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2018年6月27日水曜日

差し歯を見たら外す

今度は入れ歯ではなく、差し歯やインプラントを見たら外すべき時があります


インプラントとは体内に埋め込む医療機器や材料の総称で、

金属やシリコンなどが使われる事が多いです

つまり人工物なので、

当たり前ですが、感染を起こしている時は、外すべき時です

しかしそれ以外にも外す事を考慮する時があります


体内に入れても安全だとはいえ、免疫学的に言うと非自己です

自己ではない物質がずっと体にあれば、免疫は排除しようとします

その過程で自己免疫疾患を発症してしまう事があります


金属の場合は、金属アレルギーになって、皮膚トラブルを起こしたり、

掌蹠膿疱症を発症したりする事が知られています

シリコンの場合は、強皮症を含めた自己免疫疾患の発症が懸念されています


ここまでは既知の事ですが、

実は黄色爪症候群(イエローネイル症候群)の患者さんも

インプラントが原因かもしれないと考えられてきています




知っている人は、あーイエローネイルね

原因不明じゃないの?

と思われると思いますが、


最近、海外からの報告でチタンの暴露が

発症に関わっているのではないか、という報告が相次いでいます

本邦からの報告はまだないので、早いもの勝ち的な感じだと思います








イエローネイルは「合わせ技一本」の病気です


一見、かけ離れた症状なので、想起できれば、診断は容易ですが、

一つ一つで鑑別をあげてしまうとドツボにはまります


慢性咳嗽、副鼻腔炎、浮腫、爪の変色


これらがキーワードですが、全て同時期に出て来れば簡単ですが、

時期がずれて出てきます


なので、レトロで見れば、イエローネイルだ

とわかりますが、前向きに見ると、非常に診断は困難です


診断したところで、原因も治療もわかっていないので、

意味がないと思っていましたが、

チタンの暴露を避ける


つまり、歯のインプラントを取り除く事が

治療になるのであれば、

積極的に疑ってみる事も今後は考えてもよいかもしれません

もちろん、慢性咳嗽で、結核の除外を行う事や

浮腫の他の原因を詰める事が大前提であり、

除外診断とすべきです






2018年6月25日月曜日

入れ歯を見たら入れる

前回と逆に、入れ歯を入れるべき状況があります

食事の時は当たり前ですが、

食事以外でも入れ歯をつけた方がいい場面があります


入れ歯がないと、非常に話しにくいので、

呂律が回っていないと感じる時は、

入れ歯があったら、入れましょう


入れ歯の有る無しで、全然違います

何を言っているのか分からなかった人とコミュニケーションが取る事ができ、

ちょっとした魔法みたいで、感動します



挿管の時には入れ歯は邪魔ですが、

マスク換気の時は入れ歯をしておいた方が、フィットしやすい事があります



入れ歯を見たら外す

身体所見で見落とされがちな部位はだいたい決まっています

熱源がよく分かりません

と研修医の先生が言ってきた時に、チェックする部位は、

口の中です

入れ歯があれば、外します

残った歯があれば、一本ずつ叩いて、痛みがあるかチェックします

このように入れ歯を見たら外すべき時があります


では、なぜ外す必要があるのでしょうか

入れ歯をしている状態では、硬口蓋と歯肉は隠れてしまっています

つまり、硬口蓋や歯肉、残歯がみたい時に外すのです


入れ歯を外す時は、子供の頃に石の後ろのダンゴムシを探す感覚に似ています

入れ歯の裏に何かないかな?

というちょっとしたワクワク感があります



硬口蓋には意外に病気の所見が出てきます

ただし、入れ歯がずっと当たっていて、点状の紫斑が出たり、

発赤や白苔がついたりする事もあるので、

判断に迷う時もあります



歯肉にも所見は出てきます

時には切開排膿が必要な時もあるので、

適切に歯科にコンサルトできるようになりましょう


たまに歯肉に癌ができる事があります

治らないヘルペス?

と考えたら、一度は白血病を疑いましょう




カタトニア in the ICU

 

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