2023年5月28日日曜日

今週のNEJM  〜薬を使って夜に駆ける〜

NEJMのcase recordsはただ臨床推論が勉強になる症例ではありません

必ず、読者に対する何らかのメッセージがあります


そのメッセージを読み取るのが、NEJMのcase recordsを読む楽しみでもあります



今回の症例は13歳の男性で、うつ病やADHD、自殺企図、自傷行動が1年前から見られ、

精神科で薬物治療中でした

主訴は抑うつ症状が悪化しており、自殺願望が強くなってきたため入院となっております



Profileは元々はスポーツもやっていましたが、1年前から自殺願望や自殺企図が出現し、

うつ病やADHD、境界型人格障害でグアンファシン塩酸塩徐放錠(インチュニブ®︎)とルラシドン(ラツーダ®️)を内服しています


この1年で10回のER受診があり、6回の精神科入院歴があります

現病歴ですが、3週間前まで入院しており、1日前に退院となったばかりでした

退院後、自宅に戻りましたが、また自殺願望やうつが悪化してしまい、

家にはいれない状況となったため、病院受診となりました


ROSでは集中力の低下や不眠がありました

思考は論理的で線状であり、顕著な自殺企図がみられました

幻覚や妄想、殺人願望はありませんでした


薬はインチュニブとラツーダで、違法薬物は使っていません


バイタルは安定していましたが、そわそわしており、攻撃的な様子でした

言葉によるdeescalationが試みられましたが、奏功せず、

オランザピンでの薬物的な拘束と身体抑制が行われました


その後、精神科病院への転院が予定されましたが、

近隣の精神科病院は受け入れが困難であり、6週間、待つことになりました

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ディスカッション①これは本当にうつやADHDでよいのであろうか?どういう精神状態?




これはYOASOBIの症例ですね

「夜に駆ける」の歌詞をご存知でしょうか


知らない方はびっくりすると思いますが、「夜に駆ける」は男女の自殺願望を描いた歌です

タナトスの誘惑という小説があり、それを元に歌詞が作られているそうです


タナトスやデストルドー(destrudo、death drive)は、フロイトの提唱した精神分析学用語で、死へ向かおうとする欲動のことです


この症例もタナトスの誘惑の凄まじさが伝わってきます


ただ、衝動的な死への欲望が出現し、自傷や自殺企図を起こしてしまっていますが、

原因はうつ病やADHDでよいのでしょうか?



何か?があって、精神に語りかけているような構図にもみえるので、

その何かが何のなのかが議論になりました


診察だけ見ると、agitation があったり、攻撃性がみられ、

トキシドロームの観点から診察したいですね


瞳孔所見や発汗などの記載はありませんが、バイタルは頻脈もなく安定しています

カテコラミンリリースがあるとすると、バイタル変化が乏しいのが変ですね



ソワソワが強く、不穏状態の症例の場合は、まずは違法薬物の関与を疑います

もしくは、離脱やセロトニン症候群です


大麻の慢性中毒の場合はカンナビノイド悪阻症候群という発作的な吐き気がでる病気があります

カンナビノイド悪阻症候群の方は、ベッドや壁をバンバン殴って暴れていました


一見すると、自傷行為にしかみえませんが、

症状が辛すぎて、それを緩和させるためにやっているようです



というわけで、ここまでの鑑別は、衝動的にタナトスの誘惑が出現してしまう何かが、

外因から来るような違法薬物なのか、内因から来るような褐色細胞腫のような病態か、

が鑑別になりまりました


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精神科病院への入院を待っている間、薬物治療が強化されました

インチュニブとラツーダは継続され、SSRI、ジフェンヒドラミン、メラトニンが追加となりました


それでも頻回に不穏状態になり、経口のクロニジンや筋注のオランザピンが必要な状態でした

何度も自傷行為を行なったため、監視の目は強化され、15分ごとに観察されていました


41日目でようやく、精神科病院への転院となりました

転院後、やはり不穏が悪化したため、経口のオランザピンが追加で投与され、

改善を認めず、筋注のオランザピンも投与されました


その際のバイタルは問題なく、翌日の朝も特に新たな症状はなく経過していました

精神科病院に入院した2日目の昼すぎから、血圧低下がみられました


BP 69/39、P88であり、頻脈を認めないショックバイタルでした

吐き気や腹痛の訴えもあり、顔色は悪く、倦怠感が強い状態でした

経口にて飲水が励行されましたが、その後も低血圧は遷延しました



血液検査では大きな問題は認めず、造影CTでもショックの原因になるような出血はありませんでした


心電図も目立った変化はありません


ショックの原因がわからず、血液培養が採取され、敗血症性ショックが疑われ、

CTRXとVCMにて治療が開始されました


ショックの治療のため、精神科病院から小児病院へ転院となり、診断がつきました

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ディスカッション②ショックの原因は?


