2019年6月26日水曜日

起立性低血圧 後編

起立性低血圧の治療


内科的疾患の治療の多くは、

非薬物療法薬物療法の両者が存在します


そして、薬物療法の中には、

西洋医学東洋医学の治療があります

それぞれを抑えておくと、治療の選択肢の幅が広がります



起立性低血圧の治療の根本は、原因の除去です

例えば、薬が原因そうであれば、中止するか、減量します

出血が原因であれば、輸血します

高血糖による脱水が原因であれば、補液します


しかし、明らかな原因が分からないことも多いです


そんな時は、まず治療として、

非薬物療法をお勧めします

副作用もなく、リーズナブルで、すぐにできるので、

起立性低血圧の治療の第一選択は、非薬物療法です


どうしても非薬物療法で効果がない時は、

薬物療法を試してみます

メトリジンとドプス、フロリネフあたりが、

まず、使われることが多いです


メトリジンは寝る4-5時間前には飲まないことが、重要です

これはよくあるpit fallです


朝・夕ではだめです

起立性低血圧の患者さんの50%にあるといわれる、

臥位高血圧を惹起してしまうからです


漢方の場合、

五苓散が糖尿病性の起立性低血圧を改善したという報告があります
(Diabetes Frontier 2000;11:561-3)




早期発見・予防

せん妄でも何でもそうですが、

起こってからでは、遅いということもあります

そのため、生活状況で、

起立性低血圧が起こりやすい状況がありますので、

その場面で特に注意したり、

生活指導ができるとよいかと思います





前兆があれば、カウンターマヌバーで耐えることができるかもしれません

研修医の頃は、よく手術中につらくなったら、

やっていました

もちろん、状況に合わせて、状況にあった方法で、行いましょう



こんなフローチャートもあります

あんまり意味ない気もしますが、

臥位高血圧に注意しなければならないという

メッセージがくみ取れます


治療まとめです

臥位高血圧にも注意しなければならないのが、

起立性低血圧治療のジレンマですね



起立性低血圧の治療まとめ


非薬物療法の提案をいくつもできるようにしておく


・それでもだめな時には、薬を使う


臥位高血圧は意外に多いので注意


参考文献:神経治療32:334-337,2015
        Curr Opin Cardiol.2018 January;33(1):66-72.

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