2019年2月28日木曜日

複視

複視は嫌な主訴です

特に眼球運動が正常な複視が一番困ります

あれ?

しっかり動いているじゃないか・・・

でもダブって見えるっていうし、どういうこと???

となります

複視の症状の出だしは眼球運動が普通に動いていることもあり、

他覚的に異常をとらえるのが難しい時もあります


医者になって、一番最初に出会った複視の人の主訴は、

20歳代の女性の「物の焦点が合わない」とのことでした

物が二重に見えることはないが、

両目で見た時だけ焦点が合わないということで、

眼球運動はしっかり動いていたので、

よくわからず、帰宅としました

そしたら、

翌日に呂律不良、複視、ふらふらして歩けない

ということで再診して、ミラーフィッシャーでした


複視をみたら、もちろん他の神経診察をしますが、

ここでは複視単独の異常
(つまり眼瞼下垂や眼球突出など、見た目では異常がない)

であった場合を考えてみます



その際の複視のチェックの仕方は、

①まずは単眼性か、両眼性かどうか

両眼性で見て複視があって、はじめて両目のコーディネーションの問題になります

忘れがちですが、必ずチェックしましょう


②眼球運動はどうか

これが、また難しい

動きがおかしいと感じた場合は、

あとで見返すことができるように、動画で撮影させてもらうのがベターかと思います

眼球運動は4方向ではなく、6方向で確認します


③どこで一番複視が強くなるか

二重に見えますか? → はい

ではだめです

二重に見えるといっても、

どれくらい重なっているか

どれくらい離れているか

上下なのか、横なのか

を確認します

そうすることで、他覚的な眼球運動以外でも

やられている外眼筋を特定することができます


④眼球運動で痛みはあるか

ミラーフィッシャーも時に眼痛を伴います

眼窩蜂窩織炎も痛みがあります

実は、糖尿病も痛みを伴うことがありますが、

やはり糖尿病患者の動眼神経麻痺で眼痛があった場合は、

他の疾患を考慮した方がよいと思います








複視をみたら、それぞれの目を動かす筋肉と支配神経に思いを馳せます


特定の神経の障害であれば、話は簡単で、

それぞれの神経麻痺の鑑別を進めていきます


その際には、それぞれの神経走行の解剖を頭にいれて、考えることが重要です



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