これは薬でしょう


オランザピンによる起立性低血圧だと思います


転院されてからオランザピンが追加されている経緯をみると、

オランザピンの薬剤性の血圧低下を疑いたくなります


もちろん、他の薬の副作用で血圧低下はあります


特にインチュニブは徐脈・血圧低下しやすい薬です

ラツーダも起立性低血圧になります


このように薬の作用・相互作用で、合わせ技一本でショックになっていると思います


ショックの場合も同じですが、原因は一つとは限りません

ゴロの悪いところは、この中のどれかが答えだという思考になりがちです


実際はそうではなく、どれくらいの配分で血圧低下に関わっているかを考えた方がよく、

根本の病態にアプローチすると良いと思います



柔道と同じで、綺麗に背負い投げで「一本!」となるような、

たった一つの原因でショックになることは少ないです


むしろ、「有効」(AS)、「有効」(脱水)、「技あり」(敗血症)みたいな感じで、

全体を合わせて「一本」(ショック)になります



多発外傷の出血性ショックの場合も同じですよね

一箇所だけではなく、何箇所からもでてショックになることはあります




本症例では、1年前からの自殺願望と今回のショックの原因が、

一元論なのか、二元論なのかが議論になりました



普通に考えると二元論です


もともと、発作的・衝動的に生じる自殺企図・願望があり、

背景にはうつや不眠があります


この背景疾患が大うつ病やADHDだけでよいかは疑問が残りました

脳の器質的疾患(MS、腫瘍など)の検索はしているとは思いますが、重要です


「発作的」というキーワードからは、VAPESという病態を考えたいです



特にてんかん発作や片頭痛の一症状として、精神症状が出たりしないかは、

調べてみても良いかと思いました



あえて一元論で考えてみると、小児のショックは血圧が低下しにくいという特徴があるようです


小児の場合、血圧が低下した時は非代償性のショックの状態であり、命の危険があります

小児の体はちょっとやそっとでは、大人のように血圧は下がらないようにできています


心臓の代償や血管のトーヌスによって、血圧は保たれやすいとされています


ということは、これまでの衝動性や不穏の症状は、血圧低下はないものの、

実はLow output 症候群(LOS)だったのではないか?という説がでました



心の病ではなく、心臓の病なのではないか?ということですね


ただ、12ヶ月前からLOSの症状があったとすると、

心不全徴候もなく、普通に生活することはできないと思います


やはり、二元論で考えた方がよく、今回のショックの原因は薬剤性の血圧低下だと思われます

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その後、主治医たちはインチュニブ過量内服による血圧低下を疑い、調査が行われた


調査の結果、インチュニブの過量内服が判明した


診断:Intentional guanfacine overdose.

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感想

・インチュニブだけでなく、オランザピンも血圧低下には一役買っているとは思う


・ADHDの処方はここ数年で増えており、今後も増え続けるであろう

 ということは、今後ADHDの薬のover doseも増える可能性が高いということ


・暴れている患者さんにいきなり薬ではなく、verbal deescalationのアプローチが大事
















・ADHDの薬はコンサータ、ストラテラ、インチュニブの3つが有名

 インチュニブは衝動性や多動性が強い症例に出されやすく、

 衝動性が強いということは、自殺・自傷しやすいことにつながるかもしれない




パールとしては、

ADHDの人の原因不明の徐脈ショックをみたら、インチュニブによるover doseを疑う



・コロナの影響で小児の精神疾患患者さんも急増し、社会資源が乏しい状況になったため、精神疾患患者さんをすぐに精神科病院へ転院することも難しくなってきた


・明らかに精神疾患の急性期病態の患者さんであっても、一般病院でみないといけない時も多くなっていくであろう


・現在〜近未来に我々が出会いそうな症例

 NEJMのケースに出すことで、プライマリケア医に知っておいてもらいたい

 というメッセージが伝わってくる


・タナトスの誘惑の原因は不明ではあったのは残念だったが、

 一般病院で精神疾患患者さんをみる難しさや最近使われ始めている薬の副作用に

 警鐘をならす素晴らしい症例であった









2023年5月26日金曜日

好中球の空胞変性

 好中球の空胞変性については、多くは末梢血のスメアによるものが多く、

グラム染色での好中球の空胞についての論文はありませんでした


今回の症例ではグラム染色で空胞が目立つ好中球が見られたため、

末梢血の塗抹標本でも確認したところ、好中球の空胞変性や中毒顆粒がみられました




















ということで、好中球の細胞質内に空胞が目立つ時は、
好中球をたくさん必要としている体の状態(感染症、全身の炎症、危機的な状況)なのだなあ

という理解くらいでよいかと思います


空胞変性があるからといって、菌血症があるとか、DICになっているとか、
そこまで確定的なことまでは言えない印象です


たまにピットフォールとして、時間が経過しすぎてしまった検体であったり、
Jordans異常という先天性の疾患であることもあります




患者さんはICU入室後、13日目に無事抜管できました



今回のグラム染色は菌ではなく、好中球にfocusしたエピソードでした





ICUとグラム染色

腸閉塞後の嘔吐による 重症肺炎で挿管・人工呼吸器管理中の93歳男性

(※症例は修正・加筆を加えてあります)


