2017年10月17日火曜日

Road to 側頭動脈炎 パート2

側頭動脈炎を疑っても、診断までにはハードルがたくさんあります


入院するとせん妄になるから、入院させたくない人もいれば、

熱が出てても困っておらず、畑したいので入院したくない人もいます

外来で調べざるを得ない時もあります


そういった時はある程度検査プランと道筋を伝える事が重要です

あくまで一例です

当たり前ですが、検査は症例に応じて考えます




このように本気でやると、けっこう大変です


安らかに最期を迎える準備をしている高齢者に

余計な検査は不能な時もあります

検査しまくって、病気を見つけて治す事だけが医療ではありません


実臨床ではchoosing wiselyが重要です



本気で調べる時は、本人が困っている時です


検索していくと、他の疾患だったという事があります

側頭動脈炎くずれと勝手に呼んでいます


何となく頭痛と熱が続いているから、側頭動脈炎を疑っていたが、


CTとると、副鼻腔炎と硬膜外膿瘍だった!とか

髄液検査でクリプトコッカス髄膜炎だった!とか

一応血培とったら、

翌日、GPCが生えてきて、椎間板炎、化膿性関節炎、硬膜外膿瘍だった!!とか


色んな感染症が側頭動脈炎のプレゼンテーションに似るので、

ステロイドをやみくもに使ってはいけない代表的な疾患です



側頭動脈炎を診断する前には

疑ってなくても、とりあえず血培をとっておくと

救われることがあります



感染も除外して、検査しまくって、もう生検しかない!と

ようやく、こぎつけて生検したとしても、

側頭動脈は正常だった

という時はあります


この場合、注意しないといけないのが、

側頭動脈の周りの小血管に炎症があったとか

Vasa vasorumの炎症があった


とかです



小血管炎はPMR様症状や不明熱を呈するので、

皮疹がないかよく見たり、

腎障害がないかチェックする事が重要です


側頭動脈の生検は実は小血管炎も一緒に探せてしまうので、

お得な検査ではあります




Mimicとも言えるものもあります

最近は側頭動脈炎とVZVの関係が注目されています

JAMA Neurol. 2015;72(11):1281-1287. 


0 件のコメント:

コメントを投稿

今さらきけない疑問に答える 学び直し風邪診療

風邪の本といえば、岸田直樹先生や山本舜悟先生の名著があります 自分もこれらの本を何回も読み、臨床に生かしてきた一人です そんな名著がある中で、具先生が風邪の本(自分も末席に加わらせていただきました)を出されるとのことで、とても楽しみにしておりました その反面、何を書くべきか非常に...

人気の投稿