2018年8月9日木曜日

肩甲骨の痛み

肩甲骨付近の痛みと言われて、どんな鑑別が浮かびますか

胸痛や腹痛とは違って、マイナーな主訴なので、

あまり考えたこともないかもしれません


そんな場合は、解剖を思い浮かべて、VINDICATEと合わせて考えれば、

疾患名が出てきます


この図は痛みには万能です


解剖をどう見極めるかは、

圧痛点の存在や動作での悪化、深呼吸での悪化を確認します


ただし、痛みの場合、デルマトームを意識することと、

放散痛を考えなければなりません


肩甲骨の痛みは、C7-8の神経根症で痛みが出ます

胆石でも肩が痛くなることがあります


救急の観点からは、ASCや解離をまずは否定します





最近出会った右肩甲骨の痛みの人は、

NEJMに乗っていた症例と同じでした

n engl j med 368;9 nejm.org february 28, 2013


ターロブ嚢胞でした










脂肪織炎の病理

脂肪織炎の病理ですが、

3つに注意してみます

1,まずは炎症の主座がどこか
隔壁か小葉性か

2,血管炎はあるか
あるとすれば、動脈、静脈どちらか

3,浸潤している細胞は何か
好中球、リンパ球、好酸球、肉芽腫


グラム染色みたいに、4象限に分けて考えるとわかりやすいです



病理をとると、このようにわかりやすく、

診断的ではあります


しかし、臨床像あっての病理なので、

臨床と病理の診断がずれている時には注意が必要です


Tissue is issueとは言われるものの、

何でもかんでも病理だけでは診断してはいけません




脂肪織炎の臨床

脂肪織炎の考え方のまとめです

病理がややこしいので、まずは臨床で出会った時の考え方です


まずは脂肪織炎と認識するためには、

少し盛り上がった楕円形の紅斑で、痛みがあり、

表皮に異常がなければ、脂肪織炎を疑います


ポイントは典型的な結節性紅斑と言ってよいかどうかです

下腿の伸側で、潰瘍病変がないものが典型です


そのような結節性紅斑を見たら、生検は必ずしも必要ではありませんが、

背景疾患の検索は必要です

多くは特発性ですが、感染であれば、溶連菌やヘルペス、エルシニア、リケッチアなど

自己免疫性疾患では、サルコイドーシス、ベーチェット、IBD、シェーグレン症候群、

腫瘍、薬剤といった背景がないかを探します


典型的な結節性紅斑でない時、

特に注意すべき脂肪織炎があります

結核で起こるバザン硬結性紅斑と呼ばれるものです

下腿の屈側に起きた場合は、考えます


上肢、顔面に出来た場合は、皮膚ループスの可能性があります

Lupus profundusと言われて、難治であり

美容予後が非常に悪いといわれています


あとは腫瘍のことが稀にあるので、


結節性紅斑以外に知っておいたほうがよい脂肪織炎はこの3つかと思います





では典型的な結節性紅斑とは言えず、生検をしようということになったら、

気をつけることは、パンチ生検ではなく、

しっかり切開をして、脂肪をしっかり取ってもらうことが重要です


生検したものの管理は、皮膚科の先生にお任せではなく、

内科医の仕事ですので、

狙っている病気に応じて、何を出すか考えておくことが重要です




では、次に病理についてです

役者は脂肪組織と隔壁と隔壁内の血管です









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