もともとはADL自立しており、認知機能も問題なし

既往に慢性心不全、高血圧、CKDがあり、近医通院中


来院当日に嘔吐があり、救急外来受診

CTにて内ヘルニアから腸閉塞の診断で緊急手術の方針となった

手術を待っている間に大量嘔吐による誤嚥性肺炎を発症

その後、挿管・人工呼吸器管理となり、手術が行われた


手術所見は腸は壊死しておらず、腸切除は施行されず

整復後、ヘルニア門を閉じて手術終了となった


<ICU 入室時から7日目>

入室後の呼吸状態は重症肺炎・ARDS(P/F 100以下)の状況であり、

換気量少なめでPEEP高めで管理


しかし、吸気圧を高めに設定しないと、換気量が保てず

最高気道内圧が高めであり、肺の硬さの原因を探った


A/CのVCモードに変えて、吸気ポーズを行ないプラトー圧をチェック

肺のコンプライアンスの問題か、気道の問題かを確かめた


結果はプラトー圧が高めであり、肺のコンプライアンス低下と判断

やはりARDSの病態なのであろう


換気量が少ないためか、呼吸回数は28-32回と頻呼吸の状態

鎮静や鎮痛を増やしても、頻呼吸の状態が続いていた

乳酸が6と高値であり、呼吸性に代償をしようとしている状況


この状況でCO2をあげてしまうと、一気にアシデミアに傾いてしまうので危険であり、

換気回数がやや多いのは致し方ないと考えた



それよりも乳酸高値をどうにかしないといけない

乳酸を下げれば、呼吸努力も下がるであろう



術後はNAを0.2γで使用しつつ、Volumeも入れて管理していたが、MAP65前後と低めを推移

mottling score 2、CRT  10秒、無尿の状況が続き、微小循環障害を反映した乳酸上昇と考えられた


乳酸上昇は腸が壊死してしまった可能性も考慮したが、

肺炎からの敗血症性ショックの要素が大きく、まずは循環を立て直すことが先決


もちろん、VB1は補充

抗生剤はTAZ/PIPCで治療中


mini fluid challenge testや下肢挙上、SVV、IVC、末梢の皮膚をみて循環の評価を行い、

Volumeが圧倒的に足りていないと判断し、volume追加


腸管血流は良好とはいえず、ピトレシンの導入は行わず

ステロイドの併用も行わず


輸液負荷にて乳酸は少しずつ下がっていき、頻呼吸も改善していった



ICU2日目、volumeもかなり入り、MAPは70前後と保たれていたが、

徐々にMAPが低下し、mottling score拡大

CRTも5秒に戻っていたが、また10秒近く悪化傾向

乳酸も5まで上昇し、NAも上がっていった


NOMIと腹部コンパートメントが怖い状況であり、膀胱内圧測定

膀胱内圧15とやや高めではあったが、まだ様子みても良さそうな値であった


NOMIから腸が壊死した状況が頭をよぎったが、やはり循環を再評価

術後、心臓の動きは良好であったが、心機能低下してておりDOB開始

たこつぼ様ではなく、diffuse hypoの状態であった

心電図変化もなし


DOB開始後、EFは改善

その後、乳酸はさがり、CRTも改善していった



3日目には循環は改善傾向であったが、無尿の状態が続いていた

術後から凝固異常や血小板低下を認め、DICの状態は持続していたが、

明かな出血はみられなかった

AT3が40%となっており、アンチトロンビン製剤開始


4日目になっても無尿の状態が続き、CRRT導入

電解質や呼吸状態、アシデミア、BUN(尿毒症)での導入ではなく、

水分バランス管理のための導入


腎臓内科の以前の上司が、「CRRTは便利な利尿剤」と言っていたのを思い出した


5日目 in over がかさんでおり、out balanceへ

