2018年の造血器腫瘍ガイドラインより
POEMS症候群では末梢神経障害によるPS不良,全身体液貯留傾向があり,無治療で自家移植を行うと,生着症候群を含む移植関連毒性が増加する。また,血清VEGF値は治療効果に対するバイオマーカーであり,移植後のVEGF値は再発に対する強力な予後予測因子となる。したがって,多発性骨髄腫と同様,適切な寛解導入療法を行い,血清VEGFの低下とともに全身状態を改善させた上で,より安全に移植を行うことが望ましい。これまで移植非適応・再発難治例において,サリドマイド等の新規薬剤の有効性が報告されており移植適応例においても寛解導入療法としてサリドマイド+デキサメサゾン療法の有効性が報告されている。サリドマイドは100 mg/日から開始し,効果・副作用により投与量を調節する。サリドマイド不応例については,デキサメサゾン併用レナリドミド,ボルテゾミブによる治療を考慮する。レナリドミドについては,幹細胞採取効率を低下させないように,3~4コースの短期間の治療にとどめなければならない。現時点では,これらの新規薬剤はPOEMS症候群に対し国内保険適用外である。
でしたが、ついに、、、
2021年2月にPOEMS症候群に対して、サリドマイドが保険適応になりました!
千葉大の先生方のご尽力のおかげです
ということで、一部の先生方にとっては朗報なのですが、
我々はまずPOEMSの治療の前に診断を頑張らなくてはなりません・・・
POEMS症候群は診断が難しいのですが、見るひとが見ればすぐに診断できてしまいます
このような疾患群のことをパズルのピース系鑑別疾患と名付けています
最初にまさにパズルのピースだなあと感じた疾患は、アミロイドーシスです
難治性の心不全で、腎機能が徐々に悪くなってきて、
貧血もあって、圧迫骨折も出現してきた
何だか消化器症状が多くて、起立性低血圧も見られる
普通に考えれば、
心不全に対して、利尿剤を使っていて、腎機能が悪くなったのであろう
ADLが下がってきて、骨粗鬆症になって圧迫骨折を起こしたんだろう
糖尿病もあるので、消化器症状や起立性低血圧もあるんだろう・・・
仕方ないよ・・・そりゃ・・・
で済ませるか、
全てはアミロイドーシスが原因ではないか?と思いつけるかどうかで、
患者さんの未来が変わってくるかもしれません
こういった患者さんの症状や兆候を虫の目のように、一つ一つ分析するのではなく、
鳥の目を使って、全体像を見ることができれば、診断に辿り着くことができます
サリドマイドが保険適応で使えるようになりましたので、早期に診断をつけて、
専門家の治療につなげることがより一層求められる疾患になりました
まずは疑うことを閾値を低めにやっていきましょう
まとめ
・「パズルのピース系鑑別疾患」がある
→アミロイドーシス、POEMS、TAFROなど
一つ一つの異常に目を向けるのではなく、一歩引いて全体をパズルのピースのように捉えると、
ある疾患群が浮かび上がってくることがある
・POEMS症候群を疑う状況は、原因不明の痺れや脱力、原因不明の浮腫・胸水・腹水
→疑ったら、まずは皮膚のチェック:多毛、色素沈着、チアノーゼ、バチ指を探す
・POEMSにサリドマイドが保険適応になった
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