みんなが熱を測り、咳や咽頭痛の症状に敏感になりました
そのため、不定愁訴や習慣性(機能性)高体温が圧倒的に増えていることは、
外来をやっている先生なら誰もが思っていることだと思います
機能性高体温については、國松先生が最近、レビューを書いていますので、ご参考ください
機能性高体温症の臨床 pn J Psychosom Med 60:227-233, 2020
今日は不定愁訴のお話です
不定愁訴になりやすい5パターンというのを同僚が提唱してくれました
①局在のわかりにづらい症候群
内分泌、神経疾患、うつ病など
②Input-Outputの問題
背景に認知症や精神疾患、発達障害、小児などの場合です
③多彩な症状を訴えること自体が症状の病気
うつ病、不安障害、認知症
④BPSアプローチ、解釈モデル、家族アプローチが有用な疾患
機能性の病態:IBS、緊張性頭痛など
症状が家族の安定化に役立っている小児の症状
⑤本当にレアな病気、知らない病気
「仮病の見抜き方」は
短編小説を読んでいるような感じですらすら読めて、
勉強にもなるというあまり類を見ない本です
不定愁訴の本は最近、たくさん出ていますが、
教科書的で味気ない感じになってしまっていることが多いです
そんな中で、この本は不定愁訴の生々しさや泥臭さが伝わってきて、
不定愁訴に本気に向き合っている人にはお勧めの一冊です
原因不明になる要因は
疾患の要因、患者要因、医師要因があります
経験が浅い、診断が苦手な人は医師側の要因が大きくなります
1ヶ月の外来で「不定愁訴」かもしれないと思った患者さんが、やたらと多い人は注意が必要です
不定愁訴を一髪で解決できるというのは、稀です
不明熱であれば、見る人が見れば、一髪診断できることもありますが、
不定愁訴はそれがなかなか通用しません
そのため、不定愁訴かもしれないと認識したら、
腰を据えてじっくり時間をかけて、絡まった糸をときほぐす感じで、
その人とのお付き合いが始まります
診断学に長けている人が不定愁訴のマネージメントが上手かどうかは別問題です
診断がつかない人とどう向き合うか
それが不定愁訴の診療で一番求められていることです
頻回受診者は不定愁訴の方と捉えられていることが多くみられます
その場合は、症状にfocusするのではなく、
頻回受診している行動にfocusすべきというのが大事です
そうすると、背景の精神疾患が見えてくることがあります
実臨床でよく出会う不定愁訴の方は、強迫性障害や不安障害、パニック障害、うつ病といった精神に問題を抱えた患者さんであること多いので、
不定愁訴を扱う先生は、精神疾患をある程度みていく力が求められます
1、まずそれは本当に不定愁訴なのか
2、受診の経緯と目的は何か(期待)
3、誰が何に困っているのか
4、訴えは無差別か
5、本人の解釈モデルは(解釈)
6、現在の生活はどうなっているか(影響)
7、何を目標にしているか(期待)
7つもありますが、結局は、
いつもの「か(解釈)き(期待)か(感情)え(影響)」と
自分が好きな質問の「一番困っていることは何か?」
と本当に不定愁訴か、訴えは無差別か?
だけなので、簡単ですね
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