2021年4月29日木曜日

読書感想文 〜悩める事例を抱える人へ〜

最近、「高校生の不登校」という問題に関わる機会が多く、非常に悩んでいます


入り口はbiomedicalな問題ですが、話を聞いていくと、

bioではなく、psycho、socialな問題になっていきます



ですが、最初はbio面から考えなければなりません


食欲がなく、全く食事が取れない人

→FDかなあ・・・


学校に行こうとすると、体が動かなくなってしまう人

→身体表現性かなあ・・・


朝起きようとすると、頭痛や動悸が酷くて動けない人

→POTSかなあ・・・


いろんな症状や理由で学校に行けなくなります

そして症状に無理矢理病名をつけることもできますが、解決にならないことがほとんどです



その理由はbiomedicalがメインの問題ではなく、

psycho、socialな問題がメインだからです



これは外来をしているDrであれば、なんとなく理解できると思います



問題はその後です

psyhcosocialに問題があるということは多くのDrが認識しています


ですが、明らかに家庭環境や周囲の大人の接し方に問題はあったとしても、

それをどう解決するかは非常に難しいです


問題をBPSで分けても限界があります

ガミー先生のいう通りです






解決先を探す時、関係者全員が幸せになれる方法を考えますが、

複雑に絡まった人間たちのヒューマンドラマであり、

自分だけでは歯が立たないこともあります



複雑に絡まった糸を解きほぐすような感覚です



そんな途方に暮れてしまった時におすすめの3冊を紹介させていただきます



家庭医療を一から学ぶのは時間がない!という人に、

短時間で読めて自分の世界観を広げてくれる本を選びました

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

①マンガでわかる家族療法


こんなやり方があるのかと驚きます




いきなりマンガかよ・・・と思われてもいいです 

マンガでも絵でも文字でも、目的は一つです


読み手に自分の主張が伝わればいいのです


マンガはその目的を達成するにはとても良いツールです


さらに、家族療法とマンガは非常に相性が良い気がしました

家族療法が成功する時、それは一つの「ヒューマンドラマ」になります



この本を読んで、いきなり家族療法やってみよう!とはなりませんが、

「家族」という歯車が狂った時に、こういった手法もあるのか・・・と勉強になります


例えば、リフレーミング、外在化、プリテンディング処方など


家族療法に興味が湧く一冊で、家族のみかたが変わる一冊です



②援助者必携 はじめての精神科 第3版


お守りにしたい本です(通称:猫本)



疲れてしまった援助者に送る本です


医療従事者は人のために尽くしたいという献身的な方が多いですが、

時にその努力が報われないこともあります


そんな時でも仕事を続けられるように背中を押してくれる本です


自己啓発的な印象も受けました

疲れてしまったり、もう無理だと思ったら、この本をまた読みたいと思います


パーソナリティ障害の項は、

援助者だけでなく、全ての医療従事者が読んだ方がいいと思います



③まんが やってみたくなるオープンダイアローグ


確かにやってみたくなりました




またマンガかよ・・・


そうです、マンガです(笑)


2時間で読めると書いてある通り、本当にすぐ読めます



オープンダイアローグ?何それ?

という人にこそおすすめです


〜本文より〜

変えようとしていないからこそ変化が起こる――
この逆説こそが、オープンダイアローグの第一の柱です。
オープンダイアローグでは、治療や解決を目指しません。
対話の目的は、対話それ自体。対話を継続することが目的です。

そうすると、一種の副産物、〝オマケ〟として、
勝手に変化(≒改善、治癒)が起こってしまう。
裏返して言えば「対話というのは続いてさえいればなんとかなるものだ」。
これがオープンダイアローグの肝だと私は思っています。



この本に書いてある手法を全て行うのは難しいので、

かいつまんでやってみるのがいいのかと思います


「傾聴」とも少し違う、「対話」の重要性や考え方を変えてくれる本です

--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

治療法や解決策が見えない時に、私たちはどう支えるか?


イメージとしては、白衣を脱いでください


白衣、つまり「The 医者」「The 薬を処方する人」「ヒエラルキーの上に立つもの」

そういったものを取っ払って、困難事例と向き合います



白衣を着た一人の医者が治療するのではなく、

白衣を脱いだ一人の人間として立ち向かっていくのが重要だと思います



ですが、くれぐれも無理は禁物です

自分にできることとできないことは自覚しておきましょう





0 件のコメント:

コメントを投稿

今さらきけない疑問に答える 学び直し風邪診療

風邪の本といえば、岸田直樹先生や山本舜悟先生の名著があります 自分もこれらの本を何回も読み、臨床に生かしてきた一人です そんな名著がある中で、具先生が風邪の本(自分も末席に加わらせていただきました)を出されるとのことで、とても楽しみにしておりました その反面、何を書くべきか非常に...

人気の投稿