほどバクテロイデスがいます
なので腸が破れたら、
バクテロイデスが腹腔内に漏れ出したと言っても過言ではありません
虫垂炎や憩室炎が破裂して、腹腔内に膿瘍ができた場合、
血培で菌が捕まらなくても、嫌気性菌をカバーしなくてはなりません
嫌気性菌の落とし穴の1つは培養が難しいことが挙げられます
そもそも検体を取る時に、空気に触れさせてしまっては、
検出率が落ちます
なので、膿瘍も切開排膿して出てきたやつよりも、
穿刺吸引してとったものが理想です
内因性感染と外因性感染があります
体の表面や粘膜に嫌気性がくっついているので、
それらが組織内に侵入し、悪さをするのが、
内因性感染です
粘膜に傷や癌ができて、侵入経路ができてしまうと、
潜り込んでいく、もしくは血流に乗って感染を起こします
典型的にはまずは好気性菌が局所で感染を起こし、
嫌気状態にした後に、嫌気性が発育するという二相性の経過をとることも多いです
その場合、複数菌の感染の可能性がありますが、
すぐに生えてくる菌にターゲットを絞ってしまうと、
失敗します
嫌気性菌は培養で生えにくいですし、時間がかかるため、
嫌気性菌が生えても良い状況ならば、
他に血培で菌が見つかっても、
De-escaltionは控えたほうが良いかもしれません
もちろん、嫌気性菌が関与する状況は膿瘍を作り出す病態が多いので、
ドレナージが優先なのは言うまでもありません
外因性は環境中、
主に土壌にいるクロストリジウムがメインです
怪我や咬傷で組織内に侵入し、感染を起こします
特徴的な病態になることが多く、
内因性と違って、単一菌が原因です
パーファリンゲンスは消化管内にもいて、
血流感染起こすと、
あっという間になくなってしまう大変恐ろしい病気です
パーファリンゲンスの出す毒素が、
血栓傾向を急激に惹起し、
血栓ができて、赤血球が血栓にぶつかって、
溶血性貧血が重度になる症例もあります
内因性ガス壊疽とも呼ばれており、
非常に予後は悪いです
敗血症にしてはなぜか、溶血性貧血がひどい症例を見たら、
血液のバッフィーコートをグラム染色すると、
この菌に出会えるかもしれません
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