2019年3月5日火曜日

餅と消化管

餅は英語でrice cakeというようです

餅は日本では、子供からお年寄りまで愛される食べ物で、縁起物です

なので、餅による事故(窒息、腸閉塞)は1月に多発します


日本人は誰もが、餅の危険性を理解しつつ、

食べてしまうのです


ですが、餅を食べないほうがいい人もいます

腸閉塞の既往のある人や腹部手術歴のある人、

腸管に器質的な狭窄を抱えている人は、

詰まってしまうので、やめたほうがよいと思います


餅は、腸を閉塞させるために生まれた食べ物ではないか?

と疑うほど、

腸を閉塞させるのに、適した食べ物です

暖かいと、柔らかく、

冷やされると、硬くなる

つまり、大きく丸のみしても、

幽門輪は、まだ暖かいうちなら、形を変えつつ、

通り抜けることができます

ですが、小腸の中を旅している途中で、

冷たくなり、だんだん固くなり、

べたべたひっつき、腸を詰まらせてしまいます


それが、他の食べものと比較し、

急激に閉塞させるようで、腹膜刺激徴候や腹水が多い理由と推測されています



胃にくっつけば、胃の褥瘡として、潰瘍を形成し、

小腸でくっつけば、腸閉塞を惹起し、

パンパンに張れてしまえば、穿孔の危険も伴います


食餌性の腸閉塞は、保存的に回復が困難なことが多く、

手術になることが多いとされています

餅もその傾向がありましたが、

最近は、保存的にみても大丈夫だったという報告が増えています


餅による腸閉塞は、日本からの報告しかないので、

治療法もまだ定まったものがありません

ペリチーム®という消化酵素をいれたら、

早く餅が分解されるのではないかと

報告がありますが、

検証されていないので、効果はよくわかりません


日本の食文化は世界中に広がっているので、

餅による腸閉塞も今後は、世界に広がっていくと思われるので、

早くいい治療法が確立すればいいなあ

と思います


この分野は調べても、日本の文献しか出てきません

NEJMに投稿しても、

あまりに地域性が高すぎて、

今はrejectされるのかなあと思います

もう少し世界でも報告例が出てくれば、多分NEJMのimageに通る気がするので、

ねらい目だと思います


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