2025年5月6日火曜日

青は藍より出でて藍より青し

 山中克郎先生が編集され、新進気鋭の若手医師が書かれた

「見逃されているかもしれない重要疾患の診療」を読みました




最近、強く思うのは若手医師から学ぶ機会が増えたことです

嬉しいことですね


「Mgの排泄を防ぐために、SGLT2がいいらしいですよ」

「フェジンの点滴で、低リンになるらしいです」



知らないことばかりで、いつも教わってばかりです

自分の常識で医療をしてはいけませんね・・・



そして、さらに嬉しいことは、自分の意見を鵜呑みにしなくなった医師が増えたことです


「それって本当ですか?」「それってどこに書いてあるんですか?」と臆せず聞いてくれます


そうなると


「あれ?ずっと当たり前だと思っていたが、確かに・・・これって本当か?」



CTRXは1g or 2g? q12hr or q24?


PICCは持続にしないと閉塞する?ヘパリンロック?生食でもいい?


もともとDOACのんでいる人は、ICUのDVT予防は不要?


アルコール離脱にfixed がいい?symptom triggeredがいい?



という疑問が湧いてきます


一人で医療をしていた時は、当たり前ようのようにしていた事が、
本当に正しいのか、考えさせてくれます



健全なコンフリクトはチームの成長に欠かせません


チームを作るなら、

必ず自分に反対意見や批判をしてくれる人を置くことが鉄則です



耳障りのいい言葉ばかりを言ってくれるメンバーだけでは、

自分の気持ちは良くなりますが、チームとしての成長はありません





屋根瓦式が良い教育であるという風潮がありますが、自分はあまり賛成できません


指導医が専攻医へ、専攻医が研修医へ、研修医が学生へ教えるという一方向ではなく、

学びは双方向性であるべきです



どんな人からも学ぶことはあります

置かれている立場によらず、学び合う姿勢が大事です



指導医も研修医や学生さんから学ぶことはたくさんあり、

指導医という名前自体が古いですね



理想の指導医は、自分の知らない知識や技術を教えてくれる医師ではなく、

共にunlearn(学びほぐし)してくれる医師です



unlearn(学びほぐし)とは、

これまで学んできた知識や価値観、思考の癖を意識的に捨てることで、

新たな学びや成長を促すプロセスを指します



本当にそうなのか?一緒に考えてみよう


自分はこれを「一周回る」と呼んでいます

結論は同じでも、一周回って考えることが大事な作業です



自分の周りには、一緒に一周回ってくれる仲間がたくさんいます


そんな仲間が書かれた本が、

「見逃されているかもしれない重要疾患の診療」です


知識だけでなく、大事なメッセージが溢れた学びの多い本でした



この本に出てくる疾患たちを診断することができれば、

患者さんの人生を変える事ができると思います



事実、この本の中の患者さんの人生は良い方向に変わっていったようです



初診外来は、患者さんの人生が変わる場所です


そう思うと、明日からも初診外来頑張ろうっていう気持ちになりますね





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