術後から血小板がどんどん下がっていくため、薬剤性の血小板減少の可能性もあり、TAZ/PIPCは中止

CRPやWBCの下りが悪く、血液培養と痰培養提出し、MEPNに変更

CRBSIも懸念し、VCM追加


USでは腸管壁は肥厚しており、腸蠕動はみられなかった

腸閉塞を疑うような腸液貯留や拡張はみられず、

カンジダリスクが高くなってきたため、経腸栄養開始


6日目 順調に除水でき、out balanceへ

とはいっても、四肢・体幹の浮腫は強い状態

両側胸水貯留もある


呼吸状態はP/F改善傾向であるが、吸気圧が依然として高く、SBTまでは難しい状態


NAはプロポ使用時のみ、使用するくらいで循環動態安定してきた

SATするとかろうじて開眼するが、指示は従えず


7日目 順調に除水でき、out balanceへ

CRRTにて連日、除水継続していた

凝固系はAPTT、PT延長しており、AT3も低め

アンチトンビン製剤は適宜補充


<ICU入室し1週間の経過サマリー>

ADLは良好だが、超高齢男性の絞扼性腸閉塞術後、

誤嚥性肺炎による敗血症性ショックでICU管理中


呼吸は重症肺炎・心不全が合併した状態ではあったが、日に日に改善

循環は当初、乳酸高値が持続し、大量のVolumeやDOBを要したが、NA漸減できており改善傾向

水分バランスは術後から無尿の状態が続き、CRRT導入し連日out balanceで回収中

意識はSATを行なっても、まだ悪い状態

痙攣様の動きはみられず 脳波検査は未施行

消化管はUSでは腸管の蠕動はみられず、排便なし

除水が進み、腸管からの吸収を期待し、経腸栄養はUP中

肝胆道系酵素は術後、高値であったが、緩やかに低下傾向

一方、Bilは上昇傾向であり、薬剤性を疑いTAZ/PIPCは中止

血液は敗血症に伴うDIC状態であり、アンチトンビン製剤適宜補充

血小板減少の原因にTAZ/PIPCの関与も考え、

感染症は血液培養・痰培養提出し、MEPN,VCMに変更し治療中

培養は何も生えず


家族との面談は頻回に行い、7日目にはかなり改善された様子を見て、

ご家族は安堵と涙を流される場面もあり


この時点で、気管切開や維持透析導入の可能性は半分以上あると見積もっていた

家族としては急変時フル対応を望まれている


<ICU8日目〜14日目>

8日目 連日の除水により、体幹の浮腫がとれてきた

リハビリ時に開眼し、手足の動きもみられるようになってきた

明らかに意識レベルが改善してきた


呼吸・循環動態も安定し、呼吸器設定も緩められているが、

痰の吸引ボトルには黄緑色の液体が少しずつ溜まっているのが気になっていた


9日目 除水にてout balanceを達成できているが、

透析回路が閉塞してしまうようになった

ナファモをヘパリンへ変更し対応

AT3がまた低下しており、アンチトロンビン補充


呼吸器設定が若干悪化した
FiO2が上がり、PEEPをあげざるを得ない状況になった
CXRは変化なし


やはり痰が多いのが気になった

MEPN、VCM投与中で肺炎が悪化するということは、
カバーできていない菌や耐性菌の出現、細菌性以外の感染、もしくは非感染ということになる



ステロイドは使用していないが、アスペルギルスやカンジダはあってもおかしくないか


痰のグラム染色をした








よかった

菌はいない


除水を緩めたせいで、心不全に伴う肺水腫が悪くなったものと考えた




安堵した一方で、このグラム染色に違和感を感じた




あれ???



なんか好中球の中にやたらと空胞が目立ぞ・・・

なんだこれ・・・



何か意味あるのか???




