2019年12月16日月曜日

眼球の水平運動

MLF症候群

って聞いたことあるけど、よくわからん!という人のために・・・


眼球運動を車に例えて考えると、いろいろ分かりやすいです


まずは、タクシーに乗って、反対側から運転手に指示するようなイメージです

右を向きたい時に、
はじめに指示するのは、左の前頭眼野(area8)です

その指示が、反対側(右)の橋のPPRFに行きます
PPRFが水平注視機構の中枢です

まさに運転手

右に行けといわれて、運転手がハンドルを右に曲げると、
右の外転神経核に命令が伝わり、
右眼が外転します(右の車輪が右に曲がります)

同時にシャフト(MLF)を通じて、左の動眼神経核に命令が伝わり、
左の動眼神経を介して、左眼が内転します(左の車輪が左に曲がります)




本来の車なら、ハンドル一つで左右に行けますが、
眼の場合は、右向きの時の回路と左向きの回路が別なので、
ハンドル・シャフトなどをもう一セット、反対側に作らないといけません



MLF症候群は、左右の車輪をつなぐ、シャフトが壊れた状態

外転神経核近くであれば、橋に病変があり、
動眼神経核近くであれば、中脳に病変があります


そんな時に、輻輳をさせてみて、問題なければ橋病変が示唆され、
輻輳ができなければ、病変は中脳でしょう



MLF症候群をみたら、輻輳できるか確認する


PPRF(水平注視の中枢)がやれたというのは、
ハンドルがやられたという事です


指令がきても、両輪ともにタイヤは動かず、車は曲がりません


PPRFは外転神経核が近いので、外転神経核がやられた時も同じような状態になります

ここでさせてみるのは、VOR(前庭眼反射)です


頭を急に振っても、物体がぶれないのは、VORのおかげです


ということは頭を水平方向に振ると、VORが働いて眼球が動くのです


PPRFがやられてしまった場合でも、VORは保たれているため外転でできます

しかし、外転神経核がやられた場合は、VORでも外転できなくなります


注視麻痺をみたら、VORを確認する




PPRFとMLFも近傍にありますので、同時にやれることがあります

同じ側のハンドルとシャフトが壊れた状態で、ワンアンドハーフ症候群と呼ばれます


症状は、PPRFとMLFの足し算です


この場合、MLFが障害されるのは、橋のことが多く、
輻輳反射が保たれるのも納得できますね




核上性麻痺

指令する後部座席の人がいなくなった、もしくは指令が聞こえないという場合です

そうすると、反対側が急にハンドルが軽くなったイメージで、
反対側のPPRFの刺激が強くなり、

病巣を向く共同偏視になることがあります



逆にてんかん発作のように興奮する病態の場合は、
指令が強くなって、病巣から目をそらすように眼球が偏倚します



実際に患者さんを診察しなくても、
眼球偏倚があるかどうか間接的にわかる方法があります


それは、CT画像で黒目をみるのです

その目みると、意外と偏倚しているのがよくわかります



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