症例 25歳 男性 主訴:呼吸苦、発熱
(※一部、症例は加筆・修正を加えてあります)
Profile;特記すべき既往歴なし
現病歴:1週間前に東京への外出歴あり、会食あり
来院当日、乾性咳嗽が出現
寒気と発熱も出現
深呼吸にて胸痛も出現してきたため、救急外来受診
内服:なし 既往:なし
アレルギー歴:なし
バイタル 体温37.5、SPO2 94%、RR24回、脈120回/分、血圧120/80
呼吸音 清
CXR 明らかな肺炎像ないが、右肺の透過性低下あり
血液検査 CRP軽度上昇、好酸球上昇なし
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この時点で外出歴から、コロナを疑うのは当然です
コロナ疑いとして対応しつつ、コロナのPCR検査を行います
このコロナ時代に疎かになりがちなのが、病歴です
追加で何を聞きますか?
外出歴や接触歴だけ聞いて満足してはいけません
喫煙歴を必ず聞きます
この人は1週間前からタバコを吸い始めたとのことでした
タバコを吸い始めた若年者に起きた急性の呼吸器症状と発熱から、
急性好酸球性肺炎も鑑別になり、C Tを撮影しました
もちろん、普通の細菌性肺炎やCOVID19の可能性もあります
痰がでない人の肺炎の場合、どうしてもCTの閾値が低くなります
あまり画像で語ってはいけないのですが、
CTである程度、肺炎の原因や微生物を絞ることができますので、
コロナ時代はCTが多用されているのが、現状かと思います
致し方ないとは思いますが、その変わりCTはしっかり責任持って読影しないといけません
CTでは末梢優位の小葉間隔壁の肥厚が目立ち、気管支血管束の肥厚が顕著でした
GGOも散在していました
パッとみたら、なんだこれ???
という感じで、普通の細菌性肺炎ではないという印象でした
急性の肺水腫は鑑別になるので、こういう時は心臓のチェックが重要になります
ということで、心電図やトロポニン、BNP、UCGを行いましたが、問題ありませんでした
急性好酸球性肺炎は末梢優位のGGOが目立つ
いわゆる逆バタフライシャドーパターンが有名ですが、
そこまでGGOが目立ちませんでしたので、
本当に急性好酸球性肺炎か自信がありませんでした
そこで急性好酸球性肺炎の画像の特徴を調べてみると、
小葉間隔壁の肥厚や気管支血管束の肥厚も急性好酸球性肺炎でよくある所見でした
ということで、急性好酸球性肺炎疑いで入院となり、
コロナ否定後にBALを行ってステロイド治療をしたという症例でした
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本症例の学び
・コロナを疑わせる暴露があり、目眩しになりかけたが、タバコ吸い始めたという病歴がkeyだった
・CXRだけでは診断できなかった
・CT所見が特徴的であり、急性好酸球性肺炎が一気に鑑別の上位に上がった
・入院後、酸素化が急激に悪化したので、外来フォローにしなくてよかった
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withコロナ時代のCOVID19の鑑別疾患
PCPやCOP、肺胞出血、薬剤性肺炎、心不全など挙げればキリがありませんが、
本症例のように急性好酸球性肺炎も鑑別になります
急激に悪化していく経過はCOVID19そっくりであり、
CT画像にてGGOを呈することが多いので、忘れずに鑑別に上げておきましょう
急性好酸球性肺炎は気管支鏡検査をして診断するので、
しっかりコロナは除外しておきたいところです
急性好酸球性肺炎はタバコを吸い始めた後に出現する肺炎という、
特徴的な経過であり、とても有名な疾患ですが、
その割には稀な疾患ですので、まとまったレビューはほとんどありません
ピンとくるヒントとピットフォールがあるので、覚えておきましょう
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