50歳 女性 主訴:頭痛、嚥下時痛
(※症例は加筆修正を加えてあります)
本日は頭痛や左後頸部や左顎周囲の痛みのある50才女性の症例でした
結局は対処療法で軽快したため、その後の外来フォローの経過からすると、
自閉症スペクトラムの痛覚過敏だったのではないか?という考察でした
実は救急外来にはこういった痛覚過敏の方は見落とされているのではないか?
こういった痛覚過敏の方にどう対応すべきだったか?
ということが焦点になりました
個人的な意見では、そこは考えなくていいと思っています
よく言われることではありますが、
救急外来では命に関わる疾患、
機能予後に関わる疾患を見落としてはいけません
まずはmust r/oすべき疾患を除外することが、救急の場面では必要最低限になります
その後の外来診療で最終的に落とし込むところが、精神疾患に伴う痛覚過敏でもよいですが、
救急外来でその診断を考える思考プロセスは危険です
今回であれば、嚥下時痛や左後頸部、左顎の痛みからは、
石灰沈着性椎前腱炎や亜急性甲状腺炎が鑑別になります
これらを鑑別にあげたら、自動的に鑑別疾患が増えます
pivot and clusterってやつですね
レミエール症候群、咽後膿瘍、頸動脈・椎骨動脈解離、SAH、ACSはmust r/oの鑑別になります
まれなところでは、TIPCや高安動脈炎が鑑別です
鑑別疾患を挙げるときは、始まりと終わりの鑑別疾患を想像すると良いです
本症例では始まりの鑑別(1st impression)は石灰沈着性椎前腱炎や亜急性甲状腺炎で、
途中にpivot and clusterで他の疾患を除外し、
終わりの鑑別疾患は、皮疹のない帯状疱疹です
終わりの鑑別疾患は、時間が経たないと診断ができないものです
その日に皮疹のない帯状疱疹というためには、
本当に皮疹がないことに自信を持たないといけません
自信を持って皮疹はなかったというためには、
必死に皮疹を探さないといけません
本症例では耳鏡も使って、皮疹を探していたのでさすがでした
あとは喉頭ファイバーで喉の奥に皮疹が出る人もいるので、
喉頭ファイバーで除いてもよかったかもしれません
かけない方がいい眼鏡もある
精神疾患が背景にある人や何度も救急受診している人、
コロナ疑いのふれこみや前医の情報があると凄まじいバイアスがかかります
頭では分かっていても、そういう眼鏡をかけて、
患者さんを見てしまうことがあります
例えば、精神疾患を患っている患者さんが、救急にきた場合、
そういう眼鏡をかけていると・・・
器質的な疾患ではなく、精神症状と考えがちです
精神疾患がある人が動悸や息切れできた場合、またパニック発作だろう・・・
と考えがちですよね
その時、エアーでいいのでやってみてください
眼鏡を外す素振りを
自分の頭の中にバイアスがかかったと思ったら、
眼鏡を外してみましょう
ワレンベルグを疑った時は、ワレンベルグ眼鏡をかけて診察しないと、
見逃しますとは伝えていましたが、かけない方がいい眼鏡もあるということです
まとめ
・鑑別疾患の始まりと終わりを考える
・かけない方がいい眼鏡もある
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