2017年9月1日金曜日

低ナトリウム補正

低ナトリウム血症の治療はある程度決まっています


治療で大事なのは

急いで治療した方がよいかと、

1日であげるリミットはどこまでか

ということです


症候性の場合は早く、治療しないといけません

慢性の場合は、1日6くらいの上昇が安全と言われています


なので、目の前の低ナトリウム血症が症候性なのか、

慢性なのか急性なのかをまずは見極めます


そして、尿中のNaとKの足した値と血清のNaの値を比べて、

今後低ナトリウムが進行するかどうかを見極めます

そして治療を3パーセント食塩水でやるか、

どれくらいのスピードで始めるかを考えます



しかし、もう一つ治療する前に考えないといけないことがあります


それは、補正が急激になってしまうのではないかと

懸念することです


例えば、精神疾患患者で、多飲症があり、

たくさん精神科の薬を飲んでいる人が

食欲低下できて、ナトリウムが110だった

入院したが、そわそわして、帰る帰ると言っている


フォローでとったナトリウムは6時間後で、すでに120まで上がっている

本当はブドウ糖の点滴をして、ナトリウムを戻したいが本人は帰ると言っている


みたいな人です


誰も急速補正したいと思っているわけではありませんが、

このように意図していないが、急速補正になってしまう人々います

そのような人々をどうフォローするかがポイントです




また、補正され過ぎてしまった後、どうするかも決めておかなければなりません


よく使われるのは、デスモプレッシンです


しかし、努力もむなしく、先ほどの症例のように急速補正されてしまったら、

次に考えるのは、ODSと横紋筋融解症に備えることです


橋の中心が融解、脱髄を起こしてしまうため、

補正速度を守れ

と言われますが、ODSについて知っておく必要もあります


ODSは補正後すぐには起こりません

数日後にくるものです

まれではありますが、医原性に近いので注意しましょう

ほとんど治りませんが、たまに回復する症例もあるようです




ナトリウムを急速補正すると、

脳だけでなく、筋肉もとけます


こちらは最近、よく言われるようになってきました


横紋筋融解に対して、Wash outもしないといけないので、

生食入れたいけど、

ナトリウムにも気を使わなければならない


という難しい状況になることがあります


特に運動後の低ナトリウムの場合、

最初からck上がっている症例が多く、

さらにそういう症例は急速補正になりやすいので、注意しましょう

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