パルボウイルスが昨年から今年にかけて流行しておりますね
パルボウイルスは大人がかかると関節炎や皮疹が主訴で病院受診されることもあります
そうなると、皮疹から梅毒や風疹、EBVなどの感染症や
膠原病(リウマチ、SLE)が鑑別となり、
焦って色んな検査が提出されている状況をたまに見かけます
銃弾爆撃的に検査がされた中でパルボウイルスの抗体が出ていれば、
まだ良いですが、抗体が提出されていないと、
ANA陽性や補体低下だけ拾ってしまい、SLE?となって、
ドツボにハマってしまう状況があります
ですが、流行状況やsick contact、皮疹から
パルボだけを狙って抗体を提出して、
パルボの一発診断ができれば、一番良いと思いませんか?
皮疹を見れば、何のウイルスか鑑別できます
ウイルス感染症に伴う発疹症のことをParaviral eruputionと呼んでいる論文もあります
Paraviral eruputionは、ウイルス側と皮疹側の両方の知識があると、
鑑別が絞りやすくなります
その中でもパルボウイルスはParaviral eruputionの代表です
パルボが面白いのは、その皮疹が多彩なことです
パルボウイルスのゲシュタルトをまずは知っておく必要があります
パルボは第一相(ウイルス血症)と第二相(免疫反応)で、
プレゼンテーションが異なります
第一相があって、第二相がくればわかりやすいですが、
どちらかが欠けていることもあります
特に第二相の関節炎や皮疹、浮腫を主訴に
初診外来にこられた場合は、診断が難しくなります
ウイルス感染症は子どもと大人でプレゼンテーションが異なる時があります
パルボや手足口病、水痘、麻疹、EBVなど
大人になって初感染した場合、子どもよりも強い症状が出やすいです
そのため、子どもは感染しても気が付かない程度で
sick contactがはっきりしなくても、子どもとの接触歴があるだけで、
かなり怪しい状況になります
パルボをもらう状況は家庭内や職場(保育園)であり、
圧倒的に子どもとの接触歴が重要です
血液検査でパルボを疑う場合は網状赤血球に注目します
貧血まではこなくても、網状赤血球だけ低下するパターンもあります
網状赤血球の値が極端に低くなっていると、
パルボかな?と疑ったりします
また血小板や好中球も下がる人が4-5人に1人くらいいます
皮疹の中では、紫斑が出ることが多いですが、
血小板減少に起因する紫斑ではないことがほとんどです
そこまで血小板が顕著に下がることはレアです
パルボの皮疹は多彩すぎて、何でもありかと思っていましたが、
意外にパターンがありました
ここでも子どもと大人で皮疹のタイプが異なります
大人の場合は、有名なリンゴ病の名前の由来の頬の紅斑は少なく、
大人で多いのは、手袋靴下型に広がる皮疹です
PPGSSというパターンです
自分もパルボのかかったことがありますが、PPGSSが出ました
痒くて痛くて、気持ち悪い皮疹でした 笑
PPGSSを知っておいた方がいい理由があります
「皮疹が出た時はパルボの感染力はない」と
覚えている人もおられると思います
ですが、PPGSSの皮疹が出る時期は、
ウイルス血症の時期であり、感染力があります
そのため、一概にパルボの皮疹の時期は感染力はないとは言えませんので、
ご注意ください
PPGSSともう一つ、屈曲周囲病変パターンというのがあります
なぜか、関節の屈曲側に皮疹が出現し、
これもインプレッシブな皮疹となります
知らないと、なぜこんな場所に・・・となりますが、
知っていると、あーパルボの屈曲周囲パターンのやつですね
と一発診断できます
大人では4つの皮疹パターンに分けられるんじゃないか?という論文もありますが、
4つ以外にも多彩な皮疹を呈するのがパルボです
なので、基本の4つを抑えつつ、実は何でもありだよね
と覚えておきましょう
パルボは関節炎、皮疹、発熱、肝障害、髄膜炎、
血球減少など多彩なプレゼンテーションを呈します
個人的にはウイルス界の梅毒的存在だと思っています
だからこそ、このパルボを病歴や身体所見で診断できるといいですよね
誤診を防ぐため、多くの検査を出してでも、
診断できればいいんだ!という時代は終わりました
最近は正確性、迅速性、効率性、患者中心性、公平性を含めて
診断の質が望ましい時代になっています
いわゆるdiagnostic excellenceが重視され始めています
誤診した症例を振り返ることはよくあると思いますが、
診断できた症例もプロセスを振り返る必要があります
検査は出し過ぎではないか?
病歴と診察で診断できたのではないか?
時間をかけすぎたのではないか?
患者さんにちゃんと説明して診断プロセスを辿ったのか?
・・・
diagnostic excellenceを達成するためには、
診断能力を研ぎ澄ませなければなりません
日々勉強ですね
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