確か空胞変性だったような・・・

VEXAS症候群ともまた違うよな・・・


敗血症の状態で骨髄からの好中球の動員が激しい時や
サイトカインがバンバン出ている時に出てくる所見だったような・・・



うーん


このように解像度が低い表現しかできない時は、
具体的にその事象を知らないということです


ということで、調べます







2023年5月23日火曜日

ある日の在宅とグラム染色 〜後半〜

 採血結果が出た


WBCが26000もある、CRPは8


それ以外は目立った異常はない


やはり感染症、それも敗血症になっているのであろう

focusは誤嚥性肺炎か、尿路感染症か


すでに夜になってはいたが、旦那さんに結果をお伝え

「採血の結果は、炎症反応の値が高く、何らかの感染症を起こしているものと思われます。

 誤嚥性肺炎や尿路感染症が疑われますが、これ以上は詳しく検査してみないとわかりません。

 具合も悪そうでしたので、できれば入院で調べて治療した方がよいかと思います。

 今の具合はいかがでしょうか?」



「さっきと変わりないです。血圧や酸素の値も同じです。

 普通に会話もできます。

 救急車呼んだりはしたくないって本人も言ってますね。

 この時間だから、介護タクシーもないので、このまま家で様子みたいです」



うーん・・・困った


〇〇さんは長期入院歴があり、痰や尿からは多剤耐性菌が検出されまくっている


抗生剤治療になると、ブロードに点滴で治療しないといけない


だが、本人の意思表示もできており、バイタルがいい状況では病院受診は拒否される



今日抗生剤を入れないと急変する、と直感したので、

やむなくキノロンの内服を処方した


明日、血圧が100をきったり、意識の状態が悪くなったり、

酸素の値が下がってきたら、救急車よんで病院にいきましょうねとお伝え



翌日、やはり血圧が90台になった

訪問看護も診てくれて、病院受診の方針となった


「先生の言った通りになった。やっぱり早めに行かなきゃだめだね。これから病院行きます」と旦那さん


そして介護タクシーを使い救急へ


病院到着後、血圧低めは相変わらずであり、すぐに血液培養や尿培養、痰培養を採取し、

輸液や抗生剤の点滴が開始となった


幸い輸液のみで血圧は上がってきた


採血ではWBCは18000まで低下しており、クラビットが多少効いている印象であった


そして熱源評価のためCTへ

CTでは膀胱は張っているが、それ以外に熱源となるような部位はなし


尿は膿尿、細菌尿であり、やはり尿路感染症が疑わしいか



ん?



よくよくみると、これ膀胱じゃない



これは子宮の中だ


なるほど、子宮留膿腫だ!



改めて腹部診察しても全く痛みの訴えはなし


子宮留膿腫はほとんどが無症状である

発熱はあっても尿路感染症と間違えられることで有名だが、やはり間違いそうになった


急いで産婦人科のDrにドレナージを依頼


経膣ルートにて1Lの大量の排膿を認めた


膿は異臭を放ち、いかにも嫌気性菌がいそうな膿であった




大量に膿がドレナージされると、

本人は元気になって顔色も良くなった


「先生、ありがとね」


という口癖のいつもの〇〇さんに戻っていた





Take home message

・バイタルがよく見えても、具合が悪そうな時は何かがおかしい

→自分の直感を信じる


・多分こうだろう・・・バイアスに負けない

→自分の頭の中に「楽観的に考える小人」が登場したら、危ないサイン


・子宮留膿腫は病歴や診察ではfocus不明だが、画像で一発

→大きいと膀胱と間違えられる

 画像を見間違うと、尿路感染症と誤診される


ある日の在宅とグラム染色 前半

<ある日の在宅診療 〜なんだかいつもと違う〜>


自分が在宅診療に行く日は、雨が降っていることが多いです
この日も大雨が降っていました

16時半 すでに約束の時間が過ぎており、ご家族から病院に連絡があり
先生はまだ来ませんか?と催促が入る

交換を通して、「もう着きました!」と答える自分
診察前からやや焦っていたと振り返って思う

自宅に入ると、診療後に入るはずの訪問入浴の人が揃っていた
もうお風呂の準備しますよ、と言わんばかりにこちらを見ている

プレッシャーを感じながら、患者さんの診察を始める

「〇〇さん、こんにちは。遅くなってすいません。
 先週、ワクチンで注射した時はお元気そうでしたね。
 先日、会ったばかりなので、大丈夫ですよね?変わりありませんか?」

と矢継ぎ早に話しかける自分

「・・・・はい」



あれ?

いつもと違って反応が鈍い

旦那さんからは、「ワクチン打っていただきありがとうございました」と言われるが、
そんなことよりも、本人の様子がなんだかおかしい


顔色が悪い・・・


血圧や酸素を測ろうと橈骨動脈や末梢を触ると、橈骨動脈の触れが弱い
そして、じっとり汗をかいている


あれ?具合悪そうだ


橈骨動脈は何度もICUに入りAラインをとってぼろぼろになってしまったので、
触れが弱いことはいつものことだと知っているが、本当に血圧大丈夫か?



バイタルは体温36度、血圧125/80、脈80、呼吸数は早くはない

酸素はうまく測定できない・・・機械の問題か?


反対の手で訪問入浴の方が測ってくれると99%とれた


目をつぶっている本人にもう一度、話しかけてみる

「汗、びっしょりかいてますね?具合悪いですか?」

本人は別に・・・と、痛いところもないとのことであった



みると、暑い日にもかかわらず、毛布と布団がかぶっていた

急いで毛布をはぎ取ってあげる

毛布をかぶっていて、汗をかいてしまって、脱水になったのであろうか?

(だといいな・・・)と心の中で思う

脱水であってくれと思う


暑いとはいっても、雨も降っており、そんなに暑くなかったと振り返る

こうあって欲しいバイアスは恐ろしいものだ・・・





診察しても呼吸音は問題なく、腹部にも圧痛はなく、
関節や皮膚所見も問題なし mottlingもなし


診察中にも訪問入浴の人たちは、部屋の中のベッドの横に、
即席の浴槽をこしらえ、お湯を入れはじめている



そういえば、これからお風呂に入るのだ



いやいや、ちょっと待って・・・


この状態で入っても大丈夫か?


