2021年4月29日木曜日

指揮者のいないオーケストラ


Code blue ,Code blue

医師は〇〇に来てください




(あーcode blueだ・・・自分の患者だったら、嫌だなあ・・・)


と走りながら、思いをめぐらせます


たどり着くと、すでに大勢の医師が患者さんの蘇生処置を行なっています


ある専攻医は胸骨圧迫を行なっています

ある専攻医は気道確保してBVM換気を行なっています

あるスタッフは胸骨圧迫が有効になるように背板を入れようとしています

ある研修医はモニターを探しに行っています

ある専攻医はルート確保を行なっています・・・



バタバタと同時多発的に処置が進んでいるようで、実はあんまり進んでいない

にもかかわらず狭い現場には続々と医師がやってくる


勝手がわからない医師たちはモニターの場所や物品の場所もわからず、

看護師さんに頼らざるを得ない



code blueの時に何十回と見た光景


いつも感じる不協和音

まるで指揮者不在のオーケストラ



とりあえず、続々と登壇しようとしている演奏者を防ぐ交通整理をしつつ、

全体を指揮する人が誰かを確認する


遅れてきた自分がリーダーをするのはどうなのか・・・と思ってしまい、

既存のリーダーが誰かを確認し、外来主治医がリーダーとなる



到着した時に思うことは、

なぜ今の事態が起こっているかを皆が共有できているのか?ということ



到着した時にはすでに時間が経過していたので、皆で情報は共有できているのであろうと

勝手に思ってしまったので、あまり聞かず・・・



幸い点滴やモニターをつける前に、胸骨圧迫とBVM換気のみでROSCした

心電図も問題なし

UCGも問題なし

レベルも改善傾向で、自発呼吸もあり


狭い病室を抜け出し、ICUへ・・・



(ICUへ移動中)

ところで、もう一回、どういう状況だったのか聞いていい?

透析中だったの?


Ns「いえ、透析する前でした。

  造影CTから帰ってきて、車椅子にのっていると、

  気持ち悪いと言い出して、全身が強直痙攣して、CPAになりました」


え・・・

まじで??


それ造影剤のアナフィラキシーショックやん


よくみると、顔面や頸も赤いし、ゼエゼエいってるし・・・

造影剤によるアナフィラキシーだね


ICUでアドレナリンうとっか・・・



ICUにてアドレナリンを筋注

その後、バイタル安定し、レベルクリアになった

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Code blue時の注意点(自分への戒め)


・まず現場についたらリーダーを決めるか、自分がリーダーをする(これが一番重要)

 基本は早めに着いた人がリーダーをする

 自信がなければ途中交代もあり


・気道確保しなければならない時は、気道確保しつつリーダーをする


・リーダーは交通整理を

 医師は3人もいれば十分、Nsの方が重要

 循環器医師と挿管が上手な医師は残ってもらう


・ACLSの流れは誰もが知っているが故に、みんな勝手に動くことを知っておく

 人が多いと何が行われて、何が行われていないか分からなくなる


・リーダーは何もせず、全体の人の動きをみる

 手は出さない、口だけ出す


・現場の状況把握が疎かになりがちなので、大きな声で何度でも確認を

 思い込みは禁止、透析している人だから透析前だし、高Kなんだろう・・・

 実は造影CTから帰ってきた直後


・蘇生処置とともに原因検索が大事(当たり前)


・急変対応で大事なのは、いかにうまく挿管できるか?とかではない

 大事なのは、強いリーダーシップ円滑なコミュミケーション


・一番の緊急事態は自分自身がパニックになること

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