前回、口を酸っぱくベル麻痺という病名を安易につけないでください、と言いました
では実際、何に気をつけて診察するかというと、
顔面神経麻痺 + α です
前回の一周回って・・・を詳しくした感じです
+αがなければ、ベル麻痺の可能性が高まります
ベル麻痺は膝神経節のHSV1の再活性化により、神経の炎症や浮腫が起こり、
腫脹した神経が骨性の神経管内で圧迫され、虚血と絞扼、浮腫の悪循環に陥り、
神経障害が増悪する病態と考えられています
顔面神経の解剖のポイント
①側頭骨の中の骨性の顔面神経管の中を通る
⇨狭いので、神経が浮腫むと虚血に陥りやすい
外傷で骨が折れると、神経も障害を受けることがある
骨メタで神経も障害されることがある
②顔面神経は運動神経だけではなく、副交感神経や感覚神経成分を含む
その細胞体は膝神経節にある
⇨膝神経節にHSV1やVZVが眠っていて、再活性化をきたす
神経が損傷や脱髄が起こった後に、回復の過程で神経線維同士での
接触伝導や異所性興奮、迷入再生がおこると、
病的連合運動(synkinesis):口を動かすと、目をつむってしまうなど
Croccodile tears:食事の際に涙が出る
末梢性顔面神経麻痺+αを探しましょう
特にVZVの頻度は多いので、皮疹のチェックは念入りにしましょう
そして、皮疹が後から出現するパターンもあるので、毎日チェックしましょう
顔や首に怪我がある人は注意が必要です
実は転倒した際に、側頭骨骨折を伴っていたり、
傷から破傷風菌が入った可能性があります
難聴やめまいがあれば、AICA梗塞やVZVを疑います
何度も再発しているようなら顔面神経鞘腫を疑います
頭痛があれば、無菌性髄膜炎パターンになっていることが多いので、
髄液検査を行い、髄膜炎かどうかを確かめます
VZVに伴うものが多いので、抗ウイルス薬は必須ですが、
ライム病も原因になり得ます
細胞診を出す必要があります
0 件のコメント:
コメントを投稿