2018年7月19日木曜日

誰が何に困っているか

誰が何に困っているか

これを忘れてしまうと、医療は暴走します

とんでもない方向に患者さんが連れて行かれます


医者は良かれと思ってやっているので、

気が付いていないことが多いです

病気を見つけてやる!

病気を治したい!

という、血気盛んな医者でよくあります


自分も昔はそうだったと思います

今思えば、あの検査はいらなかったんじゃないか

と思うことは、多々あります


その反省から、患者さんにとって、何が一番幸せか?

をよく考えてから、検査や治療、生活指導をするようになりました

いわゆるchoosing wiselyと呼ばれる概念です



歳をとれば、そりゃあ、調べれば何か異常は見つかります

プロブレムリスト、いっぱいという人は多くいます

ですが、本当にそれが患者さんにとって、問題なのかは、別問題です

患者さんは困っていないのに、医者がギャーギャー言っている

本当は検査もしたくないのに

ということもあるでしょう



色々な問題が多すぎて、困ったという時は、

患者さんが困っている事に目を向けてみましょう

そうすると、他の人が困っている事が、

実は大した問題ではない事に気がつきます




困っているのが、医者の場合、

どんどん、医療に浸っていきます


医療の世界にいる我々にとって、

病院は普通の環境ですが、

患者さんにとっては、非日常です

病院に来させている、入院させている時点で、

患者さんの人生や生活を大きく変えています

その事を認識しないといつの間にか、

患者さんが医療の海に沈んで、溺れている事があります

自分の患者さんが、溺れていないか、確認しましょう





医学的に見れば絶対に正しいことでも、

患者さんの人生からしたら、正しくないこともあります


なので、患者さんがどんな病気を持っているかよりも、

その病気を、どんな患者さんが持っているか


の方が大事なことなのです


病気や治療をする前に、患者さんについてよく知ってください

医療を提供するのはそれからです



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