「旦那さん、なんだか〇〇さん、具合悪そうですけど、
 熱とかなかったですか?」

「熱は全然なかったですね」


「痰多くなかったですか?」

「昨日は少し口から取りましたけど、いつもと同じくらいです」


「そうですか・・・」


他のROSを聞いても、下痢や腹痛、吐き気、嘔吐はないとのこと
いつもと同じバイタルで、会話もなんとかできる状態


うーん・・・と悩んでいる自分に旦那さんが、


「昨日、ショートステイから帰ってきましたが、
 ただいまーと元気そうに帰ってきましたよ。
 大丈夫だと思いますがね。」


うーん、本当に大丈夫なのであろうか・・・


頸静脈をみると、外頸静脈すら見えない
臥位でも虚脱している

脱水・・・血管内hypoであろう



「旦那さん、脱水は間違いなくありそうなので、
 水分は補ってあげましょう。」


末梢の点滴は非常に取りにくく、
すぐにできることとしては、胃瘻からの水分補給と塩分補給だった


急いで胃瘻から水分300mlと塩分3gを入れてあげた

そうすると、少し元気を取り戻し、顔色もよくなってきた

これなら、短時間のシャワーくらいなら良いかと思い、シャワーだけは許可した


隣の部屋で旦那さんと雑談するが、本人の様子が気になって仕方なくて、
会話の内容が頭に入ってこない




さて、この後どうしよう・・・・


状況を整理すると、バイタルは問題なさそうだが、なんとなく具合が悪そう

「なんとなく具合が悪い」を言語化すると、

顔色がいつもより悪い
末梢が冷たく、汗をかいていた
血管内はhypoが疑われる


以前、同じように傾眠の状況で低Na血症だった
CO2ナルコーシスにもなったことがある
誤嚥性肺炎だったこともある




そうだ

採血しよう


採血するつもりはなく、スピッツを持ってこなかったが、
普通は往診バックに入っている


今すぐ救急車を呼ぶような状況ではないが、

採血の結果によっては入院した方が良い状況かもしれない


(病院にいれば、採血はすぐに思いつくが、在宅診療だとつい忘れてしまう・・・)



シャワーが終わった本人に断りを入れて、採血させてもらう
腕の血管は全くないので、やむなく動脈採血


何度、この患者さんから動脈採血したか分からないが、
全く痛がらないのが、逆に怖いといつも思っていた


この日も全く痛がらない
具合が悪いのであろう・・・


採血の色は、薄い赤色ではなかった
凄まじい貧血の人は採血の色で貧血がわかるが、
著明な貧血ではなさそうな色であった


さて、病院へ戻って採血を出すことにしよう

何が出るか・・・







2023年5月21日日曜日

はじめての場所での当直マニュアル








修羅場

深夜の救急
80歳男性 主訴:吐血


今回は、勤務している慣れた病院ではなく、
慣れていない病院で働く時の対応がディスカッションのポイントです

慣れない環境下で、自分のコンディションも悪く、
患者さんのコンディションも悪いという状況です


さらに悪いことに深夜の一番眠い時間です・・・


はじめての環境で働くコツとしては、挨拶と笑顔とユーモアですね


「ユーモアは最強の武器である」という本が最近売れています

この本を読んだからといって、
ユーモアがすぐに身に付くわけではありませんが、ユーモアを意識するようになりました


ユーモアは最強の武器であると日々実感します



井上ひさしさんの言葉を思い出しますね


むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、
ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、
まじめなことをゆかいに、
そしてゆかいなことはあくまでゆかいに


カンファレンスをする上で一番大事にしていることです



さて、症例に戻ると、この状況でどうやって待ちますか?








挿管しないとダメそうな状況でした

慣れない環境下での挿管は、辛いです







この症例ではABC、全てで挿管の適応がありそうですね

気道確保については、準備が8割です

こちら参照:気道管理



無事、挿管できてバイタルも安定しているので、転院交渉に入ります
この病院では、この患者さんは受け入れられないようです


初期や専攻医の先生は、転院交渉したことないことがないとは思いますが、
その日はいきなりやってきます

転院でなくても、各科へのコンサルトと同じです











勤務先での限界がわかると、
目の前にいる患者さんをこのまま入院させられないことに気がつきます

そうすると、転院交渉に入ります

その際のポイントをディスカッションしてもらいました


転院交渉中の時間は、ピットフォールがたくさんあります

交渉に頭がいっぱいで、早期閉鎖に陥り診断を間違えている可能性
転院させることが目標になってしまい、患者さんの診断や治療が二の次になってしまう
(電話や紹介状を書いており、気がついたらバイタルが悪化している・・・)




転院交渉には多大なエネルギーを使います

そのため、できればバイタル管理を他の人に任せて、
自分は交渉に集中できる環境にした方が良いです






その後、ようやく転院先が見つかり、無事に転院となりました

「血を吐いた」というのが、吐血ではなく、
結果としては喀血だったという症例でした


吐血と喀血についての医学的な話も大事ですが、
この症例ではもっと大事なことを学ばせていただきました





今回は本当に修羅場のような状況でしたね

日々の研鑽で積まれた高い臨床力と適確な臨床判断と患者さんへの誠実な医療で、
救われた命だったと思います


お疲れ様でした

2023年5月17日水曜日

面談で大事にしていること

自分のチームに来てくれる先生に伝えたいことはたくさんあります


診断、病歴の取り方、身体所見、症候学、カルテの書き方、脳波や画像の読み方・・・

伝えたいことは山ほどありますが、最近は厳選しています


自分が一番大切にしていること、こだわっていることを優先的に伝えようと思っています


それは患者さんや家族との「面談」です



医師の成長の機会は、

P(プレゼン)、D(ディスカッション)、F(フィードバック)です


面談も実は、PDFだということに最近気がつきました


家族へのプレゼン:病状説明

家族や多職種とのディスカッション:ACPやSDM、多職種カンファ

指導医や多職種からのフィードバック:面談後の振り返り


になっているのです



面談力には医師の力が凝集されています



話す言葉やスピードは適切か?

診断プロセスをわかりやすく、話せているか?

そのプロセスは論理的か?

治療は患者さんの意向に沿っているか?(SDM)

procedure oriented で話しているか?goal orientedか?(ACP)

威圧的な態度でないか?患者さんの感情に寄り添っているか?(NURSE)

時折、ユーモアはまじえているか?(ユーモアスキル)

参加している全員に気を配れているか?(ファシリテーション)


・・・などなど


面談にはコミュニケーションスキルだけでなく、診断過程を開示したり、

治療法や予後についての知識を共有したり、医師としての全ての能力が問われる場面です


たまに、面談のことをムンテラやIC、教育という先生を見かけますが、

個人的には、どの言葉も適切であるとは思いません


実際に行っていることと、その言葉の定義に解離があるためです





面談については、誰も教えてくれません

というよりも誰も教えられません


誰も教わっておらず、先輩の背中をみて育ち、

いい意味でも、悪い意味でも「適当に」面談をこなしてきたのだと思います



自分ももちろん、そうでした


何をどうやって話したらいいか、分からない・・・

何が正解なんだ???



自分自身がとても苦労したので、自分の型を一回作ってしまって、

それをブラッシュアップさせることにしました


研修医の先生達が困らないようになるべく言語化して、伝えています



面談の方法について近年、多くの本が出ていることは、

それだけニーズが高まってきた証拠だと思います


面談に自信のない人はぜひ一度、自分なりの型を身につけてみてください




面談の質は患者さんのアウトカムに影響すると常々思っています


面談によって得られるものはたくさんありますが、

一番は患者さんや家族との信頼関係です



信頼関係を築くためには、3つ重要なものがあると思っています


それは、面談の質、寄り添った時間、

患者さん・家族の理想とするアウトカムです


時間がなくても信頼関係は結べます

面談の内容次第です



救急外来でCPAになり、ROSCしたものの、

再度CPAになりそうな人がいるときに必要なのは、緊急ACPと緊急グリーフケアです


時間がないからこそ、面談の質が求められます



面談力が圧倒的な先生は存在します(面談力というよりは、人間力ですかね)



いつまた心肺停止になるかもわからず、家族は動揺しています

そんな緊迫した場面にも関わらず、救急で初めて出会った患者さんの家族の心を癒し、

「先生に出会えて良かった」と言って、笑顔で泣いているご家族と医師の姿を目にしたことがあります



衝撃的でした


その時から、信頼関係を結ぶために必要なのは、時間ではないのだ

ということを強烈に意識するようになりました




ですが、思ったところで、いきなり面談が劇的に上手になることはありません


自分にできることは、なるべく頻回に面談するという時間を使うことでした


例えば、ICUに入った患者さんは特別な理由がない限りは、毎日面談すると決めています


「医者の仕事の半分は面談だから」

と言ってくれた指導医の言葉を思い出しながら、dutyがない時間は面談で埋めてきました



こまめに面談を行うことで、ご家族から嫌がられることはありません

ちょっと面談頻度多いかな?くらいがちょうどいいかもしれません




面談後は、ご家族とともに患者さんのもとに行って、

患者さんとご家族との関係を垣間見ながら、

その時間と空間を共有するようにしています


この場面で色々な発見があることが多いので、とてもおすすめです



面談の具体的な流れは上記のイラストですが、

面談時に意識している抽象的なイメージがあります


それは、患者さんやご家族と自分の波長を合わせるということです


治療の方向性を合わせるという認知データ的な部分は大事ですが、

感情や精神的なところで、相手の波長に合わせるのはもっと大事です


いわゆる共感と呼ばれるものです


相手の波長に合わせて、話し方や話す内容、相槌の仕方を変えています



勘違いしないでいただきたいのは、

テクニックやスキルを用いて、いい面談をしましょうということではありません

頻繁にやればいいというわけでもありません


心を込めて行いましょう、ということです



大切なことは、どれだけたくさんのことをしたかではありません

どれだけ心を込めたかです


マザーテレサの言葉の通りです



患者さんをどれだけたくさん診たかが大事なのではありません

どれだけ心を込めて患者さんに向き合えたかの方が大事です



2023年5月14日日曜日

病棟でカルテを書けば10倍いい仕事ができるよ

「病棟でカルテを書けば10倍いい仕事ができるよ」


という言葉を最近、思い出します・・・




近年は電子カルテの普及によって、いつでもどこでもカルテをかけるようになりました

電子カルテの前はいわゆる「紙カルテ」です


紙カルテは使い勝手が非常に悪いです


誰かが書いている時は、カルテが見当たらなくて書き込めません

どこにあるかもよく分かりません


もちろん、書くという行為が面倒で時間がとられます

そして、字が汚いと何て書いてあるかわからない・・・


検索機能なんてありませんし、以前の情報を探すのが一苦労です



ただメリットもあります


看護師さんやコメディカルとのコミュニケーションが頻繁になります

必ず病棟に行って書き込みますし、紙のカルテ情報だけではやりとりが難しいためです


そしてカルテに書き込む内容も厳選されます


余計なこと書いている時間はありません

必要最低限のことだけ書いてあります



電子カルテになった今はどうでしょうか?

コピペしまくってはいませんか?



患者さんに会う時間、カルテを書いている時間、

カルテを見ている時間、病棟にいる時間・・・


どの時間が長くなり、どの時間が短くなったでしょうか



患者さんの顔を見ている時間よりも、電子カルテの画面情報を見ている時間の方が、

何倍も多いのではないでしょうか?



もちろん、患者さんの医学情報を隅々まで確認しておくことは大事です


「患者さんのカルテは全部見ましたか?」


と指導される指導医の先生もおられます


カルテ情報が重要であるということに異論はありません



ですが、患者さんの顔は思い出せないけど、

病気と画像は頭に入っているような状況になっていませんか?



ベッドサイドに行っても患者さんは認知症があったり、寝たきりの人も多く、

コミュニケーションがとれない人も多いです


ですが、それは言語的なコミュニケーションです

言葉が使えない人とは、非言語的なコミュニケーションで対話します


言葉以外のコミュニケーション能力を鍛えることが、

身体診察を上達させる上では重要です


いつもより、

辛そうな表情だなあ・・・

呼吸が少し荒いかな・・・

手足の動きが鈍いな・・・

呼びかけに反応が悪いな・・・

足先がチアノーゼだ・・・

熱っぽいな・・・


全て身体所見です


患者さんの言葉ではないメッセージを読み取るのが

身体診察の極意だと思っています



カルテが中心になってしまうと、

入院中の患者さんの「いつもと違う」に気がつけないかもしれません



思い返してみると、医師としての成長や勉強になった場面は、

いつもベッドサイドでの診察です


そして診療で迷った時の答えも患者さんの中にあります



「患者さんに何が起きているか分からない時には、

 とりあえず、患者さんの傍にいるんだよ」


と教えてくれた医師がいました


本当にその通りだと思います


その意味が心から納得できるまでには、少し時間が必要かもしれません



病院によっては、個人にノート型の電子カルテを渡され、

いつでもどこでも、電子カルテを使うことができます


そうすると、どうなるでしょうか?


診察後にカルテをすぐに書くという「即時性」が失われます

いつでも書けるという心理が働くためです


そして病棟でカルテを書く習慣がなくなります

どこでも書けるためです


すると看護師さんとのコミュニケーションの機会が減ります


病棟にいる時間が多ければ、看護師さんから声をかけてもらえます

患者さんの些細な変化であっても、声をかけてもらえるのはありがたいことです



他職種とのコミュニケーションは、

性格とか、人見知りとか、そういったことよりも、

そこにいるかどうかの方がはるかに大事です



自分は受け取った個人型のノート型の電子カルテは、

そっと医局秘書さんに返しました



研修医の先生方、病棟でお会いしましょう


今さらきけない疑問に答える 学び直し風邪診療

風邪の本といえば、岸田直樹先生や山本舜悟先生の名著があります 自分もこれらの本を何回も読み、臨床に生かしてきた一人です そんな名著がある中で、具先生が風邪の本(自分も末席に加わらせていただきました)を出されるとのことで、とても楽しみにしておりました その反面、何を書くべきか非常に...

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